tag:blogger.com,1999:blog-72435828717359866822024-03-06T01:27:16.532+09:00猪飼周平の細々と間違いを直すブログ他人の間違いを指摘するブログではありません。主に、自分が何を解っていなかったり間違ったりしているのかについて、細々と綴ります。猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.comBlogger85125tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-28673818817426619952017-06-14T14:46:00.001+09:002017-06-14T14:46:38.519+09:00地域包括ケア政策の総括から共生社会へ以下は、『月刊/保険診療』2017年6月号に掲載された文章です。ご引用に際しては、掲載誌をご参照頂ければ幸いです。<br />
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地域包括ケア政策の総括から共生社会へ(<a href="http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/17/ikai17.pdf">pdf版</a>)<br />
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1.<span style="white-space: pre;"> </span>地域包括ケア政策の停滞<br />
2010年に『病院の世紀の理論』を上梓して以降,筆者は,地域包括ケアの理論的基盤を構築した研究者であると評されるようになったように思われる。それが正当な評価だったかどうかは筆者自身が判断すべくもないが,折に触れ筆者の示してきた見解の要諦を示せば,どのようなケアが良いケアとして社会的に評価されるかには,歴史的な大きな趨勢がみられ,20-21世紀転換期以降の大きな趨勢は,個人の生活的価値(QOL)を実現することを目指すケアへの評価が高まっていく方向にあるということであった。この歴史的潮流を筆者は「生活モデル化」と呼んできた1)。<br />
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政策的な含意としていえば,広義の福祉政策は一般的に,生活モデル化の歴史的潮流の方向に合致することが要請されるということになる。もし歴史が示す方向と異なる方向に政策を進めていくと,長期的には人々にとって不満足な福祉が実現してしまうか,修正のために多大な経済的・社会的コストを払うことになる。このような事態が生ずるわかりやすい例は少子化対策の失敗であろう。きわめて長期に渡って日本社会は,政策の失敗のツケを払い続けることになってしまった。<br />
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この観点から,地域包括ケア政策を評価すれば,基本的には歴史の潮流に合致している意味において正しい方向に進んでいると評価することができよう。その意味では,地域包括ケアはそれ自体が未来への投資としての資格を有している。<br />
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ただ,その一方で,地域包括ケア政策は,生活モデル化を推進すること自体を政策目的としては明示していない。地域包括ケア研究会の座長を務めてきた田中滋が,地域包括ケア政策とは「地域作りの目標を多義的に示した“公案”なのである。当然現実の取り組みが進展すると共に目標の表現も進化(変化?)していく」2)と述べたように,それは地域作りに関する様々な政策ニーズのプラットフォームであり,そこに一貫した政策目的を見出すことはできない。<br />
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このような地域包括ケア政策を全体としてどのように総括的に評価すればよいだろうか。<br />
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ここで考えておきたいのは,地域包括ケア政策は,介護保険政策の後継に位置づけられた政策だということであるが,この2つの政策には大きな違いがみられるということである。介護保険制度は,様々な批判は受けつつも,わずか数年のうちに,制度自体の存在価値を疑う人がほとんどなくなるほど,日本社会に不可欠な制度として定着していった。その意味では,介護保険政策は紛れもなく大成功の政策であった。これに対し,地域包括ケア政策は,それが本格的に推進されるようになって5年以上経つが,自治体関係者の間でもそれがいかなる政策であるのかについての共有が進んでいるとは言えず,まして国民の間では「地域包括ケア」という名称すら浸透してはいない。<br />
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この両者の違いは何に原因するのだろうか。筆者の理解では,この彼我の差は,すなわち地域包括ケア政策が生活モデルを原則とするものとして貫徹しなかったこと,およびその原因にあると考えている。以下では,この点を論じていきたい。<br />
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2. 地域包括ケア政策の目的喪失<br />
少し振り返ってみよう。「地域包括ケア」が政策課題として明確なかたちで提起されたのは,地域包括ケア研究会による2009年報告書以降のことである3)。以降継続的に刊行されていった同会による一連の報告書をみると,基本的に,人口が高齢化するなかで,いかに効率的にケア需要を賄いつつ,同時に高齢者の生活的価値(QOL)を守るかということが議論されていたと言ってよいだろう。問題はこの構図が何を意味するかである。<br />
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まず留意しておくベきことは,「高齢化対策」という言葉には2通りの解釈があるということである。一つは,人口高齢化の主要な問題が,対応するシステムの効率化を要請しているという解釈である。この場合,高齢化対策とはケアシステムの効率化によって高齢化に対抗するという意味になる。これに対し,もう一つは,高齢化に伴う需要増に資源的手当をするということを対策とする解釈である。この場合,システムが結果として効率化しなくとも,どこからか資源を調達してきて高齢者に提供できればそれでよいということになる。<br />
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政策過程においては,初期には前者の可能性が追求された。地域資源を予防機能に活用する,ケアを地域に移すことによって急性期病院における不要あるいは不適切と考えられる医療費を抑制するなど,地域ケア化・包括ケア化することによる費用的なメリットをできる限り見出すことを通じて,ケアシステムの効率化が地域包括ケアによって実現するということを示そうという努力が行われたのである。だが,残念なことに,しだいに地域包括ケアは当初言われていたようなコストの抑制効果はなく,より効率的なケアシステムの構築という意味における高齢化対策とはならないということが明らかになっていった。<br />
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その結果,地域包括ケアは,高齢者を対象とした資源整備を中心としつつ,そのなかでできるだけ良好なケアが実現することに留意するといった内容の政策となったのである。だが,そうなると一つの大きな問題が生じてくることになる。すなわち,従前のケアシステムをわざわざ地域全体を舞台とするケアシステムに移行させる理由がわからなくなるのである。もし,例えば2025年までに介護需要を賄うための資源を整備することそれだけが課題であるのであれば,ケアを地域ベースに移行させることは正しい政策ではない。というのも,地域ケアに移行させることによって,大量の追加的なマンパワーが必要となり,人的資源調達はより困難になるからである。むしろ,地域包括ケアは構築しないことがよりよい対策になってしまうのである。<br />
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ケアシステムを地域ケア化することを正当化する根拠は,実は一つしかない。それは,地域的にケアすることが当事者の生活的価値を実現するうえで基本的に望ましいということである。この正当性は,生活モデル化が保証してくれるものである。だが,地域包括ケア政策においては,これまでのところ,生活モデル化によって政策を明確に根拠付けるということは行われていない。<br />
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3. 政策目的の喪失がもたらしたもの<br />
では,地域包括ケア政策の目的が不明確であることによって,どのような現実の問題が起きたと言えるだろうか。以下少し立ち入って検討してみよう。<br />
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第1に,概して,地域包括ケアの実施主体とされた基礎自治体の熱意を引き出せなかったことである。地域包括ケアは従来,施設ケアの領域に集中していた支援を必要とする人々の地域への分散を伴うものであり,このようなケアを成立させるためには,大きな移動のコストと,移動の非効率化に伴うマンパワーの増強,さらにそれらの諸人材の密接な連携,さらには地域社会からの広範な協力の調達を必要とする(これらはすべてコストである)。その意味では,実施主体とされる自治体関係者にとってみれば,よほどのメリットが見えなければ,そのようなケアシステムを真面目に構築したいとは思わないだろう。高齢化対策になると言われても,目に見えて自分の町のケアシステムが非効率的になることがわかっている以上,それが説得力をもたないことは明らかであった。<br />
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第2に,政策目的が明確化されていなかったために,具体的な施策の是非,取捨選択を評価する準拠点が存在しなかったことである。地域包括ケアシステムは地域の実情に合わせて違うものを構築していくことが推奨されているため,施策の外形的内容を指定していくという方法は抑制された。このことは,指示されたとおりに事業を実施することに慣れていた自治体にとっては,「親離れ」にも似た困難ないし挑戦をもたらすものであったことは確かだが,それでも作り上げようとするシステムの性格から言えば,当然の方法であったとも言える。<br />
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ただし,施策の具体的内容が自治体の判断に委ねられる以上,具体的な施策の是非を評価する原則を指定しておかなければならない。ところが,政策目的が明確化されていなかったため,外形的な方法に替わって政策内容を規律する原則もまたはっきりしなかった。その結果,自治体関係者は,何をすれば地域包括ケアシステムを構築したことになるのか,という入口のところで困惑することになったのである。<br />
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逸話的な話を挟んで恐縮だが,筆者が地域包括ケアに関する講演に呼ばれた際,今日まで決まって示されてきた疑問は,「地域包括ケアシステムとは何でしょうか」というものであった。また,自治体によっては,地域包括ケアをケアの財政負担を引き下げるための制度であるとの解釈に基づいて,要介護認定率を引き下げるなど介護保険制度の外部に当事者を押し出すことを第一の政策目的と位置づけて施策を推進したところもあったように見える。これもケアシステム構築の原則が示されていないことに起因するもう一つのリスクであると言える。<br />
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第3に,目的が正当化できないにもかかわらず,地域包括ケア政策と高齢化対策がイメージとして結びつけられ続けたことで,ケアシステムの効率化にとって阻害要因になった可能性である。いわゆる「2025年問題」の喧騒を思い出してみよう。地域包括ケアを2025年までにシステムとして完成させることが,高齢化に伴う諸需要に備えることであるという主張がなされてきた。もちろん,介護需要などがこの時期以降にピークを迎えることは確実であり,それに向かって資源整備を進めておくことが必要であることは言うまでもない。だが,資源整備という観点からみても,地域包括ケアは,その基本的な性格からいって,むしろマンパワー不足を加速する方向に作用する。一方でマンパワー不足を加速しつつ,他方で地域住民や当事者家族の協力によって不足を賄おうという「行って来い」的な政策は,それ自体,将来予測されるマンパワー不足への対策になっていないと言わざるを得ない。<br />
マンパワー不足を解決する方法は,労働力を増強するか労働生産性を上げるかのどちらかだが,このいずれに対しても政策的対応が遅れてきた。筆者には,地域包括ケアシステムの構築を高齢化対策の中核に位置づける政策思考が政策立案者を支配していたために,ケアの効率化という意味における高齢化対策は,地域包括ケア政策とは別に実施しなければならないという基本的な事実が等閑視され,独立したケアの効率化の必要性がカムフラージュされてしまったように見える4)。<br />
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現実主義的な観点からみて,筆者は労働力を外国から導入できる余地は小さいとみなければならないと考えている。長期的にアジア全体が高齢化していくなかで,ケア労働者のコストは継続的に上昇していくことは確実である。そのなかで,日本が,労働力を「買い負け」る傾向を強めていくことは避けられないからである。とするなら,対策の基本はテクノロジーによる生産性の上昇ということになろう。思うに,AI技術,自動運転技術,ロボット技術などは,将来のケアコストを大幅に引き下げることが期待できる。それをいち早くケアシステムとして確立したうえで,それを諸外国に売っていく。それによって,ケアの効率化のためのコストを回収していく。このようなビジネスを加速するような環境整備こそ高齢化対策に最も必要なものであるように思われるが,比較的最近までこの点への政策的関心は低調であった。とりわけ「2025年問題」の文脈においてはこのような論点がまったく議論されていなかったことは,地域包括ケアを巡る政策思考のなかに,ケアシステムを長期的に効率化していくための社会的投資の観点が希薄であったことを意味している。<br />
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4. 政策目的喪失の原因<br />
ここまで地域包括ケアの目的の喪失とそれがもたらしたと考えられる問題について述べた。だが,実のところ上のように評することによって政策の成否を断じてしまうだけでは,地域包括ケア政策の総括としては,やや安易なやり方であろう。というのも,現実の政策過程において,当事者の生活的価値を高らかに目的に掲げて政策を推進できる政治環境がなかった可能性があるためである。<br />
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地域包括ケア政策の推進者たちが,上のような問題に鈍感であったとは思わない。筆者の印象では,彼らも信念としては,高齢者の生活的価値を実現する地域ケア政策を作り上げることこそが本政策の真の目的であると考えていたように思う。だが,現実にはこの点を最上位の目的に掲げて政策を推進することができなかった。それはなぜだろうか。<br />
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この点を考えるには,介護保険政策と地域包括ケア政策を比較してみるとわかりやすい。介護保険制度は,導入当初から今日に至るまで様々なきびしい批判を浴びてきているが,それでも比較的短時間で日本社会に根付き,介護保険制度自体が不要だという主張はほぼ消えることになった。その意味では,介護保険政策は紛れもない成功だったということができる。制度導入10年前のゴールドプランおよびその準備の期間を合わせて約15年にも及ぶ周到な準備も効いたと思われるが,なによりも重要だったのは,日本社会に存在していた切実かつ普遍性のあるニーズを的確なかたちで捉えたことであった。急速な人口高齢化のなかで,高齢者の介護を,それを当然の義務とする社会的風潮のなかで担っていた家族の負担は,それ自体が単に深刻・切実な問題であると同時に,誰もが直面し得るという意味で普遍的な問題であった。このため,その必要性は,介護保険制度が導入されてわずか数年で自明のものとして社会に広く認められたのである。<br />
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これに対し,地域包括ケア政策はどうか。介護保険政策と比較すれば,はるかに見劣りがするということは否めない。政策が本格的に推進されるようになって5年以上の時間が経つが,相変わらず地域包括ケアの必要性という入口のところで躓いたままである。<br />
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介護保険政策にあって,地域包括ケア政策に欠けていたもの。それは,あきらかに切実かつ普遍性のある社会的ニーズの捕捉であった。だが,地域包括ケア政策にとっては,ニーズの領域が高齢者に限定されていたために,そこには介護保険制度におけるのと同じレベルの普遍的で切実なニーズは存在していなかったのである。<br />
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他方,筆者のいう生活モデル化は,長期の歴史的趨勢である。そのなだらかな性格のゆえに,現在の政策を熱狂的に推進する燃料の役割を果たすことはできない。地域包括ケア政策の目標として,人々の生活的価値の実現を掲げたとしてもそれは,介護ニーズほどの訴求力をもつことはできない。<br />
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このような状況のなか,地域包括ケア政策の推進者たちが,現実的な判断として折衷的なプラットフォームとして地域包括ケアを売り出さざるを得なかったとしても不思議ではない。ただし,そのような曖昧な地域包括ケア政策の位置づけは,結果として,政策の方向性それ自体の正しさ(生活モデル化の観点からみて)にもかかわらず,国民の無関心,行政の不熱心,混乱,誤解,真に必要な高齢化対策の停滞という状況を生み出したと言えるのではないか。その意味では,地域包括ケア政策は,抜本的な再構築を必要とする時期に来ていると評価すべきであるように思われる。<br />
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5. 共生社会からの再出発<br />
このような手詰まり感のある状況にあって提案されたのが共生社会論である。それは,2016年7月に「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部が厚労省に設置されて以降,議論が始まっているものであり,発表されている資料によれば,2020年頃から従来の地域包括ケアシステムを「深化」させるかたちで,多様な社会福祉施策と一体化しつつ統合的な地域ケアを順次構築していくということになっている。ここで重要なのは,この政策が,すべての世代・すべての生活課題を対象とする政策であり,それは高齢化対策よりもはるかにスケールの大きな生活保障政策の全体的な再構築に関する政策になり得る可能性を秘めているということである。<br />
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筆者の理解では,これは地域包括ケア政策にとって一つの好機であるように思われる。「共生社会論」のなかに地域包括ケアを再定位させることで,これまでのボタンの掛け違いを修正して,従来の高齢化対策としての政策から,より大きな生活保障の一翼としての政策へ位置づけ直すことのできる可能性があるからである。<br />
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当初の提案内容や,様々な検討会議で議論されている内容についてはひとまず措こう。今のところ萌芽的に過ぎるために,具体的な施策のレベルで課題をいちいち指摘しても仕方がない段階だからである。<br />
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そのうえで,ここではひとまず政策としての基本的な「素性」の良さについてのみ議論するが,まず第1に,地域包括ケアと同様に,共生社会において包含されるとされる生活困窮者自立支援制度,障害者総合支援制度,児童福祉,自殺対策,ホームレス自立支援制度などは,いずれも生活モデル化という政策的方向を共有する制度とみることができることから,一つの政策目的を共有する制度群として統合可能だということである。言い換えれば,共生社会に関する大きな政策を,全体として生活モデル化によって正当化することができるということである。と同時に,第2に,地域包括ケアにおいては高齢者のような特定のカテゴリーに施策を限定することによって困難となっていた,生活モデル的政策であると同時に、人々の切実かつ普遍的なニーズを捕捉することが,共生社会論のようにすべての世代,すべての生活困難に対象が広がることによって可能になるということである。<br />
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生活モデル化に合致しつつ,なおかつ人々にとって切実かつ普遍的なニーズ,そのようなものは見つかるか,と懐疑的な向きもあるかもしれない。もし見つからなければ,共生社会論の置かれる構図は,地域包括ケア政策と同じということになり,政策のスケールが大きい分,より困難に直面することになるだろう。その点から言えば,ここで政策の要請に適合しうる有力な候補が少なくとも一つは存在するということは示しておく必要があるかもしれない。<br />
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私の理解するところでは,戦後70年余に渡って張ろうとして張りきれなかったセーフティネットを,生活モデルの原則に沿って張り切ることを目指す政策は,その候補の一つであると思われる。戦後日本における広義の社会保障は,ナショナルミニマム(最低生活水準)を基準として,それ以下の経済水準の人々を最低限度まで引き上げる(救貧)とともに,社会保険などを活用して,最低限度以上の生活水準にある人々が最低生活水準以下に転落することを予防する(防貧)ことで,セーフティネットを張ることを目指してきた。だが,その結果として,①制度の隙間をすり抜けて困窮する人々,②ナショナルミニマム以下の生活水準にありながら支援を受けられない人々,③非経済的な理由で生活困難に陥る人々が各所に存在するという,およそ生存権保障の理念からかけ離れた不完全なセーフティネットしか張ることができなかった,ということは紛れもない事実である。<br />
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社会保障が不要であったということでは無論ない。だが,それは人々の抱える生活問題の全体からみれば,目立ったテーマを虫食い的にカバーできたに過ぎないとも言える。これに対して,共生社会政策は,全世代・全生活問題を対象とする政策であるから,少なくともこのような従来の社会保障の限界を明確なかたちで突破することが要請される(図表)。<br />
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誤解を恐れずに単純化して言うならば,従来の社会保障が突破できなかった生活問題の領域に広がっているのは,単に従来の社会保障が対象としてきた生活するための資源が不足しているということではない。むしろ,今日の生活困難は,自らが生きる途を独力で見つけ出していくことができないことにこそ起因している。例えば貧困のように,基本的には生活手段が不足していることが主要な問題に見えるような生活困難でも,ただ生活手段を提供すればそれで当事者が安定的に暮らしていけるようになるのではない。そこには,往々にして複雑に絡まりあった困窮の要因を解きほぐし,当事者にとっての着地点となり得る暫定的な支援目標を見出し,複雑な世界に立ち向かう意欲を回復させていく丁寧で時間をかけた支援が必要となる。このような支援は「寄り添い」とか「伴走」と呼ばれるものであり,これこそ本稿において繰り返し言及してきた生活モデルによる支援作法の中核的内容にほかならない。<br />
図表<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEguvWZZwUBrTxEeRf8M1JUpjIKqzB7vA6Eu8qelYKHljHSo9Qn245x8-9lR5ciflU6CJFGa3UO8Caa80c0hMfSXcEPo6WT7_SNk7WFkMyk9Ahw5xj3HKRx5r0R2Bh-5_kbd0mQq4UTMWEY/s1600/%25E5%259B%25B31.png" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" data-original-height="462" data-original-width="608" height="243" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEguvWZZwUBrTxEeRf8M1JUpjIKqzB7vA6Eu8qelYKHljHSo9Qn245x8-9lR5ciflU6CJFGa3UO8Caa80c0hMfSXcEPo6WT7_SNk7WFkMyk9Ahw5xj3HKRx5r0R2Bh-5_kbd0mQq4UTMWEY/s320/%25E5%259B%25B31.png" width="320" /></a></div>
<br />
人生には様々な悩みや苦しみがつきまとう。おそらく誰でも,家族・仕事・友人関係・アイデンティティその他様々な契機から,他人には容易に明かせないような深い悩みや苦しみを抱え込む経験をするだろう。時としてそれは自身の努力によっても,また時には努力すればするほど状況がこじれていく。しかも,それらの生活上の問題は,必ずしも経済的な困窮に起因したり,帰着したりするわけではない。つまり,人生・生活とは貧乏人であれ,社会的な強者とみなしうる人であれ,誰でも困難になったり破綻したりしうるものなのである。<br />
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ここで,このような誰にでも降りかかりうる生活困難に対して,すべての当事者が必要に応じて,伴走的に支援する支援者を手にすることができれば,それは,戦後70年間の努力によっても張りきれなかったセーフティネットが,生活モデルに基づく新しい構想によって張り直されたということになるであろう。そしてそれは,共生社会というスケールの大きな政策に似つかわしい,切実かつ普遍的なニーズへの回答となるのではなかろうか5)。そして,筆者の理解では,地域包括ケア政策のなかで営まれた努力の成果を,上のようなビジョンに基づく共生社会政策の土台として流し込むことによって,高齢化対策という軛から地域包括ケアを解放することが,自然なかたちでできるように思われる。<br />
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6. 結語<br />
地域包括ケア政策は,全体としては間違った方向の政策ではなく,おそらくは歴史的な検証のなかでその意義に一定の評価が与えられることになるであろう。ただ,同時にそれが今日踊り場に立ち至っている(停滞している)と認識され,またその理由に関しても同時に理解される必要があることも確かなことであろう。これまでの地域包括ケア政策をいかに引き継いでいくべきかについての議論が深まっていくことが期待される。<br />
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《文献》<br />
1) 猪飼周平「地域包括ケアシステムの展望へ」(高橋紘士・武藤正樹編『地域連携論』オーム社,2013年,終章),猪飼周平「地域包括ケアの社会理論への課題」『社会政策』第2巻第3号2011年,猪飼周平『病院の世紀の理論』有斐閣,2010年。生活モデルをより厳密なかたちで述べたものとしては,猪飼周平「ケアの社会政策への理論的前提」『社会保障研究』1巻1号, 2016年がある。<br />
2) 田中滋「超高齢社会における地域の力:地域包括ケアシステム構築にあたって」(医療政策会議報告書「高齢社会における経済的・文化的・医学的パラダイムシフト」2016)。<br />
3) 地域包括ケア研究会「地域包括ケア研究会報告書 〜今後の検討のための論点整理〜」2009年。<br />
4) この観点に基づいて行われた座談会が「通過点としての2025年:介護ロボットと自動運転のあるSFじゃない「地域包括ケア」の未来」『訪問看護と介護』Vol.20, No.1, 2015年であった。<br />
5) この論点についてより立ち入った議論に関心のある方は,猪飼周平「ケアの社会政策への理論的前提」『社会保障研究』1巻1号, 2016年,猪飼周平「逆算的リアリズムからの生活保障」生活経済政策 (234), 5-10, 2016-07を参照されたい。また,これらとは別に,この論点を社会福祉の学説史との関係で述べたものとして,猪飼周平「「制度の狭間」から社会福祉学の焦点へ:岡村理論の再検討を突破口として」『社会福祉研究』 通巻122号, 2015年がある。猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-8852439446276725612017-02-20T13:59:00.000+09:002017-02-20T16:06:38.066+09:00映画「さとにきたらええやん」について<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px;">
映画「さとにきたらええやん」。大阪釜ヶ崎にある「こどもの里」の子どもたちの日常を描いた作品。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
2度拝見させていただいた。もとより映画なので、楽しんで鑑賞すればよいのだが、無粋な私にとっては、なにより「しんどさ」を抱える子どもへの寄り添い/伴走が決定的に重要であることを再確認する機会となったように思う。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
「デメキン」こと荘保共子館長はいう。「わたし自身は、基本的に何もできないと思ってるんですよ。信じて見守る、そばにいるということしかできない。苦しみを代わってやることはできないし、彼女たちがすべてを話してくれるわけでもありません。でも「今、一緒にいる限り、あなたの言葉を信じて、自分を取り戻す作業につきあうよ」「あなたはあなたでいい。いるだけでいいんだよ」という気持ちをもって接しています。」(<a href="https://l.facebook.com/l.php?u=https%3A%2F%2Fgoo.gl%2FOCO4Wt&h=ATNR4OX11C9Dd8cQbWV0BH7DlYmLS1PkYAc4IbSlNYCoq3PGl1uAXdiOgwvcyaCmh3e0HGKISdgvM09r3NpybPtj9Hi9xnDewSow0Fr1cndhV3xDUE1rnrmQTasARyzwcMdXwGVT0VWJl3G6ggnuDx73&enc=AZMaMivdd24OdamgxaE-ve8koxZWITrlUcIUBKy2RD7MzBK4oEIZ3lSQG7lEOcUgooFSzpR34gtgHT6Z_pkJFpY1q4z8Q_9GOtV2NQ2Wi-S51sgTJ9XhSUKaMwL5R8OmukljYRzNRhGx4e7Mms85gjgfL9m3fSAMi606DZzaqNBDuyGsViplvF2Mz9sLzIsPb81_7mi5pAYfHUxWct4yvCPd&s=1" rel="nofollow noopener" style="color: #365899; cursor: pointer; text-decoration: none;" target="_blank">https://goo.gl/OCO4Wt</a>)</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
また、子ども食堂関係者の前で、次のようにも述べている。子ども食堂もいい。ただ、そこに来る「しんどさ」を抱えた子ども1人に徹底的に付き合ってみてほしい、するといろんなことができてゆく、と。<br />
(<a href="https://goo.gl/tcHwbY" rel="nofollow noopener" style="color: #365899; cursor: pointer; text-decoration: none;" target="_blank">https://goo.gl/tcHwbY</a> 45:00ごろから)</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
一人一人違っている子どもの「しんどさ」に付き合っていくことで、1977年に「子どもの広場」として始まった活動は、子どもの遊び場としての機能を軸として、子ども・親を支える広範な活動を行う今日の「こどもの里」へと発展してゆく。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
こどもの里の事業内容(公式ウェブサイト2017/02/20現在)<br />
※大阪市留守家庭児童対策事業(学童保育)<br />
※小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)<br />
※大阪市地域子育て支援拠点事業 (つどいの広場)<br />
※児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)<br />
※自主事業≪緊急一時保護・宿泊所、エンパワメント事業、訪問サポート事業、中高生・障碍児居場所事業等≫</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
おそらく、今後児童福祉、社会的擁護領域において、こどもの里のタイプの施設は、広まってゆくだろう。ただ、そこで重要なことは、多様な機能を事業として備えた施設ができるだけでは子どもの里におけるような支援とはならないということである。というのも、こどもの里は、子ども1人1人に寄り添う/伴走することの結果であるからである。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
政策論においては、いかにして制度を作るかということがもっぱら議論される。その中でどのような作法で支援が行われるかは、気にされておらず、制度があればまあまあの支援が行われるだろうと期待されている。つまり「作法は制度に従う」という前提である。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
だが、こどもの里が示しているのは、その反対である。つまり、子どもに徹底的に付き合う=寄り添う/伴走することの結果として、ニーズを満たす制度が成立するということ、すなわち「制度は作法に従う」という原則こそがよい支援を成り立たせるということである。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
寄り添い/伴走は、そのコミットメントの大きさから、そんなものを一人一人に保証していたら、生活支援など成り立たないし、そもそも、寄り添いに夢中になるような酔狂な人間はそんなにいないと思われるかもしれない。もちろん、寄り添い/伴走には大変な手間暇がかかることがあるのは事実である。だが、この映画は、そのような考えが、杞憂に過ぎないことを主張しているように思う。なぜなら、こどもの里が、子どもに関わろうとする人を巻き込む力に溢れているようにみえるからである。なんとなれば、魅力的なスタッフたち、そしてなによりデメキン自身が、とても幸せそうなのだ。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
<br /></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
〜〜〜</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
<br /></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
私のように頭でっかちに鑑賞する必要は無論ない。ともかくも、子どもの里のエッセンスのつまった「さとにきたらええやん」、一度ご覧になることをお薦めしたい。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
重江良樹監督によると、登場する子どもへの配慮から当分DVD等にする予定はないという。自主上映の予定については、公式Twitterにて随時更新されるので、そちらをご覧の上、上映会にゆかれるとよいと思う。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
公式サイト<br />
<a href="https://l.facebook.com/l.php?u=http%3A%2F%2Fwww.sato-eeyan.com%2F&h=ATOM9dYFD8kPH3E9f8sQIUjPSPZIsVCMp1BnEzpS-BpYdYJjxP_acfN-y5fh-KIzB9I9hAULWg5H_Fd6aTqLMAq0r1GjSWYukRIceFELGmG580ox4QKEbNqXJ0z1Dmh93_ReN9eYn5H5iDbG6vVra2FS&enc=AZPyj34TkrY2YDmpn-P2C76pzbZyXSg9FQ1onZnujhxRX3DYDZlCPOzddi04TDVDH0pCiFUyAl92TjmlMGdz1h9qfFPtaDiNkLmp7S93Qn2QprMCFEyzwBgMR8eD0sPpHCqyQTeLRyXFcZu4XzG9vmDieyVHFL0x3KnkPv9Eg-nupQRlfwOjcmJy1ACSaynPE4Bxp98DRxDtVA2M9qJZkQ13&s=1" rel="nofollow noopener" style="color: #365899; cursor: pointer; text-decoration: none;" target="_blank">http://www.sato-eeyan.com/</a></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
公式Twitter<br />
<a href="https://l.facebook.com/l.php?u=https%3A%2F%2Ftwitter.com%2Fsato_eeyann&h=ATPOLKqrSHTC9LMIpHq-iiukFnPrCC6p3OTOcZLTd4cRmNLj9zzivS6Q5xLvgpipzsz7cSUCmL7Nl2OzHUn1Vq1QttzVbtJt_HlQAa_wI4tOsT13YV1hzKu9QXXwRHN3yWO3CWQzAfHhLYKKdT3BOa_H&enc=AZPRnXejjWmA0gGVygeIr7PYv7gaVONhWiUD6B1OoSwF2ok4YGhk1QF3ywm88dC8a8ing1ivroqFpMv19E47wiyOJKjrZsmcIi1HaeQvNv-h-gcS3G_Zs8j6TTNddlUZHTr1Cz1A5mvmQOAENhbarOIOilVexca4T1Squt1CXbWiwWUUFD_O3GTGu-hTqz5-j_y70Q3JJ1aUGHzzfTzsdKYF&s=1" rel="nofollow noopener" style="color: #365899; cursor: pointer; text-decoration: none;" target="_blank">https://twitter.com/sato_eeyann</a></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
子どもの里<br />
<a href="https://l.facebook.com/l.php?u=https%3A%2F%2Fwww.eonet.ne.jp%2F%7Ekodomonosato%2Findex.html&h=ATNXGhFBgTvDE-KXq3rXV3Os7D6qiWkJs-CcB9JVDgdKwtSGmQ5ZHo4CfOooWdpki9aLyR_-kFqXvPbjzt7249f4oKWNjAKL8vhBe8P-wYFTr6JP954ceenZYpt7OYR7Io20Ii2ZMqPOqFJfbZu2fSKa&enc=AZNG00Y0-Amh73GRtdi86Y8IJnstmP1AYJeOiRuovkvAkkMaAtU6U0lKvhyvWJL9IBRaGZToR1x24mBIG9d1cIiQNpIqK7y74DSvd8CWwXKQfthMrt4yDaYVbkJlKv67JkX1R8408LYSg85eh678Rs66wIaap_VqXYefoiasV7iL-9fe_OVkNkqgWxWU3pFaJ21NWkA1kyUK8OtDn_D77w1B&s=1" rel="nofollow noopener" style="color: #365899; cursor: pointer; text-decoration: none;" target="_blank">https://www.eonet.ne.jp/~kodomonosato/index.html</a></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
館長荘保共子さんインタヴュー<br />
<a href="https://l.facebook.com/l.php?u=http%3A%2F%2Fwww.jinken.ne.jp%2Fflat_now%2Fchild%2F2006%2F04%2F07%2F1325.html&h=ATNOnlrLmNfUQsWK8FsaPipdWR2P_1tAip1GnqkLwAm9zlrNBouksdf7dzwsq7KjNnpaRDDfmUwasJ2VE8njTSwEAO1ix41IlHZp5I1YUSRcguoOMRLR-3wlOkP4ofSihX52HZ-xOXHjGoqcF6kvnyDn&enc=AZP7wKOn2vZP0ORD6Pv6jw9NYheYGJPt4q7mTLOgeB5Yfx2MXSVNrTYqSBasmfYqJpmIoISMS16am2LSNOPThdZeaGROMYybgFwabnGgwLv8E-VfK1I-I8AoRqNE9Xl5ASSLMWSLP2BOiwIbALFqPMTTa-4LxMWPmCpJEa-Sso2Je_Cg5gxnCCSSInuQ1R6c_zY6PZ5pmT5VrQD1xz_Ra8XD&s=1" rel="nofollow noopener" style="color: #365899; cursor: pointer; text-decoration: none;" target="_blank">http://www.jinken.ne.jp/flat_now/child/2006/04/07/1325.html</a></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
<br /></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
以下は、「さとにきたらええやん」の公式パンフレットに掲載されている「「こどもの里」館長荘保共子さんのお話」からの引用である。ご参考までに。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
「日雇い労働という形態が家族にあったから、それが生きることのしんどさに繋がっていましたね。今はそれが減って、母子家庭とか、親自身が病気を抱えていたりとかそういうケースが増えてきましたけど、こどもが親のしんどさを抱えて生きなきゃならないという状況は変わらないです。」</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
「子どもたちと付き合うということは子どもが生きていること、子どもの生活そのものと向き合い、それをサポートしていくことだと教えられました。」</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
「どんなにひどいとこちらが思う親でも子どもにとっては親は親。こどもは親が大切で大好きな「宝」なので、親を何とかしたいといつも思っている。だから子どもが生きるということは、親の生活、しんどさも知って親との関わりも大切になってくるんです。ここでは家庭はないけれど、家族がしっかりとあります。」</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
「子どもたちの様子は遊びを見ていればわかる。遊びを通じて、しんどい子はそのしんどさがわかってくる。SOSみたいなもので、不断一緒に遊んでいるからわかること。子どもたちもここなら、この人なら発信できると思ってくれたら発信してくれる。遊びの場、というのが今後の鍵になってくると思っています。…どんな年齢の子でも要は誰かに伝えたい、聴いて欲しいってことはあるので、それをキャッチすることが大切で、「こどもの里」はそれができる場だと思う。」</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; display: inline; font-family: Helvetica, Arial, "hiragino kaku gothic pro", meiryo, "ms pgothic", sans-serif; font-size: 14px; margin-top: 6px;">
「私がここの子どもたちに出会って、自分の行き方自体を変えられたし。私の行き方を作ってくれたのは、ここの子どもたち。今のここの在り方も、子どもたちが必要だから。子どもたちが作ってきたと思っています。」</div>
猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-10949491781050386242016-06-25T00:39:00.002+09:002016-06-25T00:39:46.741+09:00逆算的リアリズムからの生活保障『生活経済政策』という月刊誌の本年7月号に掲載される予定の文章の草稿です。<br />
<br />
<br />
【pdf版は<a href="http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/16/ikai16b.pdf">こちら</a>】<br />
<br />
----------<br />
逆算的リアリズムからの生活保障<br />
<br />
猪飼周平<br />
<br />
1.<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>逆算的リアリズムと生活問題の構図<br />
<br />
J.M.ケインズは、かつて「わが孫たちの経済的可能性」と題する講演をしたことがある。そこでケインズは、経済問題は人類の永遠の問題ではなく、「わが孫たち」の生きる100年後には、経済問題一般が解決するか、少なくとも解決が視野に入っているだろうという見通しを述べた。大学院生時分この講演録に接した際、1930年すなわち世界恐慌が始まった翌年にこの講演が行われたという事実に驚くとともに、そもそも経済問題一般が解決した社会の姿をイメージしつつ経済学を構想していたことに、ケインズの偉大さを実感したことをよく記憶している。<br />
<br />
もちろん、2030年にケインズのいうような社会が実現すると考えている人は、当時はもちろん、今日でもほとんどいないだろう。その意味では、ケインズの見通しは予言としては当たらないことになるであろうが、筆者に言わせれば、見通しの当否の類は大して重要ではない。むしろ、重要なのは、経済学が達成すべき究極の状態への展望から、具体的な政策やそのための理論を逆算的に導出しようとする観点—これを「逆算的リアリズム」といっておこう—をもつことが、展望のないただのリアリズムに飲み込まれないために必要であるということである。またそれこそが、世界中が恐慌に巻き込まれてゆく最中にあって、ケインズが一番言いたかったことであるようにも思われる。ケインズの『一般理論』は、当時の新古典派経済学の経済に関する捉え方からかけ離れたところから論理構築されているが、そのようなことが可能であったのは、ケインズがこの逆算的思考を基礎においていたからではないか、筆者はそのように思っているのである。<br />
<br />
さて、筆者が前置きとしてケインズについて述べたのは、本稿で、生活問題を逆算的リアリズムの観点から捉え直してみようと考えているからである。先進各国が生活問題を政策による支援対象=社会保障の対象とみなすようになったのは、基本的には戦後のことである。ベヴァリッジ報告を社会保障の実質的な出発点とみなす通説的な理解によれば、それは、戦前までに発達した諸制度をパッケージして、最低水準の生活(主に経済生活についてだが)を国民に保障しようとする野心をもって戦後スタートした。社会保障およびその実施に責任をもつ国家=福祉国家は、幾多の批判や危機を乗り越え、今日でも「国民生活の安定」を支える根幹的存在であるとみなされている。<br />
<br />
ところが、一度逆算的リアリズムの観点からみるとき、このような社会保障およびその拡充によって行う生活支援には明確な限界があることがわかってくる。すなわち、社会保障の限界は、おそらくは生活問題一般に対処するために必要な条件とは何か、という問題意識を持つことなく、目前に可視化された生活問題に対応することで満足しようとしている社会保障政策の現状によって画されていることがわかってくるのである。そしてそれは、世界恐慌の中で、長期的にみれば我々の世界が持続的に経済成長をし続けているという事実に目を向けることができないまま、足許の現実から悲観のみを引き出した当時の経済政策の現状と大きくは違わないのではないか。<br />
<br />
とするなら、ケインズに倣って、生活問題一般を相手にすることができる社会保障—本稿ではこれを「生活保障」と呼んでおこう—の条件から、今日の社会保障のあり方を再検証することは決して無駄ではあるまい。そこで、以下では、ごく限られた紙幅ではあるが、そのような観点から、生活問題一般と社会保障との間のギャップとは何か、それを埋めるために何が必要かを考えてみたい。<br />
<br />
<br />
2.生活保障の定義<br />
<br />
もっとも、生活問題というだけではその意味内容が茫漠としているので、立ち入った考察を始めるまえに、生活問題のその中身を少し明確にしておく必要がある。ここでは操作的な観点から、生活問題を、当事者が独力で対処することができない生活上の困難を意味することにしよう。このとき、ケインズのいう経済問題は生活問題の一部を構成するが、経済問題が解消すればそれで生活問題が解決するわけではない。第1に、個人の経済問題は多くの場合、経済外的な様々な要因と結びつきあってひとまとまりの生活問題を構成しているので、経済問題の部分のみ解決したとしても生活問題自体が解決しない。第2に、仮に経済的問題が全く存在しない条件においても、家族関係・友人関関係・コミュニティ関係その他社会関係に関する問題、差別に関する問題、アイデンティティに関する問題、病気や障害に関する問題、自殺に関する問題、犯罪に関する問題などは原理的になくならない。したがって、生活問題一般の解決とは、経済問題の解消のさらに先にあるということになる。<br />
<br />
さらに、生活問題の本態は、個々の生活上の要素や問題よりもその組み合わさった生活問題のあたかも生態系のように複雑な構図(エコシステム)の方にある。生活問題の「解決」は、必ずしも個別の問題の「解消」を意味しない。生活支援の現場にいるソーシャルワーカーたちが証言するように、多くの場合、本人をめぐる生態系のような諸要素の複雑な連関の構造を別の構造へと変化させることによって、生活問題の当事者がその問題を独力で取り扱えるようになることが着地点であり、あえていえば「解決」なのである。しかもその「解決」の形は試行錯誤の中で見出されるものであり、そこで発見されたある「解決」が一番よい「解決」であるかどうかはわからない。そしてなにより「解決」という状態自体が見つからないこともしばしばである。<br />
<br />
その意味では、生活問題は経済問題と違って一般的な解決=問題状況の消滅は原理的にできないとみなさなければならない。したがって、逆算的リアリズムの出発点となる状態を生活問題一般が解決した状態とするのは経済問題一般の解決した状態(桃源郷)と違って具体的な意味内容をもたない。そこで、ここでは生活問題を抱える全ての当事者に対して、その生活問題のあり方に即した支援がともかくも届いている状態(生活上の困難を抱えているすべての人が放置されない社会)ということを、生活問題一般に社会が対応している状態とみなすことにしよう。そして本稿では、この状態を生活保障が実現している状態とみなすことにしよう。<br />
<br />
<br />
3. 社会保障の限界<br />
<br />
さて、本稿の意味における生活保障について、従来、国家はどのように関与してきたのだろうか。いうまでもなく今日この領域でもっとも大きな役割を果たしているのは社会保障である。よく知られているように、日本を含め先進諸国の多くでは、社会保障制度を整備することを通じて「国民生活の安定」を目指してきた。だが、社会保障はそれ自体が、実のところ生活保障からみれば程遠いものであるということをまず確認しておかなければならない。<br />
<br />
そもそもベヴァリッジ報告で基軸となった考え方は、最低生活水準(ナショナルミニマム)を国民全体に保障する一方で、最低生活水準を超えた部分に関しては、自由な活動を妨げないように、なるべく国家の介入を控えようとするものだった。だが、現実の社会保障がそのような理念に基づいて制度化され、また運用されたかといえばそうではない。<br />
<br />
ここで国際比較を踏まえて緻密な議論をする紙幅がないので、日本に限定して論ずるが、まず社会保障は、最低生活水準以下の暮らしをする人びとの多くに対して、最低生活水準の生活を普遍的に保障していない。最低生活保障を謳った憲法第25条が、プログラム規定的性格をもつもの(正確には抽象的権利説)として解釈されており、事実上底が抜けていることはよく知られていることだが、運用としても、生活保護の捕捉率が10-20 %とみられていることから明らかなように、最低生活の普遍的な保障は、あくまで建前のものとなっている。その意味では、最低生活水準以下の水準で暮らす人びとに対して、社会保障には「果たされない約束の領域」が広範に存在しているということになる。<br />
<br />
また、最低生活水準以上についても、基本的には社会保険を軸とする経済生活の破綻のリスクを軽減することを通じて、貧困を予防する「防貧」的政策をその守備範囲とする一方で、それ以外の様々な生活上の問題については介入を差し控えてきたといえる。<br />
<br />
その結果として、最低生活水準を保障することを主要な機能とするベヴァリッジ的な社会保障とも、生活問題一般に対応しようとする生活保障とも異なる領域に、現実の社会保障は定着したのである(図1)。<br />
<br />
図1<br />
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiQyJvyydNvHssO5KRz9IPW2sO4l3xhyphenhyphenV_FwyLlt4OmLFQ9sJisXaOSNtgG2ZheAiP626hpdktpGcfyTOVdKz_Qtp_sw0acWI3ZpwrK4JfY_bAHrVsuKKCkfMxXZgPCrA90CRuBUwvclrw/s1600/%25E5%259B%25B31.png" imageanchor="1"><img border="0" height="300" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiQyJvyydNvHssO5KRz9IPW2sO4l3xhyphenhyphenV_FwyLlt4OmLFQ9sJisXaOSNtgG2ZheAiP626hpdktpGcfyTOVdKz_Qtp_sw0acWI3ZpwrK4JfY_bAHrVsuKKCkfMxXZgPCrA90CRuBUwvclrw/s400/%25E5%259B%25B31.png" width="400" /></a><br />
<br />
ではなぜ社会保障は、このような姿になったのだろうか。この点については、社会保障論の領域においても、社会保障法の領域においても、明確な合意はない。むしろ性格を異にする諸制度の集合体であることを追認するような論理構築がなされているのが通説的であろう。だが、社会保障を生活問題一般の中における位置づけを考えるとその論理がよく見えてくるように思われる。<br />
<br />
社会保障の支援方法は、さしあたり次の3つの特徴を含んでいる。第1に、富や所得の再分配を基軸としていることである。これは社会保障の主な標的が経済問題にあることを意味している。第2に、社会問題として抽出された問題別の解決を指向している点である。これは生活問題を抱えた人単位でなく、同じ問題を抱えた集団を政策の対象としているということである。第3に、施策の効果を統計的な観点から見ていることである。<br />
<br />
実のところ、この3つの特徴を貫くのは、効率の観点である。第1と第2の特徴は、個々別々にみれば多様で複雑な内容をもっている生活問題を、カネの問題やその他の単純な問題に単純化して解釈し、さらに可能なかぎり単純で大勢の人を一挙に相手にできるような支援方法を指向していることを意味している。また第3は、第1と第2のような単純化を正当化する論理として、単純な方法で対応できないものは、支援効率が悪いものなので対応しなくてよいという功利主義的な立場に立っていることを意味する。問題を単純に把握して、単純な解決策を出し、取りこぼしは許容する、これこそが社会保障が理念はともあれ方法として採用してきた効率の論理にほかならないのである。<br />
<br />
ということは、詰まるところ社会保障とは、その理念や権利性に従って形成されたというよりも、マスに対する生活支援として統計的・集団的に結果が出やすいところを虫食いにした結果として形成された支援領域ということになるのである。そして、結果として、図1の概念図が示すように、私たちの生活問題には、いまだ社会保障的な効率の論理では包含することのできない広大な領域が残されているのである。<br />
<br />
<br />
4. 残された領域の生活問題<br />
<br />
1970年代以降、生活問題の幅広い領域で緩やかではあるが確実に進行してきた変化がある。それが、生活問題は個別的で複雑な性格をもっているという認識の広がりである。このような生活問題認識を代表する概念が「社会的排除」である。<br />
<br />
従来の社会保障は、たとえば「貧困」を「お金がない」「仕事がない」という意味に単純化し、現金給付や雇用創出という策で対応しようとしてきた。だが、貧困の要因の中にたとえばアルコール依存が関与している人に、やみくもに「お金」や「仕事」を提供しても状況が改善しないことはいうまでもない。当事者がどのような本人と環境の複雑な相互作用の中で困窮しているか、そのなかに飲酒がどのように関わっているのかを把握することなしに、当事者の状況を改善することはできない。社会的排除概念は、まさにこのような生活問題が複雑性・個別性を有しているという認識を主要部分として含む概念なのである。<br />
<br />
実は、このような支援観の変化は、従来の社会保障にとって手の届かなかった、支援効率の相対的に低いとみなされてきた領域に対して支援しようとすればいかなるタイプの支援が必要であるかを示している、と同時に現代社会が挑むべき生活問題のフロンティアがそこにあるということを示しているといえる。<br />
<br />
生活問題一般のうち社会保障が対応できなかった領域、すなわち、「果たされなかった約束の領域」にいる人びと、最低生活水準以上の生活水準にありながら生活に困難を抱えている人びとのいずれの場合も、支援するには、上記の複雑性・個別性に正面から立ち向かう必要がある。<br />
<br />
一例をあげよう。図2は、自殺対策支援センターライフリンクが2008年に実施した調査の結果を図示したものである。調査によれば、既遂者について、自殺に至った要因は少なくとも70以上あり、平均して1人あたり4要因が複合的に影響していたという。これらには経済的な要素もあれば非経済的要素も含まれている。しかも、自殺の個別的要因については、大体のものについて何らかの支援窓口などがすでに存在していた。つまり、既遂者の多くが、行政などが設置した相談窓口の網の目をすり抜けて亡くなっていたということなのである。このことは、自殺問題が、従来の社会保障的なアプローチである、自殺に影響をおよぼしている個別の要因を取り出してそれに一律的に対応するやり方では対応できないこと、問題の本質が個別の問題の複合的構造それ自体にあることを示している。<br />
<br />
しかも、当事者が自殺しないことは究極のゴールとはいえない。というのも、自殺が生きることの苦しみの果てに起きるのだとすれば、自殺させないようにするだけでは「生き地獄」を当事者に味わわせることにもなりかねないからである。したがって、当事者を支援する際に何を着地点とすべきかを「自殺しなければよい」のように一律に決めることはできないのである。<br />
図2<br />
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgi_fcOcwkV4pi_mbGlNUZNWJaY11MbqSSZHXFkQw7ZTdsj-CsY67YU-JjhMFRg8d2y_u9ec4w0a4R7E1ps697UywbSxws5vm1AUykg-Ccu3ycpWDnTpI-F9qT-Mmggs04FGSP_lw0dR-0/s1600/%25E5%259B%25B32.png" imageanchor="1"><img border="0" height="290" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgi_fcOcwkV4pi_mbGlNUZNWJaY11MbqSSZHXFkQw7ZTdsj-CsY67YU-JjhMFRg8d2y_u9ec4w0a4R7E1ps697UywbSxws5vm1AUykg-Ccu3ycpWDnTpI-F9qT-Mmggs04FGSP_lw0dR-0/s400/%25E5%259B%25B32.png" width="400" /></a><br />
<br />
出所:自殺対策支援センターライフリンク『自殺実態白書2008』<br />
<br />
<br />
5.社会保障から生活保障に向かうために<br />
<br />
本稿でいう生活保障の実現は、社会保障の延長線上に実現することはできない。仮に社会保障的方法で対象を拡張しても、単純化することのできない問題を単純に解決しようとすることによる弊害が起きるばかりで、本質的な支援にならないであろう。<br />
<br />
もちろん、筆者は、社会保障それ自体が無意味などといっているのではない。それは今でも生活問題に立ち向かう根幹となるものである。そしてなにより、社会保障の出発点となったベヴァリッジ報告自体がまさにケインズその人の影響を強く受けていたことからもわかるように、本来社会保障は生活問題一般の解決を指向していたはずである。だが、今日の社会保障論議は、そのほとんどが生活保障を実現する見込みのない方法に固執しているといわざるをえないのである。そこには、私たちは何を目指して生活問題への対応を構想すべきなのか、そのために何をすべきなのか、という逆算的思考が決定的に欠如している。<br />
<br />
では、具体的に何をすればよいのだろうか(もちろんこれがなければリアリズムにならない)。実は幸運なことに、「残された領域」の問題に対応する支援方法を新しく開発する必要はない。というのもソーシャルワークがそれだからである。ソーシャルワークは、生活問題が単純なゴールの見えない複雑な事象であることを認めた上で、当事者の生活を支えるべく寄り添う/伴走する支援方法である。したがってソーシャルワークによる支援の成立要件などの面倒な話を省けば、要はこのソーシャルワーク的支援が生活に困難を抱えるあらゆる人びとに届くようにすればよいのである。<br />
<br />
日本では職業ソーシャルワーカーといえば、社会福祉士を思い浮かべる人が多いだろうが、彼らのような一握りの専門職だけで社会全体にソーシャルワークの網の目をかけることは現実的ではないし、費用的にも合わないであろう。むしろ、対人サービスに関わるあらゆる職種がソーシャルワークの能力を身につけること、さらには、全ての社会の成員がソーシャルワークの基本的素養を習得するように支援すること、そのようなソーシャルワークの網の目の構築に、市民社会、行政組織、法体系、そして社会保障を適応させることである。日本のようにソーシャルワークの社会的認知の低い社会にとっては、多少ハードルが高い社会目標ではあるかもしれない。だが、これが私たちの生活問題一般に対応した生活保障実現に必須の条件なのである。<br />
<br />
<div>
<br /></div>
猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-7828108585491310872016-06-07T18:11:00.001+09:002016-06-07T18:11:36.080+09:00「地域包括ケアの歴史的必然性」映像版出来<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: 'San Francisco', -apple-system, BlinkMacSystemFont, '.SFNSText-Regular', 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px; margin-bottom: 6px;">
亀田総合病院地域医療学講座から『地域包括ケアの課題と未来』というレクチャーシリーズが、2015年に書籍として刊行されました。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: 'San Francisco', -apple-system, BlinkMacSystemFont, '.SFNSText-Regular', 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px; margin-bottom: 6px;">
<span style="letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px;"><br /></span></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: 'San Francisco', -apple-system, BlinkMacSystemFont, '.SFNSText-Regular', 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px; margin-bottom: 6px;">
<span style="letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px;">この間、様々な困難があったやに伝え聞いていますが、小松秀樹さん、熊田梨恵さんをはじめとする様々な方々のご尽力で、書籍化と同時に撮っていた映像版もこの度公開になりました。</span></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: 'San Francisco', -apple-system, BlinkMacSystemFont, '.SFNSText-Regular', 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px; margin-bottom: 6px;">
<span style="letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px;"><br /></span></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: 'San Francisco', -apple-system, BlinkMacSystemFont, '.SFNSText-Regular', 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
私のレクチャー部分(10分程度)が、公開されたのでご紹介まで。</div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: 'San Francisco', -apple-system, BlinkMacSystemFont, '.SFNSText-Regular', 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
「地域包括ケアの歴史的必然性」映像版(10min)<br /><a href="http://www.socinnov.org/blog/p547" rel="nofollow" style="color: #365899; cursor: pointer; font-family: inherit; text-decoration: none;" target="_blank">http://www.socinnov.org/blog/p547</a></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: 'San Francisco', -apple-system, BlinkMacSystemFont, '.SFNSText-Regular', 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
<span style="letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px;">「地域包括ケアの歴史的必然性」文書版</span></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; font-family: 'San Francisco', -apple-system, BlinkMacSystemFont, '.SFNSText-Regular', 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
<a href="http://www.socinnov.org/journal/vol1/e2" rel="nofollow" style="color: #365899; cursor: pointer; font-family: inherit; text-decoration: none;" target="_blank">http://www.socinnov.org/journal/vol1/e2</a></div>
<div style="background-color: white; color: #1d2129; display: inline; font-family: 'San Francisco', -apple-system, BlinkMacSystemFont, '.SFNSText-Regular', 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; letter-spacing: -0.24px; line-height: 19.32px; margin-top: 6px;">
</div>
<div>
小松秀樹・小松俊平・熊田梨恵[2015]『地域包括ケアの課題と未来』<span style="background-color: white; color: #333333; font-family: verdana, arial, helvetica, sans-serif; font-size: 13px; line-height: 19px;">ロハスメディア</span></div>
<a href="http://goo.gl/9qS7F4" rel="nofollow" style="color: #365899; cursor: pointer; font-family: inherit; text-decoration: none;" target="_blank">http://goo.gl/9qS7F4</a>猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-7146385557760331902016-03-07T16:48:00.000+09:002016-03-07T16:48:57.094+09:00生存権と平和をつなぐもの鉄道弘済会の『社会福祉研究』の編集委員をしている関係で、時々「巻頭言」の執筆が回ってきます。次の文章は、次号第126号のために用意した草稿です(2016年7月刊行予定)。<br />
<br />
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【巻頭言】生存権と平和をつなぐもの(草稿)<br />
<br />
以下は、社会福祉職を目指す大学生大澤茉美の文章である。<br />
「ある女の子は、奨学金の返済に追われ、おなかの子どもを堕ろした。シングルマザーでは今の世の中をとても生きていけないと、一緒に制度を調べ、パソコンの画面の前で泣いた。・・・彼女が生みたかった子どもは、もう死んだ。たった一人の子を産み育てることを許さなかった政治が、いま安全保障関連法案を成立させようとしている。すでに数え切れないほどの命を見殺しにしてきた政権が、「安全」を「保障」すると謳う法案に無邪気に賛成できるほど、私をとりまく世界はすでに安全ではない」(『現代思想』2015年10月臨時増刊号)。<br />
<br />
昨年8月、「戦後70年目の8月15日によせて」と題する社会福祉系学会会長の共同声明が出されたことはご記憶だろうか。安保関連法案に対して危惧を表明するものであったが、私はどこか言いたりないことがあるように感じていた。というのも、声明が「危惧」として表明していたことは、煎じ詰めれば、戦争になれば社会福祉が脅かされるという自明の事柄だったからである。私たちがあのとき社会や国家に訴えたかったこととは、そういうことをだったのだろうか。<br />
<br />
→共同声明<br />
<a href="http://www.jaass.jp/archives/831">http://www.jaass.jp/archives/831</a><br />
<br />
思うに、戦後70年間を通じて、日本の社会福祉が感得してきたもの、その最も重要なものは、一人一人の日々の暮らしのかけがえのなさではなかったか。だからこそ、私たちは、人びとの暮らしを支えようとしてきたのではなかったか。とするなら、私たちが言いそびれたこととは、もしかすると、人びとの命や暮らしがいかに重いかということであり、私たちがすべての政治家に問うべきだったこととは、この命や暮らしの重さをよくよく踏まえたうえで、法案の審議に向かっているのか、ということではなかっただろうか。<br />
<br />
私のような国際関係論の素人には、法案が成立したことによって安全保障にどのような影響があるのかわからない。だが、そんな私にも明瞭なこともあるように思う。それは一人一人の命や暮らしの重みを知ることではじめて、私たちは戦争の手前で踏みとどまることができる、ということであり、それを知らない政治家がいるとすれば、彼らに平和を語る資格はない、ということである。<br />
<br />
<br />
このことを、社会や国家に不断に発信してゆくこと、それは社会福祉に関わる者にこそできることであると同時に、昨年来の宿題として持ち越されてきたことでもあるように、私には思われる。猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-1160242556315259182016-02-22T11:09:00.003+09:002016-02-22T11:09:45.457+09:00ヴァージニア・ヘンダーソンについて<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: helvetica, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.456px; margin-bottom: 6px;">
ヴァージニア・ヘンダーソンのBasic Principles of Nursing Care<gs class="GINGER_SOFTWARE_mark" ginger_software_uiphraseguid="646e2e2a-9aef-44a9-9b22-e77ac1f2c87e" id="fe03f464-80b8-4aaf-9fa9-f9226ec94dec">(</gs>1960<gs class="GINGER_SOFTWARE_mark" ginger_software_uiphraseguid="646e2e2a-9aef-44a9-9b22-e77ac1f2c87e" id="946bd5a7-4384-4af8-8afc-61c996c4380c">)</gs><gs class="GINGER_SOFTWARE_mark" ginger_software_uiphraseguid="646e2e2a-9aef-44a9-9b22-e77ac1f2c87e" id="3941d03b-af65-4573-87c4-6c2a009e7c90">(</gs>『看護の基本となるもの』<gs class="GINGER_SOFTWARE_mark" ginger_software_uiphraseguid="646e2e2a-9aef-44a9-9b22-e77ac1f2c87e" id="efe20948-d78a-4fba-8b5f-3f7ef31fe11e">)</gs>は<gs class="GINGER_SOFTWARE_mark" ginger_software_uiphraseguid="646e2e2a-9aef-44a9-9b22-e77ac1f2c87e" id="d519ad27-2f19-45a9-a526-00719d617e3f">、</gs>日本でも1961年に邦訳されて以降<gs class="GINGER_SOFTWARE_mark" ginger_software_uiphraseguid="646e2e2a-9aef-44a9-9b22-e77ac1f2c87e" id="0fec392d-fff3-45cb-b804-0f7c52b821ee">、</gs>永く読み継がれてきている<gs class="GINGER_SOFTWARE_mark" ginger_software_uiphraseguid="646e2e2a-9aef-44a9-9b22-e77ac1f2c87e" id="68f86092-57d8-4757-9968-aab680fc508d">。</gs>ただ<gs class="GINGER_SOFTWARE_mark" ginger_software_uiphraseguid="646e2e2a-9aef-44a9-9b22-e77ac1f2c87e" id="60a02949-746d-4ea3-942e-3d65dd4a1571">、</gs>本書の通説的解釈と実際に読んだ時の印象との間にかなりの乖離があることは確認しておく必要があるだろう<gs class="GINGER_SOFTWARE_mark" ginger_software_uiphraseguid="646e2e2a-9aef-44a9-9b22-e77ac1f2c87e" id="2682a577-3b51-41ae-80ff-0fd8b8d3c9bd">。</gs></div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: helvetica, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.456px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
ヘンダーソンは、少なくとも本書を読む限り、通説のように人間の基本的ニードが14段階に分かれるとは言っていない。第2章「人間の基本的欲求およびそれらと基本的看護との関係」の中で、人間の基本的欲求(fundamental human needs)と基本的看護との間に重要なズレがあると言っているのである。</div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: helvetica, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.456px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
ヘンダーソンによれば、看護が人間の基本的欲求に根ざしていることは一般に認めらるが、その「要素となる欲求は、社会学者や哲学者によって分類され是認されているが明らかに単純化されすぎており、繰り返しくつがえされてきた。文化が異なれば人間の欲求も異なった形で現れ、また各人はそれぞれなりに欲求を表現する。」「人間には共通の欲求があると知ることは重要であるが、それらの欲求が<span class="text_exposed_show" style="display: inline;">ふたつとして同じもののない無限に多様の生活様式によって満たされているということも知らねばならない。このことは、看護師がいかに賢明でも、またいかに一生懸命努めようとも、1人ひとりが求めることすべてを完全には理解できないし、その人の充足感に合致するように要求を満たすこともできない、ということを意味している。看護師にできるのはただ、看護師自身が可が得ている意味ではなく、看護を受けるその人にとっての意味における健康、その人にとっての意味における病気からの回復、その人にとっての意味におけるよき死、に資するようにその人が行動するのを助けることである。」邦訳pp. 17-18</span></div>
<div class="text_exposed_show" style="background-color: white; display: inline;">
<div style="color: #141823; font-family: helvetica, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.456px; margin-bottom: 6px;">
ここには、ヘンダーソンのケアについての深い洞察、看護の限界についての謙虚な認識が示されている。彼女のいう基本的看護とはその限界を前提として提示されたポジティブリストであると理解すべきだろう。私の理解する限り、彼女の基本的ケア観は生活モデル的である。</div>
<div style="color: #141823; font-family: helvetica, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.456px; margin-bottom: 6px;">
<br /></div>
<div style="margin-bottom: 6px;">
<span style="color: #141823; font-family: helvetica, arial, hiragino kaku gothic pro, meiryo, ms pgothic, sans-serif;"><span style="line-height: 15.456px;"><a href="http://goo.gl/6BTGGh">http://goo.gl/6BTGGh</a></span></span></div>
<div style="color: #141823; font-family: helvetica, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.456px; margin-bottom: 6px;">
<br /></div>
<div style="color: #141823; font-family: helvetica, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.456px; margin-bottom: 6px;">
<br /></div>
<div style="color: #141823; font-family: helvetica, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.456px; margin-bottom: 6px;">
<br /></div>
<div style="color: #141823; font-family: helvetica, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.456px; margin-bottom: 6px;">
<br /></div>
</div>
猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-72030877416057003182015-05-28T15:14:00.000+09:002015-05-28T15:14:18.985+09:00地域包括ケアクイズ<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: ヒラギノ角ゴ ProN W3;"><span style="font-size: 13.3333330154419px;">ここ1,2年の間に地域包括ケアに関する知識・情報発信のあり方は、大きく変化してきているように思います。その最大の理由は、このテーマに正面から取り組む実践家たちが多く現れたことにあるでしょう。私が学術的な研究から引き出した政策的な主張についても、彼らはそれを踏まえた上で自らの実践の中で、より具体的な知識に消化しようとしているように感じています。その意味では、象牙の塔の住人がしてきた抽象的な議論は、そろそろ実践の渦の中に消えゆく時期に来ているように思います。</span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: ヒラギノ角ゴ ProN W3;"><span style="font-size: 13.3333330154419px;"><br /></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: ヒラギノ角ゴ ProN W3;"><span style="font-size: 13.3333330154419px;">このような思いの中で、ここしばらく、地域包括ケアについてどのようなけじめとなる議論ができるだろうか、と考えておりましたが、ふとクイズを残すということを思いつきました。地域包括ケアに関わる方々に、私が前提として頂ければと考えてきた内容をクイズ形式で示しておくことで、チェックリスト的に使えると思います。よろしければ、以下の20問にチャレンジしてみてください。ただし、いずれも正解は、私の認識する正解だということですので、この点は誤解なきよう。</span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: ヒラギノ角ゴ ProN W3;"><span style="font-size: 13.3333330154419px;"><br /></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: ヒラギノ角ゴ ProN W3;"><span style="font-size: 13.3333330154419px;">なお、解答は示しませんが、正解の選択肢には著しい規則性があります。なお、クイズの作成にあたっては、東埼玉病院の中野智紀さんに相談させて頂きました。ご協力に感謝いたします。</span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: ヒラギノ角ゴ ProN W3;"><span style="font-size: 13.3333330154419px;"><br /></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: ヒラギノ角ゴ ProN W3;"><span style="font-size: 13.3333330154419px;">----------------</span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">【地域包括ケアクイズ】</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q1 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">ヘルスケアの目的について、次のうち正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l1 level1 lfo2; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">病人を死の淵から救い出すこと。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l1 level1 lfo2; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">寿命を延ばしたり、健康寿命を延ばしたりすること。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l1 level1 lfo2; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">病人を含む当事者の生活的価値を実現(</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">QOL</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">を増進)すること。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q2 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域ケアの根拠として相応しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l17 level1 lfo1; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">退院患者の受け皿を用意することで急性期病院の効率を上げるため。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l17 level1 lfo1; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">ケア負担を地域社会や家族に負わせることで高齢社会における財政危機を緩和するため。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l17 level1 lfo1; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">当事者の生活的価値の実現にとっての条件に恵まれているため。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q3 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルに近い意味をもたない言葉を選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l6 level1 lfo3; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">キュアからケアへ</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l6 level1 lfo3; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">全人的医療</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l6 level1 lfo3; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">リハビリテーション</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l6 level1 lfo3; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">④<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">社会的排除/社会的包摂</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l6 level1 lfo3; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">⑤<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">ナショナルミニマム</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q4 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルと医学モデルの関係について正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l9 level1 lfo4; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルは生活的価値を実現することに目的を限定しているので、救命・治癒を目指す医学モデルとは別である。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l9 level1 lfo4; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルと医学モデルはそれぞれ目的が異なるので、上手に連携させればよい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l9 level1 lfo4; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルでは、生活的価値が救命・治癒の上位の目的となるので、医学モデルは生活的価値実現のための手段の</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">1</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">つに位置づけられる。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q5 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルの要素であるエコシステム的因果観についての説明として正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l4 level1 lfo5; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルでは、地球環境への考慮こそが生活的価値を実現する上での基盤だと考える。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l4 level1 lfo5; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルでは、当事者の健康の原因は、本人に帰せられるべきではなく、社会的条件に帰せられるべきであると考える。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l4 level1 lfo5; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルでは、当事者の健康は、無数の環境的因子や本人の素因が相互に影響し合った結果に規定されると考える。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q6 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルの由来についての説明として正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l16 level1 lfo6; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルは、</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">1970</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">年代に提唱された、これまでのケアの常識を覆す新しいケアモデルであり、ケア革命を引き起こすものである。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l16 level1 lfo6; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルは、言葉としては</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">1970</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">年代に提唱されたものであるが、その基本的内容は古今東西どの社会においても当たり前に存在するごくありふれたものにすぎない。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q7 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルが浸透しつつある範囲として正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l10 level1 lfo7; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">高齢者ケア全領域</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l10 level1 lfo7; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">ヘルスケア全領域</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l10 level1 lfo7; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">ヘルスケアを含む福祉領域全体</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q8 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活モデルと社会的排除概念の類縁性についての説明として間違っているものを選んでください。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l15 level1 lfo8; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活的価値の実現を目指すための概念であるところ。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l15 level1 lfo8; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">当事者の置かれている状況を特定の要因に単純化して考えるのではなく、多様な要因の複雑な絡み合いとして理解しようとするところ。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 18.0pt; mso-list: l15 level1 lfo8; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">どちらもナショナルミニマムを実現するために有効な手段であるところ。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q9 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアの歴史の認識として正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 21.3pt; mso-list: l8 level1 lfo9; text-indent: -21.3pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">「地域包括ケア」という言葉は</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">1980</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">年代に提唱されたものなので、その歴史は</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">30</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">年程のものであるとみなしてよい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 21.3pt; mso-list: l8 level1 lfo9; text-indent: -21.3pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアが厚生労働省の政策となったのは、</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">2010</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">年代なので、その歴史も数年であるとみなしてよい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 21.3pt; mso-list: l8 level1 lfo9; text-indent: -21.3pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域において狭い意味での医療に拘らずに患者を支援する活動は、いつ時代にも存在していた普遍的な活動であり、その意味で地域包括ケアは実質的に非歴史的なケアであるといえる。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q10 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">在宅ケアの位置付けについて間違っているものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l14 level1 lfo12; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">当事者の生活的価値を実現しようとする際に、選択される蓋然性の高い手段が在宅ケアであり、その意味では、在宅ケア化は生活モデルにもとづく支援実践の結果として起きることである。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l14 level1 lfo12; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">在宅ケアが家族の元で行われる場合、時として当事者・家族の生活に厳しい困難がもたらされることもあることを踏まえ、当事者だけでなく、家族に対しても充分な支援がなされる必要がある。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l14 level1 lfo12; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活者は在宅でケアを受けることが望ましいので、地域包括ケアにおいては在宅ケアが原則である。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q11 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアにおける病院制度の位置付けについて正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l11 level1 lfo10; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">病院の世紀が終焉を迎えた今日、地域包括ケアにおける病院は長期的に解体する運命にある。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l11 level1 lfo10; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">病院の世紀の終焉は、医学の敗北を意味してはおらず、病院の使命は失われていない。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q12 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアにおける住民自治について正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l18 level1 lfo11; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアのシステム設計には各種制度についての専門的知識が必要のため、専門家主導で構築するのがよい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l18 level1 lfo11; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアにおける住民自治とは、住民がヘルスケアを支える存在に変わることを意味する。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l18 level1 lfo11; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアにとって住民は、ケアに必要となる社会資源ではあっても意思決定主体ではない。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l18 level1 lfo11; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">④<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">どのような地域包括ケアを選択するかは、当事者ともなり、支援者ともなる地域住民の主体的決定に基づく必要がある。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">13 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">ケアの生活モデル化と地域包括ケア化の関係として正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l12 level1 lfo18; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアは人口高齢化への政策的対応であることから、高齢者以外の当事者へのケアとは基本的に区別される。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l12 level1 lfo18; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">福祉全領域で進行しつつあるケアの生活モデル化の部分的現象として地域包括ケア化があることから、地域包括ケアにおいて適用されるケア原則は、高齢者以外のあらゆる生活問題と共通する。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q14 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアとまちづくりの関係について間違っているものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l2 level1 lfo13; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアは、当事者と支援者の双方が協働することで円滑に作動するものであることから、まちづくりと相通ずるところが大きい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l2 level1 lfo13; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域社会にも地域エゴなど負の側面が存在しており、地域でケアすれば自動的に住民全体が包摂されるという保証はないので、地域包括ケア構築に際しては、そのようなマイノリティへの配慮があわせて必要となる。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l2 level1 lfo13; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">まちづくりは住民自身の活動であるのに対し、地域包括ケアは基礎自治体が実施主体であるから、そもそも両者は似ていない。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q15 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">生活的価値(</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">QOL</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">)について正しいものを選んでください。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l13 level1 lfo14; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">当事者の生活的価値は、本人が一番よく分かっていると考えられる。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l13 level1 lfo14; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">当事者の生活的価値は、科学的な方法によって客観的に測定することが可能である。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l13 level1 lfo14; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">当事者の生活的価値は、オプティマムのレベルでは主観的にも客観的にも測定することができない。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q16 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">自己決定についての理解として間違っているものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l7 level1 lfo15; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">自己決定とは、当事者の意思決定を、本人以外の影響を排除して本人だけの力で決定したものとみなすという一種の仮構である。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l7 level1 lfo15; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">自己決定とは、当事者の意思決定の責任を当事者本人に帰属させるという、結果の責任を社会的に分配する</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">1</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">つの方法である。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l7 level1 lfo15; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">自己決定とは、当事者の尊厳を守る上で普遍的な重要性を有していることから、ケアにおける第</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">1</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">の原則とされるべきものである。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q17 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">多職種連携の方法について正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l3 level1 lfo17; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">医療系職種と福祉系職種では使う用語に違うので、医療系職種から福祉系職種への情報を流す場合は、福祉系職種が理解可能な内容に限定して行うべきである。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l3 level1 lfo17; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">当事者の生活的価値の実現を支援することが生活モデル的ケアであることから、当事者の生活ニーズを最もよく知る職種を中核として他の職種がそれをサポートするのが基本である。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q18 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">多職種連携の方法として正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l0 level1 lfo16; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">多職種連携に際しては、機能的な重複を避けるために、責任と権限の範囲を明確にするのが効率的である。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l0 level1 lfo16; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">多職種連携に際しては、当事者へのケア目標を共有した上で、連携チームのそれぞれが自分がすべきことを判断する方が、多様な生活ニーズに即応する上で好ましい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q19 2025</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">年問題についての認識として正しいものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l19 level1 lfo19; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">2025</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">年までに地域包括ケアシステムを完成させないとケアシステムが崩壊してしまうかもしれないので、とにかく急がなければならない。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l19 level1 lfo19; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">ケアの生活モデル化はそれ自体として、生活モデル的なケアを文化として根付かせる過程であるから、</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">2025</span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">年問題は、ケアニーズの増大への準備として重要であるとしても、あくまで通過点に過ぎない。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;">Q20 </span><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">中山間地域における地域包括ケアについて間違っているものを選んで下さい。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l5 level1 lfo20; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">①<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアは、地域の財政力に応じたシステム構築が可能なので、中山間地域の方が不利であるとは一概にいえない。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 24.0pt; mso-list: l5 level1 lfo20; text-indent: -24.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">②<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">中山間地域では都市部にくらべて強固な地域連帯がある場合が多いので、この点は地域包括ケアの構築に際して有利な点である。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
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<!--[if !supportLists]--><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><span style="mso-list: Ignore;">③<span style="font: 7.0pt "Times New Roman";">
</span></span></span><!--[endif]--><span lang="JA" style="font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; font-size: 10.0pt; mso-ascii-font-family: Arial; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-hansi-font-family: Arial; mso-hansi-theme-font: major-latin;">地域包括ケアシステムを構築するのには大きなコストがかかるので、それが難しい中山間地域に住む場合は地域包括ケアが構築できないことを覚悟の上で住まなければならない。</span><span style="font-family: Arial; font-size: 10.0pt; mso-ascii-theme-font: major-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ ProN W3"; mso-hansi-theme-font: major-latin;"><o:p></o:p></span></div>
猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-86933534572735287902015-05-09T14:36:00.000+09:002015-05-09T14:51:52.471+09:00タイガーマスクでは終わらせない私にとって4月は大変な月でした。というのも、ジャーナリストの大熊由紀子さんが主宰されているえにしの会という、主に医療福祉畑に関心をもつ実践家、行政家、政治家、学者、ジャーナリストなどからなる集まりの年次集会のコーディネーターをする羽目に陥っていたからです。今年はテーマが地域包括ケアであったこともあって、私にお声がかかったのだと思いますが、やはり静かに学者をやっているのが性にあっている、とつくづく思う機会となりました。<br />
<br />
ただ、転んでもタダで起きてはつまらないということで、集会にあたって「タイガーマスクでは終わらせない」と題して、地域包括ケアに関心をもって集まってこられた方々に社会的養護に関心を喚起することを目的としたパンフレットを作成して配布することにしました。<br />
<br />
以下は、パンフレットに私が書いた小文です。<br />
<br />
えにしの会については<a href="http://www.yuki-enishi.com/">こちら</a><br />
資料付きパンフレット(当日配布)は<a href="http://www.yuki-enishi.com/children/children-12.pdf">こちら</a><br />
厚生労働省「社会的養護の課題と将来像の実現に向けて」は<a href="http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/dl/yougo_genjou_02.pdf">こちら</a><br />
<br />
--------------------------------<br />
<br />
タイガーマスクでは終わらせない: 地域包括ケアと一緒に考える社会的養護<br />
<br />
<br />
1.美談としてのタイガーマスク現象<br />
<br />
みなさんは、「タイガーマスク現象」をご記憶でしょうか。2010年の年末に「伊達直人」を名乗る匿名の人物が、群馬県中央児童相談所にランドセルを寄付するということがあり、それがメディアに取りあげられたことで、その後次々に児童相談所や児童福祉施設に匿名での寄付が行われたあの現象です。2011年3月に東日本大震災が発災したことで、ブームは消し飛んでしまったのですが、テレビその他の媒体で、ずいぶん「美談」として流布しましたので、覚えていらっしゃる方も多いのではないかと思います。<br />
<br />
それにしてもなぜこれが「美談」として語られたのでしょうか。そもそも、ある事柄が美談となるとは、それが道徳的にみて純粋に美しい話、心温まる話であることを意味しています。たとえば、構造上の欠陥のために危険な交差点があったとして、車に轢かれそうになっていた子どもを身を挺して救った人があったとしましょう。このような話は決して美談になりません。むしろ、そのような危険な交差点を放置していた行政の無為が告発されることになります。つまり「伊達直人」が美談として語られたということは、社会的養護を必要とする子どもの置かれている境遇について、美談として語る社会の側には責任がないという認識が暗黙のうちに前提とされていたということを意味します。<br />
<br />
<a href="https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=7243582871735986682" imageanchor="1" style="clear: right; float: right; margin-bottom: 1em; margin-left: 1em;"></a><a href="https://www.blogger.com/blogger.g?blogID=7243582871735986682" imageanchor="1" style="clear: right; float: right; margin-bottom: 1em; margin-left: 1em;"></a>とするならば、仮に施設の子どもたちがランドセルを買うことさえもできないとしても、そのことについて、社会の側には責任がない、という前提的認識がこの「伊達直人」の行為の美談化の背景には存在しているということになります。実際には、施設の子どもたちがランドセルくらいは皆もっていることを考えれば、現実の施設における養育水準よりもさらに低い水準であってもやむを得ないという考えが、私たちの社会で常識化しているということが、タイガーマスク現象によって示されたとさえいうことができます。<br />
<br />
2.取り残されてきた社会的養護<br />
<br />
日本の社会的養護の特徴について、ここでは3点挙げておきたいと思います。<br />
<br />
①そもそも社会的養護の必要を認められる子どもが諸外国に比して少ない。<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhEPEHnyUtma2yp7jEoyKlocX3TNdxLfLpHQndl0j5IRgwuGmrJpbTBT7VQEviet8Qe-D2oCnSiAvUo_HTGJNnyc1YXJX-t3ZWGlkfdhj4n9tPV_vmgyi6X43Dlmk1PFYvamtAS1yGHylk/s1600/20155091.png" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" height="320" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhEPEHnyUtma2yp7jEoyKlocX3TNdxLfLpHQndl0j5IRgwuGmrJpbTBT7VQEviet8Qe-D2oCnSiAvUo_HTGJNnyc1YXJX-t3ZWGlkfdhj4n9tPV_vmgyi6X43Dlmk1PFYvamtAS1yGHylk/s320/20155091.png" width="261" /></a></div>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<span lang="JA" style="font-family: 'ヒラギノ角ゴ Pro W3'; font-size: 9pt;">津崎哲雄『この国の子どもたち 要保護児童社会的養護の日本的構築』日本加除出版</span><span style="font-family: 'ヒラギノ角ゴ Pro W3'; font-size: 9pt;">2009<span lang="JA">年</span>, p. 181</span></div>
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②養護を受ける子どものうち里親への委託(「家庭的養護」といいます)が少なく、大部分は施設で養育される。<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
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③児童福祉施設出身者の大学進学率は12.3%(全高卒者53.2%)と低い。<br />
<br />
これらは何を意味しているのでしょうか。<br />
<br />
まず①は、日本の社会的養護には、そもそも子どもの保護機能が弱いということを示しています。この背景には、「実親の子どもの養育を放棄すること自体がけしからん」とか「家族の中のことに外部から介入すべきでない」といった観念が日本社会に強く存在することが考えられますが、いずれにせよ、子ども自身の利益が相対的に軽視されてきたことがわかると思います。<br />
<br />
②も同様です。子どもが家庭的な環境の中で育つことが基本的には望ましいということがはっきりしたのは、決して最近のことではありません。にもかかわらず、里親委託率は戦後一時的に高まった時代を除けば、長い間10%前後という極端に低い状態で推移していました。つまり、日本では子どもに家庭的な環境を提供するという努力が永らく欠けてきたのです。このことも、戦後日本の社会的養護が、子どもの利益を守ることを第一義的な目的としていなかったことを示しています。<br />
<br />
そして③は、そもそも社会的養護が、生活保護制度などと同様に、最低限度の生活さえ保障すればそれでよい、という「ナショナルミニマム」原則に基づいて運用されてきたことを示しています。子どもは、自分を虐待する親を、養育することができない親を選んで生まれてきたのではありません。その意味では子どもには最低限度の生活しか与えられないという一種の「罰」を与えられる理由はないはずです。にもかかわらず、子どもに対するこのような処遇のあり方は永年放置されてきました。<br />
<br />
「タイガーマスク現象」が美談となったのは、日本のほとんどの人びとが、永年社会的養護を必要とせざるを得なかった子どもの置かれてきた境遇に、そもそも関心を持つことなく、また関心をもったとしても、それを「親の義務」とか「ナショナルミニマム」といった不適切な常識で裁くということに、何の痛みも感じなかったからに他なりません。<br />
<br />
永年の社会的養護のあり方については、「児童相談所が悪い」「施設の職員の意識の低さが悪い」とかさまざまな批判がなされるようになってきましたが、私は、社会的養護関係者を責めても仕方がないように思います。というのも、社会的養護関係者が他の社会サービスの領域で活動する人びとに比べて道徳的に劣悪だと信じる理由がないからです。そうではなく、このような社会的養護のあり方をもたらした最大の理由は、日本社会に生きる人びとが、社会的養護を受ける子どもたちに関心を払ってこなかったことそれ自体にあると思います。<br />
<br />
<br />
3.地域包括ケアと一緒に考えてください<br />
<br />
そうはいっても、社会的養護も少しずつですが状況は改善されてきています。現在、①里親への委託を積極的に推進する、②児童養護施設などの施設ケアをできる限り家庭的環境に近い形で運用する、という方向に向かって改革が進み始めています(後掲資料「社会的養護の課題と将来像の実現に向けて」)。また、別添の資料「日本の社会的養護と特別養子縁組制度への提言」(日本財団、2015年)にみられるように、特別養子縁組制度を活用して特に愛着形成の必要な乳児に円滑に家庭的環境を提供しようとする運動などが始まっています。<br />
<br />
ここで、みなさんに是非お願いしたいことは、本年のえにしの会のテーマである地域包括ケアと一緒に社会的養護について考えていただきたいということです。すると察しの良い方は、地域包括ケアについて考えることと、社会的養護について考えることは同じことだ、ということがたちどころにおわかりになるのではないかと思います。下の図は、厚生労働省が描く社会的養護の「理想」ですが、地域包括ケアの概念図とそっくりだと思いませんか。<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgNzLhmb34JzwRaNpd14piPrtSiqDBtLDPiI0gL2bGrbxfO6Gw9gHP4FSi0Rvh1DPW0dAbEKBBYr-y4ubgHeDvp5I-HogSbc6rdBrZbmJB58Bzet6s07gSK05aM-uWXjyyy4NDkWKx6wRc/s1600/20155092.png" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" height="162" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgNzLhmb34JzwRaNpd14piPrtSiqDBtLDPiI0gL2bGrbxfO6Gw9gHP4FSi0Rvh1DPW0dAbEKBBYr-y4ubgHeDvp5I-HogSbc6rdBrZbmJB58Bzet6s07gSK05aM-uWXjyyy4NDkWKx6wRc/s320/20155092.png" width="320" /></a></div>
<br />
たとえば、家庭的養護を子どもに提供することは、高齢者ケアの在宅化に対応しています。おばあちゃんを病院から退院させて自宅に帰すだけではケアになりません。自宅でおばあちゃんがくらしてゆけるように、本人を含め、家族、地域社会、行政が連携しあうとともに、そこに適切かつ充分な支援が行き届かなければなりません。これと同じように、子どもも里親に委託したり養子縁組したりすれば終わりではありません。子どもに家庭的養護を提供することが意味をもつためにも、子どもを含め、養親家族、実親、地域社会、行政の協働が必要で、加えてそれぞれに対する適切な支援が届かなければならないのです。<br />
<br />
政策としての地域包括ケア政策には、わかりにくい部分もいろいろとありますが、それでも社会的養護にくらべれば、驚くほど順調に政策が進展しているといえるでしょう。私の理解では、その順調さの最大の理由は、今日高齢者の生活のあり方に、社会が大きな関心を払っているからに他なりません。そして高齢者の生活に向けられた関心から、それが悲惨なものであることは許さない、という社会としての共通認識が生まれ、それがケアの水準を支えているのです。<br />
<br />
「タイガーマスク現象」が図らずも示したのは、社会的養護が子どもに対して適切なケアを提供できる、その前提となる子どもの養育環境についての社会的関心が私たちの社会に欠けていたということであり、またそのような社会的関心の大切さでした。でも、「伊達直人」たちはもう自分の仕事を終えて帰って行きました。<br />
<br />
タイガーマスクでは終わらせない。次は私たちの番です。少なくともえにしの会に集まってこられている方々にとっては難しいことではないと思います。高齢者の暮らしを見つめるのと同じ眼差しを子どもにも向ければよいだけなのですから。<br />
<br />
<br />猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-78228309659132476362015-03-10T11:24:00.000+09:002015-03-10T11:27:53.833+09:00岡村重夫のすすめ<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px;">
必要あって、岡村重夫の著書・論文を渉猟しつつありますが、優れた学者だったと改めて思っています。管見の限りでは、日本の社会福祉学が生み出した学者ではピカイチだと思います。</div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px;">
<br /></div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px;">
もちろん、私のような認識を持っている人は決して少なくないと見えて、今日でも「岡村理論」をどう継承すべきかについて論ずるタイプの著書などが出版されてもいるところです。ただ、それらの論考の多くは、岡村の議論を咀嚼するので精一杯という印象のものであるのも事実です。</div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px;">
<br /></div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px;">
これは重要なことですが、岡村の社会理論を咀嚼するだけでは継承になりません。その限界をきちんと指摘して、どう乗り越えるかを示してこそ継承に値します。現状でそのようなタイプの議論がほとんどないのは、かなり深刻な問題で、このままでは岡村の議論は総括されないまま学説史に埋もれてゆくことになってしまうでしょう。</div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px;">
<br /></div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px;">
そ<span style="line-height: 15.4559993743896px;">の点からいえば、</span><span style="line-height: 15.4559993743896px;">社会福祉学の研究者は、M.ウェーバーのいう、学問上の「達成」がつねに「他の仕事によって「打ち破られ」、時代遅れとなることをみずから欲する」の意味をよく考える必要があるといえましょう。</span></div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px;">
<br /></div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px;">
<span style="line-height: 15.4559993743896px;">岡村重夫『社会福祉原論』(1983年)は、容易に手に入る(おまけに安い)ことですし、社会福祉学を専攻される方以外にも是非読んで頂きたい本です。第1章に独特の観点からの歴史の検討があり、最近の教科書と違ってとっつきにくいですが、そこを我慢して読み進みますと、第2章に次のような議論が出てきたりします。</span></div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px;">
<span style="line-height: 15.4559993743896px;"><br /></span></div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px;">
<span style="line-height: 15.4559993743896px;">「多数の社会関係をもつ個人は、当然多数の社会的役割を果たしてゆかねばならないが、その役割の内容や多数の社会関係の実態について、専門分業化された制度は、自分の専門に属さない他の制度が個人に何を要求し、どんな役割期待をするかについて認識し、理解する能力をまったくもたない。例えば病院は、ただ医療機関としての立場からのみ決められた条件を患者に対して、その実行を期待するのであって、その患者が、職場において何をもとめられているか、家族においてどんな役割を果たさねばならないか等々、個人のもつ複雑多様な社会関係の実態をまったく知らない。」(p.87)</span></div>
<div style="background-color: white; color: #141823; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px; margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
<br /></div>
<div class="text_exposed_show" style="background-color: white; color: #141823; display: inline; font-family: Helvetica, Arial, 'lucida grande', tahoma, verdana, arial, 'hiragino kaku gothic pro', meiryo, 'ms pgothic', sans-serif; font-size: 14px; line-height: 15.4559993743896px;">
<div style="margin-bottom: 6px;">
岡村<span style="line-height: 15.4559993743896px;">は、ここで</span><span style="line-height: 15.4559993743896px;">社会制度には本質的に、個人の生活を統合するという課題を個人に突きつける性質をもっており、人びとの生活の支援を完遂するためには、社会制度による支援のみならず、この生活の統合が保証する支援が必要となる、という見解を表明しています。</span></div>
<div style="margin-bottom: 6px;">
<span style="line-height: 15.4559993743896px;"><br /></span></div>
<div style="margin-bottom: 6px;">
<span style="line-height: 15.4559993743896px;">この理解を、たとえば地域包括ケアに適用しますと、地域包括ケアをシステム=社会制度として捉えている限り、生活支援政策としては成功しないということになります。これは、現在の地域包括ケア政策が得てして陥りやすい間違いを指摘しているということになるかもしれません。</span></div>
<div style="margin-bottom: 6px;">
<br /></div>
<div style="margin-bottom: 6px;">
では、社会制度以外に何が必要なのか。誤解なく理解するためには、本書を一読されるのがよいでしょう。</div>
<div style="margin-bottom: 6px;">
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→アマゾン<br />
<a href="http://goo.gl/CaXP7C" style="line-height: 15.4559993743896px;">http://goo.gl/CaXP7C</a><br />
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<br /></div>
<div style="margin-bottom: 6px; margin-top: 6px;">
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</div>
猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-34833915900973772632014-12-24T12:07:00.000+09:002014-12-24T15:39:39.620+09:00地域包括ケア構想の死角以下は、『訪問看護と介護』(医学書院)2015年1月号の新春座談会「通過点としての2025年 〜介護ロボットと自動運転のあるSFじゃない「地域包括ケア」の未来」の企画趣旨を説明するコラムとして書いたものの草稿です。ヒューマノイド研究の先端を行く、石黒浩さん、電気自動車・自動運転研究の草分けの清水浩さん、工学分野と医療・介護分野の両方に精通する細馬宏通さんとの間で、4時間超におよぶ収録をしました。<br />
<br />
もとより私は地域包括ケアは、決して高齢社会の困難、とりわけ財政的な困難を乗り切る手段とはならず、そこを勘違いしてしまうと、非常に貧弱であったり、家族や地域住民その他に過大な負担を強いたりする「地域包括ケア」もどきができてしまうかもしれませんし、そもそも地域包括ケア化自体が財政的に頓挫してしまう危険もあると考えてきました。<br />
<br />
そのような折、医学書院から座談会のお話を頂き、私としては地域包括ケアをよいケアとして成功させるためにも、本当の意味で高齢社会を乗り切る方策について考え始める契機となる企画としたい旨提案させて頂きました。そして実現したのが今回の座談会だったわけです。私にとっても理解が十分でない点も多々あり、端緒的な内容となったことについては、力量不足を大いに反省しているところですが、意欲的な試みであることは確かなので、よろしければ本文も含めてご覧頂けると幸いです。<br />
<br />
<a href="http://goo.gl/2C8WKo">『訪問看護と介護』2015年1月号</a><br />
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地域包括ケア構想の死角<br />
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<div style="text-align: right;">
猪飼周平</div>
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「団塊の世代が後期高齢者となるまでにそれに対応できるケアシステムを構築しなければならない」といういわゆる「2025年問題」が喧しく論じられ、決定的な対応策が「地域包括ケア」であると主張されている。この潮流に対し、私がこれまで各所で述べてきたことは、「地域包括ケア」は、高齢者向けの政策として一定の有効性があるとしても、高齢化社会を乗り切るための政策としては効果が期待できないということである。<br />
<br />
1. 地域包括ケアは素晴らしい。だが・・・<br />
<br />
なんとなれば、ケアの質をひとまず度外視して、新旧のケアをみてみると、地域包括ケアにおいては、ケアを地域的に展開するために、より多くの有給のケア人員、家族・地域を含めたより多くの無給の人員、それらを連携させるための資源を動員する必要があることがわかる。現在の超高齢社会が、「労働力人口の減少」と「財政逼迫」の方向へ進むとすれば、直感的にも、地域包括ケアがどちらかといえば「高齢化対策」に逆行しているということに気がつくのではないだろうか。<br />
<br />
本誌の読者の多くが実感しているように、地域ケアを高齢者のみならずケアを必要とする人びとに届けることは、ケアの質を引き上げてゆくという意味では素晴らしいことである。だが、その方向が、深刻化しつつある高齢化対策と両立しないとするなら、次に私たちがなすべきことは、「地域包括ケア」を実現するためにも、十分な高齢化対策を打つ方策を一方で見出しておくことにほかならない。<br />
<br />
2. ケア労働者増大の「日本経済」へのインパクト<br />
<br />
「労働力人口は減り続け経済成長は一層鈍化する一方で、医療・介護に必要な労働力は増大し続ける」ということは現在の社会システムの延長線上に未来を予測する限り、政府関係者も学者もほぼ一致して支持するものである。<br />
<br />
たとえば、経済学者の野口悠紀雄によれば、2050年には、医療介護労働者の労働力人口に占める比率は推計で25%を越えてしまうことが予測されるが、そのような経済は成り立たないという。というのも経済成長をもたらす他の諸産業にまわる労働力が大幅に減ってしまうからである。とするなら、「高齢化対策」として何より必要なのは、労働力人口の減少と財政逼迫という未来に正面から立ち向かってゆくことにほかならない。この問題に地域包括ケアが貢献するのは、ケア労動に非労働力人口である主に高齢者を巻き込んでゆくことによる効果に限定される(他方でケア労働者自体も増大するので、その効果は減殺される)。<br />
<br />
3. 労働集約的産業である宿命からの脱却<br />
<br />
では、高齢化対策として有効な手段とはどのようなものだろうか。直接的な方法として主なものは次の2つである。第1に、労働者を増やす政策、すなわち移民・外国人労働者政策である。第2に、ロボット、自動運転などの技術の積極的導入によって、労働生産性を上げることである。今回の座談会で議論するのは、後者の可能性である。<br />
<br />
ケアとくに介護領域は産業としてみるとき、典型的なサービス業であり労働集約的(コストに占める労動の比率が高い)な産業であるといえる。そして、従来その性格は運命的なもので変えられないことが暗黙の前提となってきたように思われる。だが、前述のような状況にあっては、その運命を変えなければならない時機に来ているというべきだろう。<br />
<br />
そこにおける技術革新の中核となると予想されるのが、1つにはロボット技術であり、もう1つには自動運転システムである。いずれの技術も、近年開発の速度を早めてきており、様々な形で実用化される時代が目の前に来ている。<br />
<br />
そこで、今回の座談会では、ロボット研究、アンドロイド研究で世界的に著名な石黒浩さん、自動運転、電気自動車技術において永年先頭を走ってこられた清水浩さんにお越し頂いて、ケアへの貢献の可能性と現状について議論して頂くことにした。また、本誌の連載でお馴染みの細馬宏通さんには、むしろ医療・介護現場の現実から出発して、工学分野のお二人と意見を結び合わせる方向で議論をお願いした。<br />
<div>
<br /></div>
猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-19123133894914507922014-07-10T15:11:00.000+09:002014-07-13T17:49:08.784+09:00地域包括ケア政策をどのように理解すべきか以下は、日本薬学会大134年会における講演のafterthoughtsとして書いた、地域包括ケアに関する短文です。とくに目新しいことは申し上げていませんが、ご関心のある方はご笑覧頂ければ幸いです。<br />
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地域包括ケア政策をどのように理解すべきか<br />
<br />
<br />
0. はじめに<br />
<br />
現在「地域包括ケアシステム」に関する政策が本格的に推進されているということはご存知かと思います。では、そもそも地域包括ケアとは一体何でしょうか。また、なぜ地域包括ケア化する必要があるのでしょうか。さらに、地域包括ケアシステムを構築することでどのような政策目標を達成すればよいのでしょうか。おそらく多くの方々にとって、これらの問いに明確に答えることは難しいと思います。ただ、それは読者に原因があるのではありません。なぜなら現在の「地域包括ケア」政策自体に、概念や目的に大きな混乱があるためです。<br />
<br />
今大会における講演では、この概念や目的に関について、どのように組み立て直せばよいかについてお話ししたところですが、以下では、その概要を簡単に再説してみたいと思います。<br />
<br />
<br />
1.地域包括ケア化はケアの歴史における重大な転換を意味する<br />
<br />
地域包括ケアが、とりあえずより地域的でより包括的なケアシステムと大雑把に理解しておきましょう。ただ、これだけでも、従来のケアシステムに大きな変化をもたらすものであることはわかるでしょう。従来医療は、病院と診療所という階層的な施設群によって主に担われてきました。それが、医療施設という枠を大きく飛び出して地域全体で医療が行われるようになります。さらに、そこで行われるのは従来の医療=患者の病気を治すだけでなく、病気・障害の有無に拘わらず住民の健康的な生活を全体として支えるという、非常に包括的な活動になります。<br />
<br />
20世紀を通じて、日本を含む先進諸国では、病院/診療所という二元的構造を軸にしつつ発展してきました。その過程は、ケアの地域化や包括化とはむしろ反対の過程であり、それは施設化や医療システムの孤立化の傾向をもっていました。施設化については、たとえば往診の衰退や出産や死の施設化などさまざまな現象によって確認することができます。また、孤立化についていえば、20世紀を通じて、医療は保健(公衆衛生)や福祉とは直接の接続をもたない自己完結的なケアシステムを営むようになりました。その意味では、地域包括ケア化は、この20世紀的な歩みを反転させるということであり、まさに歴史的なケアシステムの転換を意味していることになります。<br />
<br />
<br />
2.政策化の過程で地域包括ケアという概念は混乱した<br />
<br />
政策一般にもいえることですが、現在厚生労働省が推進している「地域包括ケア」政策も、現実の政策となる過程でさまざまな利害当事者との調整や、財政状況その他の政策環境に強く影響を受けています。その結果、「同床異夢」といいますか、さまざまな利害や思惑が交錯しており、それぞれの関係者は、自分に都合の良いようにこの政策を解釈して利用しようとしています。このために、地域包括ケアが一体何なのか、なぜ地域包括ケアを構築する必要があるのか、それによって私たちはどのようなケアの将来が実現するのか、そういう基本的なところがぼやけてしまっています。<br />
<br />
地域包括ケアを、医療費を下げるためのシステムだと解釈する人もあれば、高齢化対策の一環であると解釈する人もあります。さらに、病院から医療必要度の低い患者を追い出す方法だと解釈する人もあります。もちろん、人びとにとってより望ましいケアシステムであると解釈する人もいます。もっとも、思惑が違っても、必要とされるケアシステムが全く同じものであるとすれば、この解釈の差は問題になりません。この場合、地域包括ケアシステムは、利用者一人一人の関心に応じて好きなように利用すればよい、図書館などと同様の、共通のプラットフォームということになります。<br />
<br />
ただ、残念ながらそのような都合の良いことにはなりそうにありません。地域包括ケアがいろいろな用途に用いることができるというのはある程度事実ですし、政治的合意のためにはそのようなパッケージングが不可欠であることは確かですが、実はシステムの目的が何であるかによって、ケアシステムの姿は時間を経るに従って大きく異なってゆくことにならざるをえません。地域包括ケア化は、歴史的な時間の中での変化であり、それは長い時間の中で進行する変化だと考えなければなりません。とすれば、長期的に私たちのケアがどこに向かおうとしているのか、ということを知ることこそが、地域包括ケア政策に目的を与えるものであるといえるのです。もしここで私たちのケアの長期的展望を見誤ってしまうと、私たちのケアの自然な発展の方向とは異なる方向に政策を推してしまうことになり、長期的には軌道修正のために、かえって大きな社会的・経済的コストを払うことになってしまうと考えなければなりません。<br />
<br />
<br />
3.高齢化対策として地域包括ケアは有効でない<br />
<br />
議論の詳細については別稿 において議論していますのでそちらに委ねるとして、ここでは概略だけをお話しします。結論から申しますと、高齢化対策という意味では、長期的には地域包括ケアシステムは有効性が低いということです。<br />
<br />
なにより、ケアコストの抑制という意味で地域包括ケアは有効ではありません。というのも、単にケアの効率性ということだけを考えるのであれば、施設のような限られた場所にケア対象者を集めて対応した方が基本的には効率的だからです。地域包括ケアシステムは、この効率的環境を放棄することを前提とするシステムで、他の部分で効率化するにしても、基本的に不利な条件からスタートすることが宿命づけられたシステムなのです。したがって、「地域包括ケア」が政策化されて以降、厚生労働省は「高齢化を乗り切る(財政的な意味で)にはこれしかない」という立場に立ってきましたが、その実地域包括ケアは高齢化を乗り切るには余り向いていないといえます。<br />
<br />
高齢者が特に地域包括ケアを必要としているのでもありません。高齢化のより進んだ地域(たとえば中山間地域など)において、より地域包括ケアへの共感が拡がっているという傾向は観察されません。医療関係者の中には、生活習慣病を抱えながら生きて行く高齢者が増えれば、ケア目標は自ずとQOLに向かい、その結果より地域的なケアが望まれるようになると考えている方が多いように見受けられますが、もしそうなら、高齢化の進んだ地域においてより地域ケアを人びとが歓迎しているという事実が観察されるはずですが、実際はそうではありません。<br />
<br />
<br />
4.歴史的潮流から政策目標を探す<br />
<br />
高齢化対策として地域包括ケアが有効でないとするなら、一体、地域包括ケアは長期的にみて何の目的で行えばよいのでしょうか。<br />
<br />
ここで、地域包括ケアシステムには先駆が存在するということを思い出してみましょう。戦後の地域医療の取り組みをみてゆくと、有名無名に拘わらずさまざまな方が、少数派ではあれ、事実上の地域包括ケア化に取り組んでいました。それらの人びとからみれば、現在の地域包括ケアは、「何をいまさら」というものにすぎません。たとえば、ここで佐久総合病院の事例を考えてみましょう。驚くべきことに、佐久では事実上の地域包括ケア化が戦後直後から進められていました。さて、そこで佐久の関係者達は、何のためにそれを進めていたのでしょうか。もちろん、高齢化でもなく(むしろ当時は多産が社会問題だった)、医療費の抑制でもありません。それは、地域包括ケア的なケアが、人びとをより幸せにするケアであるということを信じたからに他なりません。<br />
<br />
ここで、私たちの社会に、地域包括ケア的なケアがよいケアだと、住民、患者、実践家といった人びとに幅広く認められてゆく歴史的な傾向が見いだせるとすると、どうなるでしょうか。いうまでもなく、佐久のような試みはより社会に普及しやすくなり、長期的には日本のケアシステムも、全体としてより地域包括ケア的なケアシステムに近づいてゆくことになるでしょう。そしてその傾向は、社会の高齢化の度合いがどうであれ、地域包括ケアシステムのケアコストの節減効果がどうであれ、みられることになるでしょう。逆に、地域包括ケアに反する政策が打たれたとすると、人びとのケアに対するニーズから離れてしまい、それを修正するために大きなコストが発生するか、人びとの間にケアに対する不満が蓄積することになります。このような歴史的トレンドが存在する場合には、ケアに関する政策は、生活モデルから大きく離れることは不合理である、ということになります。<br />
<br />
<br />
5.生活モデル化による地域包括ケア化<br />
<br />
とすると、地域包括ケア政策にとっての最大の焦点は、地域包括ケアを好ましいという認識が広まって行く長期的なトレンドが存在しているかどうか、に集約されることになります。そして、私は、この長期的なトレンドは存在すると理解しています。その最大の根拠は、ヘルスケアのみならず、広義の福祉、すなわち人の暮らしを支える活動全般にわたり、1970年代の後半以降、支援観の転換(どのようなケアが望ましいかについての価値観の転換)が進行していることにあります。つまり、①支援の究極的ゴールを生活上の価値(QOL)の増進におき、かつ、②それを達成するために、当事者の置かれている状況をエコシステムとして捉えなければならないという支援観が浸透しつつあるということです。これは、ソーシャルワークの領域で「生活モデル」と呼んできた支援技法や、社会政策の領域で「社会的排除」という概念を利用した社会問題の把握法、社会福祉学において1980年代以降盛んに議論されるようになった「普遍的福祉」などは、それぞれニュアンスの違いはあれ、上記2点の支援観を包含した概念となっています。上記2点の支援観に基づいてケアシステムを構築しようとすると、その形態は自ずと地域包括ケア的なものとならざるを得ないのです。私は、四半世紀以上の時間を進行してきているこの支援観の変化を「生活モデル化」と呼んでいます。<br />
<br />
<br />
6.最後に<br />
<br />
以上の議論をまとめましょう。<br />
<br />
①<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>地域包括ケアは、高齢化対策に適さない<br />
②<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>地域包括ケアの合理的な根拠は、社会における支援観の生活モデル化である<br />
③<span class="Apple-tab-span" style="white-space: pre;"> </span>地域包括ケアシステムの各要素の選択は、それが生活モデルに適合しているかどうかによって評価されることになる。<br />
<br />
私たちが気をつけなければならないのは、ケアを地域化、包括化しさえすれば、生活モデルに叶うケアシステムになるか、といえばそうではないということです。基礎自治体の職員たちの多くにとって、地域包括ケアは上から降ってきた政策にみえている嫌いがあるように思います。そうしますと、「お上」がやれというからやるというだけの政策になりがちで、そこに出来上がる「地域包括ケア」は、歴史が支持するものとは無関係な地域包括ケアみたいなものになってしまう可能性があります。そうならないためには、地域包括ケアシステムとは、ケアの生活モデル化のあくまで結果にすぎないということを踏まえて頂きたいと思います。<br />
<div>
<br /></div>
<br />
<br />猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-17015018182911042582014-02-14T18:46:00.000+09:002014-02-14T18:46:09.187+09:002013年12月のシンポジウムにおいて<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: MS 明朝;">昨年12月の文科省のシンポジウムに講演者として呼ばれました。報告書作成のためにテープ起こしをして下さったものを頂きましたので、転載しておきます。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: MS 明朝;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: MS 明朝;">----------</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">平成25年度・文部科学省 先導的大学改革推進委託事業・医学・看護学・歯学チーム合同シンポジウム</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">【基調講演】</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-font-kerning: 0pt; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">「ヘルスケア人材供給に関する長期戦略について」</span><span lang="EN-US" style="mso-font-kerning: 0pt;"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div align="right" class="MsoNormal" style="text-align: right;">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">一橋大学大学院社会学研究科</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div align="right" class="MsoNormal" style="text-align: right;">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">教授 猪飼 周平</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">【座長:北村】 それでは、早速ですが、基調講演に移りたいと思います。最初に基調講演をお願いしたのは、猪飼周平先生です。お手元の資料にご略歴がありますので、省略させていただきますが、医療者ではなくて社会学者であります。</span><span lang="EN-US">9</span><span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">月に私の所属している 東大のセンターで、一度ご講演をいただきまして、社会学者から見たヘルスケアの変動というものは、われわれがもっと知っておくべきものだろうと、非常に感銘を受けました。今回のシンポジウムにあたりまして、お忙しい中、ぜひ余人をもって代えがたいからお願いということで拝み倒して、出ていただくことになりました。ぜひ社会学者の先生から見たヘルスケアの今後ということで、お聞きいただければと思います。簡単ですが、では猪飼先生、お願いいたします。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">【猪飼】ただ今、過分なご紹介をいただきました猪飼です。現在、一橋大学で医療政策の研究をしております。研究の仕方としては、主に歴史的な資料を使って研究をするという手法を使っています。恐らくこれまでの医療政策やヘルスケア関係のいろいろな研究の文脈では、あまり類例がないようなタイプの研究ですので、もしかすると初めて私の研究についての話をお聞きになる方には、少し戸惑いもあるかもしれませんが、それは、基本的に狙っているところが、本日のタイトルにもあるように、長期の戦略についてである点が主要因となるように思います。通常行政の感覚でいくと長期といっても最長</span><span lang="EN-US">10</span><span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">年とか、あるいはもうちょっとくらいだと思うのですが、私の研究をしている長期というのは、短くて四半世紀、場合によっては半世紀先というぐらいの非常に長いものです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">このような超長期の政策にとって可能かつ意味のある知識とは、いわゆる具体的にこういう制度をつくればいいとか、法律などに直接落とし込むためものではなくて、もっとその手前にあるもの、例えて言えば、方角を教える「北極星」のような知識になります。方向が分かれば、それに基づいて様々な戦略や制度の設計が、可能になってくるわけです。その意味では、私の研究は、政策の前提に影響する、そういったタイプの研究だといえます。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">四半世紀とか半世紀といった政策的には超長期の未来に関して、従来研究で一番効果を上げてきたのは、いわゆる人口推計に関する研究です。というのは、人口は推計が当たるからです。他方で、それ以外の様々な社会的な要素については、従来あまり当たらないと考えられてきた。ただ、実際には、これから何十年かの間に起こることというのは、人口の変化だけではないわけです。価値観も変化するし、人の性質も変わっていく、社会の構造も変わっていく。このため総体としてある社会の未来というものを考えようとすると、様々な要素が変化することを前提として本当は考えなくてはいけないわけです。このため、社会科学者の間では、未来というものは例外を除けば予測することが難しいということで大体合意があって、未来に言及する社会科学研究そのものが、冒険的とみなされる傾向があります。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">ただ、そのような中にあっても、歴史に関する情報は、現在、社会科学的な文脈で知られているものでは、比較的未来とつながっていると考えられています。例えば、社会科学の分野の一つに、未来学といわれるような分野があります。未来学の研究というのは、実際にはその種の本を開いて頂くと分かるのですが、概ね歴史の分析になっているはずです。つまり、未来を理解するということの最も必要な情報というのは、歴史的な資料として存在している。そこにあるのは、ただ単に昔のことを知ることが楽しいというようなレベルの、あるいはそこから教訓を得るというレベルの、いわゆる楽しみとしてやる歴史とも、あるいはある時代の社会そのものを解明しようとする歴史学とも違っていて、過去の材料を使って、ある種政策的な展望を構築していくという、そういうタイプの研究です。未来学とみなされていないものでも、たとえば政治学、経済学、社会政策学などの分野では従来から、政策史という研究領域があり、多くの研究蓄積がありますが、それらの研究の多くは未来学同様未来の政策への展望的知識を狙って行われてきています。その意味では、私が行っているような歴史的アプローチは、ヘルスケアの分野ではこれまであまり行われてこなかったものに属していますが、社会科学一般からみると決して特殊なものではありません。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">前置きが長くなりましたが、本日は、そういった社会科学の伝統の上に立って、長期の人材戦略につながるような話をしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
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<span lang="EN-US"><o:p><br /></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS ゴシック"; mso-ascii-theme-font: major-fareast; mso-fareast-theme-font: major-fareast; mso-hansi-theme-font: major-fareast;">高齢化の裏側にあるもの<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">さて、歴史的アプローチに立ったときにまず見えてくるのが、今のヘルスケアの最大の課題は人口高齢化であるという、各所で前提的に語られている言説のバランスの悪さということになります。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">例えば、在宅という分野を考えてみましょう。在宅という分野に関して、先駆的にそういう取り組みをしてきた方々には、戦後から</span><span lang="EN-US">1980</span><span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">年、場合によっては</span><span lang="EN-US">90</span><span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">年ぐらいまでを総じて先駆といってよいかもしれませんが、いろいろな方々がおられました。そういう方々の仕事を振り返った時に、彼らがどういう問題意識で在宅という分野に取り組んだかというと、やがて高齢化するから、そのために準備しておこうという意識ではなかったでしょう。彼らは何を考えていたかというと、在宅というケアは良いケアなのだ、ということでした。在宅ケアは非常に良い性質を持っていて、質的な意味で在宅ケアというのは、いわゆる施設的なケアにはない重要な良さがあるのだという認識に基づいて、その信念で、日の目が当たらないような状況の中であっても、そういう課題に取り組んでおられたわけです。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">それが実はある段階から、在宅ケアは高齢化の問題なのだと、議論が変わってゆく。それは高齢化をしていくと、高齢化に対応するためのケアシステムが必要になるとか、資源整備が必要になるという観点から、そういうことが言われるようになり、それを実現するためには、在宅ケアというものをうまく活用していくことが必要なのだという議論に取って代わられてゆくわけです。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">後でまた言及しますが、人口高齢化への対策として、在宅ケアというのがどれほど有効なのかというと、実は、論理的にはあまりつなげることができません。高齢化について、多くの政策担当者の方々が強く意識するのは、財政的な逼迫(ひっぱく)の問題です。高齢者ケアに大きな資源を投入しなくてはいけないので、そのための人材整備だとか、資源整備なわけです。ただ、それをどういうふうに進めていくのがよいか。特に財政は非常に強い制約を受けていく中で、どうやっていけばよいのかと考えた時に、今まである意味施設という「点」で行われたケアを、地域という「面」で展開するということは、普通に考えると合理的ではないはずです。要するに、コストが上がってしまうと考える方が、自然なわけです。トランスポーテーションコストやそれに伴う調整コストが、すごく上がると考えなければならない。つまり、地域ケアみたいなものを展開することで、直線的にケアが安くなる、要するにそれに対応できるような財政的な逼迫を、緩和してくれるようなものになるという保証が、そもそも自明でないわけです。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">にもかかわらず、高齢化イコール在宅ケアで、それは安いんだということが言われていた時期というのがありました。厚労省も地域包括ケアを推進する際に、当初はそういうロジックで政策推進をしていたわけですが、現在ではその看板をかなり下ろしていて、安くなるということはあまり言わなくなりました。実はそのぐらいここは誤解を含んでいる可能性のある論点なのです。それがまず一つ。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">そうだとした時に、それでは地域ケアとか在宅ケアとかいうものは、そもそも何のためにやるのか。そこに結局話が戻っていくわけです。ただ、全体の流れとして、地域ケア的な方向にケアが進んでいくというのは、私は正解だと思います。それはなぜかと言うと、高齢化とは一義的には必ずしもつながっていない部分で、大きな社会の変動があって、それはある種価値観の変動なのですが、その価値観の変動が、地域ケアというものを良いケアだと認識する方向に向かって、社会が動いている。つまり、人々のニーズというか、要請というか、こういうケアがあってほしいという願いをかなえていく方向に向かって、ケアシステムというものを再構築していくと、おのずと地域ケア的なものになっていくという、そういう状況が生まれつつある。この変化が今歴史的に起こっている。</span><span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US"><o:p><br /></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS ゴシック"; mso-ascii-theme-font: major-fareast; mso-fareast-theme-font: major-fareast; mso-hansi-theme-font: major-fareast;">ケアの生活モデル化<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">今、ケアの世界で起きていることを一言でまとめると、ケアの「生活モデル化」ということができると思います。生活モデルという言葉自体は、もともと障害者福祉とかソーシャルワークの領域で作られた言葉です。それが作られたのがだいたい</span><span lang="EN-US">1980</span><span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">年ごろなのですが、それと同じ時期に、</span><span lang="EN-US">WHO</span><span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">の</span><span lang="EN-US">ICIDH</span><span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">(</span><span lang="EN-US">1980</span><span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">年)というケアモデルが発表されたわけです。今は</span><span lang="EN-US">ICF</span><span style="font-family: "MS 明朝"; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">ですが、これは言ってみれば障害や疾病の分類の基本的な枠組みのモデルだけですが、重要なことは、ケアがどういうふうなケアで行われることが望ましいのかということについての理念のある種国際的な合意というか、最大公約数的なものを意味しているとみることができます。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">そこで、生活モデルはどういうものかについて、ごく簡単にお話しさせてください。一例で脳卒中という病気を考えます。それによって障害が残りました。例えば、片麻痺が残った。それで字が書けない。それでコミュニケーションが社会の中でうまくとれないという状況があった時に、生活モデルの一つの重要な特徴というのは、究極的なケアの目標は</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">だと考えるわけです。</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">が何かということは、後でまた議論しますが、とにかく生活の質という言葉通りの意味だと、ひとまず考えてください。そうすると、ここの質がどれだけ高いかというところに、生活モデルというのはフォーカスを当てるということに対応している。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">生活モデルの意味を理解するためには、その対極となるケアモデルをみるとわかりやすい。上で言及したような脳卒中の状況があった時に、生活モデルに対置されるモデル、これは</span><span lang="EN-US">20</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">世紀を通じて医療の世界において一番卓越していた価値観、ケア観なわけですが、それは「医学モデル」と呼ばれるものです。医学モデルでは、脳卒中によって様々な派生的な問題は起こるかもしれないけれども、問題の根幹はここである。だから、脳卒中をもし完全に治すことができるのであれば、その先の付随的な問題は起きないわけだから、ここを治してしまおうという発想になります。この発想に基づいて、治療のための様々な資源であるとか、研究資源みたいなものを集中させていく。そして、これこそが</span><span lang="EN-US">20</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">世紀の医療を席巻したケアモデルでもあったのです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">これに対して、生活モデルというのはどういうふうに考えるかというと、要は</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">が上がればいいわけだから、病気が治るのならそれはそれでいいけれども、治らなくても、狭義のリハビリテーションをやればいい。それがうまく行かなくても、例えば字が書けないという問題であったら、利き手の反対側をトレーニングするとか、あるいは</span><span lang="EN-US">PC</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">を使うとか、様々なサポートを使って字を書けばいいかもしれない。それでも例えば、非常にがっかりしちゃって、外に出るという気力がなくなってしまっているとか、いろんなことが起こり得るわけですが、そういう場合には様々な人のサポートを借りて、人とコミュニケーションの場に出ていけばいいのかもしれない。そうやって考えるわけです。これが実は生活モデルという考え方の原型的な姿です。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">ここで、医学モデルと生活モデルとでは何が違うか。ポイントは、実は原因観なのです。原因観の違いとは何か。原因という概念は、究極の原因は存在しないというところに、重要な特徴があります。要するに、原因にはその原因となる事象のさらに原因を考えることができ、原因の原因の原因、原因の原因の原因の原因みたいにして、いくらでも遡っていくことができるわけです。つまり、原因というものは、究極の原因がないところに、その特徴がある。とすると、実は医学モデルというのは、無数にある問題状況の発生させる原因の中の一つ、要するに医学的にオペレートできるような部分だけをつかまえて、問題を解決しようとするタイプの、一種の還元主義的なアプローチなわけです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">これに対して、生活モデルというのは、原因が無数にあるということを、そもそも前提として認めて、原因が無数にあるということは、原因ごとに対応策を考えれば、論理的には対応策も無数に考えられるわけです。そこには、効果的なものとか、そうじゃないものとか、選り分けだとか、様々なものが起きるでしょうが、論理的には無数に対策も含めて考えることができるわけです。そうやって様々なレベルでの原因をつかまえて、そこで対応していこうというのが、実は生活モデルの基本戦略なわけです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">さらに、これは医療の世界だけで起きている変化ではなくて、人が人を支援するというような様々な領域で同時に起こってきている変化で、医療の変化よりはずっと大きな変化を背景にしています。その変化の中に飲みこまれるような形で、生活モデル化というのが、医療にもその波が押し寄せてきていて、実際にケアの考え方が、医学モデルから生活モデルに向かって、徐々に変化してきている。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">生活モデルから見ると、医学がどう見えるかというと、治療医学の世界というのは、重要ではあるけれども、その人の生活を支えていく無数に存在し得る手段の中のあくまで一つという位置付けに変わるわけです。実は、今の医療の世界が直面している問題は、この医療の位置付けの変化に、どう適応するかという問題なわけです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US">ICIDH</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">を発展させた</span><span lang="EN-US">ICF</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">は、このような考え方を一般化したものです、たとえば、原因は互いに一つの結果の原因は一つとは限らないです。たくさんあるかもしれないし、互いに原因と原因が総合的に、要するに独立でない可能性もあります。そういうことを全部考慮すると、ある一人の患者なり当事者なりの状態は、様々な原因となる要素の網の目というか、ネットワークの中の結節点に置かれることになるわけです。そういうのを、エコシステム的な原因観といって、</span><span lang="EN-US">ICF</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">はそれを非常にきれいに表現しているわけです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">先ほど少し申し上げましたが、この変化というのは、実は広い意味での福祉、要するに人が人を支援するという意味での最広義の福祉の全域で、このケア観の転換は起きています。先ほども、例えば</span><span lang="EN-US">ICIDH</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">なんかもそうですが、あれは障害分類なのです。結局、障害者福祉の領域で先行的に変化が起きる。さらに、その障害者福祉での領域での変化は、それだけで起こったのではなくて、実は生活保護とか様々な社会支援の領域で、同時に起こってきたものの一種なのです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">たとえば、社会的排除という言葉をお聞きになったことあるかもしれませんが、今、</span><span lang="EN-US">EU</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">の社会政策の中心政策は、社会的排除に対する包摂政策というのが、政策の中核になっています。この社会的排除という考え方は、実は先ほど言ったエコシステム的な原因観そのものを使っています。つまり、これは</span><span lang="EN-US">1970</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">年代の後半ぐらいから徐々に現われてきて、</span><span lang="EN-US">80</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">年代ぐらいには、福祉領域ではある種コンセンサスになる。ただ、医学モデルの非常に強かった医療の領域では、そこから</span><span lang="EN-US">10</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">年ぐらいのタイムラグがあり、リハビリテーションの領域では、上田敏先生のような先覚的な方々が、そういうものの重要性を主張しておられましたが、本格的に医療の世界に入ってくるのは</span><span lang="EN-US">90</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">年代に差し掛かってから、つまり、</span><span lang="EN-US">10</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">年ぐらいのタイムラグがあってからです。ただ、それからもう</span><span lang="EN-US">20</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">年以上がたち、今、ヘルスケアの領域も、大きくその生活モデル的な価値観に飲みこまれようとしている。そういう状況です。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">医療の世界を、歴史的に振り返ってみると、</span><span lang="EN-US">20</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">世紀を通じて医学モデル的な価値観が卓越していました。医療をやるときに、これまでの常識というのは、病院と診療所という</span><span lang="EN-US">2</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">つの中核的な制度を使うシステムなわけです。この病院と診療所というものが、なぜ長年医療の基本とされてきたのか。これは端的に言えば、患者を治療する上で都合がいいからです。つまり、患者を医学的な意味で治癒に導くために合理的な制度を追求していくと、おのずと病院と診療所という二元的なシステムの型になる。私たちは、比較的最近まで、医療といえば病院と診療所という二元的システムによって供給するものだということを自明のことと考えてきましたが、この自明性はまさに、医学モデル的価値観が医療界全体を</span><span lang="EN-US">20</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">世紀を通じて包み込んでいたからなのです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">それが今のように生活モデルのような形で、違う目標に置き換わるとどうなるかというと、システム的な大変動が起きてしまう。要するに、これまで前提だったことが、前提 ではなくなっていくわけです。現在私たちは、地域包括ケアだとか、多職種連携だとか、新しいケアの形を求めて右往左往しているわけですが、この状況を本当に作り出せるのは、高齢化ではなく、</span><span lang="EN-US">20</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">世紀的な医学モデルから生活モデルへのケア観の転換なのです。高齢化は、資源整備の部分でケアシステムを部分的に制約している存在にすぎません。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">ここはちょっと話し出すと長くなるので割愛しますが、簡単に言うと、生活モデル化 すると、生活モデルというものを前提としてケアシステムを構築しようとすると、おのずとケアシステムは、地域包括ケア的な姿を取るというのが、ある種自然になってきます。そこにはいろいろな要素が絡むので、単線的にそっちに向かうわけではないのですが、生活モデルを原則として理解して、それに向かって進んでいく。要するに、</span><span lang="EN-US">20</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">世紀における医学モデルと同じように、そういうものが進んでいけば、ケアシステムはおのずと地域包括ケア化するということが、論理的に言えます。これはちょっと別のところでいろいろ議論したり、紙で書いたりしているので、関心のある方はお読みいただければと思います。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">そう考えたときに地域包括ケア、今の焦点になっている政策ですが、これをどう理解 することができるかというと、実は従来医療界で言われてきたのは、</span><span lang="EN-US">1</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">番</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">(スライド</span><span lang="EN-US">7</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">の①)です。しかし、これはやや論理的におかしいといわざるをえません。この議論は生活習慣病中心になってきて、治らない人が大量に出てきたから、</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">、生活モデルだと言っているわけです。ただ、実は時代をさかのぼればさかのぼるほど、生きている人たちはみんなどんどん今の観点から見ると、不健康に生きているわけです。要するに、それが医学の進歩というものの意味です。そう考えると、実は時代をさかのぼるほど、本当は</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">重視の社会にならなければいけません。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">次に、②の安上がりというのが成り立たないというのは、最初に申し上げた通りです。結局、③のようにケアの質が良いからやるという論理でなければ、地域包括ケアとは成立する根拠を見いだせないものなのです。ただ、生活モデル化というものを引き受けて、それを認めて、それに基づいてケアをやっていこうとすると、地域包括ケア的なものになるという意味なのです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">もう時間がないので、ごくごく簡単に申し上げます。そうなった時に、地域包括ケア、幾つかの特徴を帯びます。お配りした資料の中で少し書いているのですが、簡単に言うと、</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">を支えるということが、ヘルスケアにとっての一番重要な目標になるわけです。そうなった時に、患者あるいは病院に入院している患者って、どういうふうな存在に見えるか。従来長年厚生行政というのは、いわゆる社会的入院の解消というのを、政策の中心に掲げてきました。ただ、生活モデルで考えてみると、社会的入院でない患者なんていません。どんな人でも、医療ニーズと生活ニーズを両方抱えていると考えなければ、ケアが成り立たない。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">そう考えてみると、今、病院が</span><span lang="EN-US">8,000</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">ぐらい日本にあるわけですが、医学的な治療の効率を高めていって、在院日数を短くしていくということが、効率性を持つような病院というのは、要するにヨーロッパやアメリカの病院がそういう病院だと考えると、それに対応する病院というのは、</span><span lang="EN-US">8,000</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">のうち恐らく</span><span lang="EN-US">1,000</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">からちょっと多いぐらい。残りの日本で病院と呼ばれるもののほとんどは、実は生活と医療というものを、両方供給できるような柔軟な組織でならなければならないという結論に、必ずなるわけです。これに今の日本の医療システムは、対応できていないわけです。考えてみれば分かりますが、生活ニーズと医療ニーズを両方持っている人に対して、私たちの施設は医療施設ですから、医療ニーズにしか対応しませんというサービスの仕方が、合理的かということです。当然不合理だし、効率が悪い。ここの部分は、長期的に見ると、必ず変わっていかざるを得ない。そういう領域です。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">あと、もう一点申し上げておきますと、</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">とは何かという問題。医学のいろいろな 論文等で、</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">の測定尺度、</span><span lang="EN-US">SF-36</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">とか</span><span lang="EN-US">Euro QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">とか、様々なものが提案されていますが、これらのすべては、</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">を測定してはいません。それはまさに血圧計や体温計が、健康を測定しないのと同じです。生活の質それ自体を、測定尺度は測定しないのですね。要するに、客観的な指標を参考に使うために考案されている。ただ、それが自己目的化しやすいということで、</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">イコール測定尺度によって測られたものだという認識が広まりやすいのですが、</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">というのは究極的に測定できない。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">ここでもし、究極的にあなたはどんな生活がいいですかと、例えば質問されたとします。これに答えられる人はいません。たとえば学生に質問すると、南フランスでクルーザーに乗って暮らすこととか言うんです。だけど、本当に南フランスでクルーザーに乗りたいのって聞くと、いや、どうですかねみたいにだいたいなります。他の人に南フランスでクルーザーに乗りたい人って聞くと、あまり手が挙がらない。つまり、お互いにそれが望ましいという形で合意できない。非常に多様性が高い。しかも、自分自身でも具体的にそれをイメージすることができないようなものが、</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">のオプティマムの領域です。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">それを目指していくシステムとは一体何なのか。医学モデル的な世界においては、医学という限定が付くけれども、何を目標にするかというのは、客観的に知ることができました。そこを目指せば良かった。それに対して</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">というものを目指そうとすると、それが分からないということを前提に出発しないといけません。ここが実は</span><span lang="EN-US">20</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">世紀的なシステムと</span><span lang="EN-US">21</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">世紀的なシステムの大きな違いです。そこで、やはり旧来的な発想をする医療の研究者たちというのは、それを医学のかつての領域に引き寄せたいので、一生懸命「測定尺度」すなわち客観化する道具を作ろうとします。そして膨大の数の提案がなされる。これは、いってみれば、「ないものねだり」です。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">これに対して、従来のさまざまな社会的な技術として、それが何だか分からないものを取り扱う技術が実はあります。例えば、わが国の憲法でも憲法第</span><span lang="EN-US">13</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">条で明文化されている幸福追求権がそれです。憲法が何を定めているかというと、幸福とは何かということは分からないけれども、それぞれの人が自分の幸福を追求することを、他人に邪魔させないということを定めている。これは、自己決定権の尊重につながります。近代社会では多くの場合、これでうまくゆきます。医療関係者の方に知っておいて頂きたいのは、幸福のように不可知なものであっても、それを無理に客観化、指標化しなくとも社会的に取り扱う方法が存在するということです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">とはいえ、自己決定権とおなじやり方は、直接ケアの世界に適応しても、とくに日本を含むアジア的文脈では上手く行かない可能性が高いです。というのも、自己決定することが難しかったり、そういう能力がうまく発揮できないような方たちというのを、特にたくさん対象として含むシステムが、ケアシステムだからです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">とすると、この幸福追求権とは違うやり方を、模索しなくてはいけない。そこがどうやってそういうものをつくっていくかということで、ここでは時間の関係で詳しくはお話しできませんが、</span><span lang="EN-US">1</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">つだけ私がヒントとなると考えていることをお話しすれば、たとえば、ケアの中で「寄り添う」という行為がありますが、これは実は自己決定でもなく、パターナリズムでもない領域を狙った、非常に重要なタイプのケア的行為です。このような行為の合法性をうまく保障することができれば、幸福追求権とは別のやり方かつ客観化とは別のやり方で、</span><span lang="EN-US">QOL</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">を支援することができるのではないかと考えています。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">最後に、人材の条件ということで考えた時に、一つ重要なポイントがあるということを述べて起きましょう。簡単に言うと生活的な価値に関与できる能力というのが、医療者に求められる。これは在宅ケアに関わる医療者のみならず、急性期の病院に勤めている医療者にも、求められるわけです。要するに、退院した後、その人がどういう療養生活を送るのかということを、イメージすることができなければ、病院の中だけで最も安全な医療の手段を選択してしまいます。そうではなくて、療養の大きなサイクルの中で、その人が家に帰ってどういう暮らしをしながら薬を使うのだろうか、どういう暮らしをしながら生活するのだろうかを、イメージできなければいけません。とすれば、そこには能力的な条件があって、医療者は人間に興味がある人でなければならないということになります。だから、医学教育というのは、私は</span><span lang="EN-US">18</span><span style="font-family: 'MS 明朝';">才で入れるのは早いと思っています。簡単に言えば、そこをスクリーニングできないから。それはそういうふうに考えていますが、いずれにしてもそういう能力を持った医療者を、中心に置かなくてはいけない。そういうことになります。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">さらに言うと、地域連携の基本とは、実は生活というのは、ニーズがものすごく多様で、個別性が高い。とすると、私はこのケアをします、私はこのケアをしますということをかき集めて、それらの専門分業でシステムをつくっても、その外側にニーズが必ず発生しまう。つまり、生活ニーズに対応できるようなタイプのヘルスケアの専門職は、柔軟に自分が何をするのかということを、その場で選択しながら、目的に向かって進む。要するに、目標設定を前提として、その中で仕事を分配していくようなタイプのチーム組織が必要であり、その中で働けるようなタイプの人が必要です。そうすると、おのずと地域連携とか多職種連携といいますが、チーム内で能力的に重複は発生する。このような能力の重複を認めない地域連携は効率的に回らない。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">概して、保健師だったら、保健師にしかできない仕事は何だろうと考えて、保健師の仕事を探しがちです。あるいは、訪問看護師にしかできない能力って何だろうとか、そういう方向で物事を考え、そこでそれを専門化していって、職業として形をつくっていこうとしがちです。私の理解ではこのような独自性の探索とは違うアプローチが必要です。それをやらないと、多分これからのケアのニーズに、対応できないということになると考えています。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'MS 明朝';">少し時間が長くなりましたが、ここで終わりたいと思います。ありがとうございました。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-24213014554404296942013-04-26T12:50:00.000+09:002013-04-26T13:07:37.380+09:00地域包括ケアのコストある病院関係の会員誌に依頼されて書いた地域包括ケアのコストに関する原稿(未定稿:引用についてはお問い合わせ下さい)です。<br />
<div>
<br /></div>
<div>
医療費の分野は、実証のディテールの部分に大変重要性のある分野で、私のようなディテールを分析する専門性を有していない者が口を挟むような事柄ではないようにも思われます。他方で、昨今の医療費の議論を見ているとヘルスケアシステムの全体というよりも、局所的な効率性ばかりが議論されているようにもみえます。いうまでもなく部分最適化が全体の最適化を意味する保証はありません。したがって、そこでは俯瞰的な立場からコストの全体的構図について議論することが必要になります。</div>
<div>
<br /></div>
<div>
<div>
そんなことから、筆者自身、かなりの能力的限界があるということを自覚しつつも、私なりに現在の「地域包括ケア」のコスト面について整理してみた、というのが下の原稿を書くに至った経緯です。</div>
<div>
<br /></div>
<div>
相手が病院関係者向けということで、最初は軽い文章を書くつもりでいたのですが、結局いつもの調子になってしまいました。</div>
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<br /></div>
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<br />
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 16.0pt;">地域包括ケアのコスト<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div align="right" class="MsoNormal" style="text-align: right;">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">猪飼周平<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div align="right" class="MsoNormal" style="text-align: right;">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 9.0pt;">一橋大学大学院社会学研究科教授<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">1.
</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">はじめに<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> 先般、これから在宅分野に本格的に参入しようとしている医療法人の経営戦略担当者と話す機会があった。そこで概略次のようなやり取りがあった。筆者が、高齢者ケアについて地域で行うのと病院で行うのとどちらが合理的か、という質問したところ、「地域で行う方が合理的」であるとの返事であった。そこで、さらに筆者が、現在の医療法・診療報酬体系等を全部作り直せるという前提に立って地域と病院を比較した場合はどうか、と質問したところ、逆に「病院でケアするほうが合理的」であるとの答えであった。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> このやり取りが意味していることは何であろうか。それは、第<span lang="EN-US">1</span>に、一病院の立場からみれば、診療報酬その他の経営環境が地域ケアに有利化していることから、地域ケアに参入することは経営的に合理性があるということである。またそれは、第<span lang="EN-US">2</span>に、今度はマクロ的観点からみると、地域ケアへの政策誘導は、病院が施設として本来もつケアの効率性を捨てることで、全体としてケアを非効率化に向かわせている可能性があるということである。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> 昨年度から厚生労働省は、本格的に「地域包括ケア」政策を推進している。これは高齢者ケアを、地域ベースで予防(保健)・治療(医療)・生活支援(福祉)を一体的に行うシステムを構築しようとするもので、病院経営に関わる読者もこの政策をどのように受け止めればよいかということで、情報収集に奔走された経験をお持ちではないかと思う。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> では、その過程で「地域包括ケア」とは何のための政策なのか、という問いに対して満足できる答えは得られたであろうか。厚生労働省の説明は、大体次のようなものであるといえよう。すなわち、これから日本には未曾有の高齢社会が到来する。これを乗り切るためには高額な病院での医療をできるだけ節約し、地域ベースでのケアシステムを発展させるべきである、と。おそらく読者の中にはそんなものか、とひとまず納得した方もあるだろう。だが、冒頭の病院幹部とのやり取りは、このような説明が、病院関係者の率直な実感と必ずしも整合的でない可能性を示しているのである。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">2.
</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">地域ケアと施設ケア<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> まず、シンプルに考えてみよう。全く同じケアを在宅ベースで行う場合と、病院ベースで行う場合とでは、どちらの方が高くつくであろうか。コストでみればもちろん在宅ベースで行う方が相当に高価であろう。なにより移動に要するコストは在宅の方が相当に大きい。このコストは部分的には、移動そのものの費用として現れるであろうし、また部分的には、ケアのサービス量を確保するための必要な人員の増加として現れるであろう。またより多くの人員が面的に連動するためには、病院におけるよりも高度なコーディネーションを必要とすることになるが、これにも一定のコストを要することはたしかである。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> このような事態は決して特殊ではない。一般に私たちは人口が集中的に分布することで大きなメリットを得てきた。その最たる例が都市である。私たちはこのような集積のメリットを活用して効率的な社会を構築してきた歴史を持っている。そして、なによりここで問題となっている病院そのものが集積のメリットを梃子に発達してきた社会装置に他ならないのである。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> とするならば、厚生労働省は、このような病院における集積の利益を捨てても、地域包括ケア化することで別の効率化の利益が得られるので全体としてケアのコストが下がる、と主張していることになる。これは集積のメリットが一般であるとすれば、その一般的条件を覆す特殊的条件がヘルスケア政策に存在しているということを主張しているのと同じである。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">3</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">.地域包括ケアの経済性<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> では、どのような特殊的条件が考えられるのだろうか。これまで言われてきたことを整理すると、概略次の<span lang="EN-US">4</span>点に集約できるであろう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> 第<span lang="EN-US">1</span>に、病院から患者を速やかに退院させることによって、病院による無駄な医療を削減できるというものである。この説明は、今日の病院ケアが、医療を必要な患者に過不足なく提供することに失敗している、という前提から出発すれば、ある程度説得力のある説明ではある。だが、読者の方々には、この説明がある種の「外科」的アプローチであることに注意を払っていただきたい。というのも、上の方法は、あたかも胃を全摘すれば胃癌もなくなるといっているのと同じだからである。このような考え方には<span lang="EN-US">2</span>つの問題がある。<span lang="EN-US">1</span>つの問題は、ある制度(病院)に無駄が発生するのであれば、制度(病院)を改良して無駄をなくすというのが通常もっともよい方法であるが、この「外科」的アプローチではその改良が行われないということにある。この改良をスキップして当面の費用削減だけを進めようとすると、たとえば、仮に政策によって患者が速やかに退院するようになったとしても、病院に残った患者に無駄な医療が行われる構造は温存されることになる。もう<span lang="EN-US">1</span>つの問題は、退院させた先で新たな無駄が発生しないことが保証できないことである。つまり、ある患者のケアをする場所を変えることそれ自体には、ケアを効率化する必然性が含まれていないのである。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> 第<span lang="EN-US">2</span>に、地域資源を活用することによってケア供給がスリム化するというものである。これがセルフメディケーションの強化ということであれば、専門的ケアを省くことによるコスト削減効果が見込めることはたしかである。だが、それが介護力を家族に移転することを意味するような場合、状況が全く異なっている。というのも、家族を介護力として活用した場合、そこには経済学でいう「機会費用」が発生するからである。介護する家族は、介護する代わりに外で仕事をして所得を得る機会をコストとして負担することになる。この場合、「地域資源の活用」は、ケアの費用を保険財政から社会全体に移転していることになる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> 第<span lang="EN-US">3</span>に、システム統合の利益である。ここに経済的効果の可能性があるのは疑いのないことである。というのも、どんなシステムであれ、複数のシステムが勝手に動作するよりも統合的に動いた方が(それができるのなら)効率的に決まっているからである。問題があるとすれば、それは次の<span lang="EN-US">2</span>点である。1つは、地域包括ケアがシステムの効率性に関して統合の利益に焦点を当てることで、システムに関する統合以外の様々な効率化の契機を視野から脱落させる可能性があることである。もっともこの点については、地域包括ケアとは別に進めるのであれば、それでもよい程度のことではある。より本質的な問題は、システム統合そのものはそれが地域ケアとして展開することを必ずしも必要としていないこと、である。包括ケアが地域ケアである必要は少なくとも今のところあきらかではない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> 第<span lang="EN-US">4</span>に、予防の経済効果である。経済的には、疾病予防などは「問題の先送り」にすぎないという可能性も指摘されている。とはいえ、人生全体でのトータルの医療費を引き下げる方法の中に予防的方法もあるかもしれないので、この点は予防全体というよりもどのような予防に経済効果があるのかについての実証研究がなされる必要があるだろう。ただ、ここで指摘しておきたいのは、第<span lang="EN-US">3</span>点と同様、予防それ自体は、治療、福祉領域を含めた地域ケアの必要を必ずしも要請しないかもしれないということである<a href="http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=7243582871735986682#_ftn1" name="_ftnref1" title=""><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US"><!--[if !supportFootnotes]--><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt;">[1]</span></span><!--[endif]--></span></span></a>。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> これまでの議論を総合すると、およそ次の<span lang="EN-US">2</span>つのことがいえるだろう。第<span lang="EN-US">1</span>に、地域包括ケアには、医療費の削減に貢献する領域と、医療費の増加につながる領域と、コスト発生の形が変わるだけで医療費に関する効果が不明な領域があるということである。そして、第<span lang="EN-US">2</span>に、医療費削減的な要素は主に地域ケアの部分ではなく包括ケアの部分に存在している、ということである。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> このように考えてみると、ひとまず、厚労省による「地域包括ケア」が高齢社会を乗り切るための切り札としての政策である、という説明については相当慎重に評価しなければならないということがわかるであろう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">4</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">.何のための地域包括ケアか<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal" style="mso-char-indent-count: 1.0; text-indent: 10.5pt;">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">では、地域包括ケア化する必要はない、と考えるべきだろうか。この点について、筆者はあちこちで議論してきているので、詳しくはそちらをご参照いただければ幸いであるが、それらの議論を結論から言うならば、地域包括ケア化は必然であるということになる。ただし、それは上でみたような、地域包括ケアの根拠としては全く不透明なコスト節約的な理由に依るのではない。筆者の理解では、社会全体が、地域包括ケア的なケアをより好ましいケアのあり方であると認める方向に、歴史的時間の中で移行しつつある、というものである。そして、それは何も医療の世界に限った変化ではなく、人びとの生活・人生を支える広範な領域=「ケア」という言葉がかかわる全領域にわたる変化でもある。ヘルスケアはその変化の中にある。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal" style="mso-char-indent-count: 1.0; text-indent: 10.5pt;">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">このケア文化の変化は、<span lang="EN-US">1970</span>年代の社会福祉分野にその淵源を発し、<span lang="EN-US">1980</span>年代にはひとまず社会福祉領域で浸透し、さらに<span lang="EN-US">10</span>年程度のタイムラグを挟んで、ヘルスケア領域に波及してきた。<span lang="EN-US">1990</span>年代以降、医療の世界でも急激に<span lang="EN-US">QOL</span>という言葉が浸透してきたのを、読者は記憶しているだろう。まさにこれこそが、上でいうケア文化の変化の波をヘルスケアが被ったことで起きた変化なのである。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal" style="mso-char-indent-count: 1.0; text-indent: 10.5pt;">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">QOL</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">という概念を単に「治癒不能な患者に与えられるケア目標」という意味であると理解している方がいまでもあるかもしれないが、今日では<span lang="EN-US">QOL</span>という概念はずっと根底的な意味合いをもつようになっている。というのも、<span lang="EN-US">QOL</span>は、いまや医療が貢献すべき究極的な目的となりつつあるからである。その意味では、もはや医療は<span lang="EN-US">QOL</span>の手段にすぎない。このような状況の出現は、たとえば、近年の胃瘻に関する論争を想起してみれば明らかである。というのも、そこで議論されていたのは、「胃瘻を造設して延命をめざすことに何の意味があるのか」だったからである。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal" style="mso-char-indent-count: 1.0; text-indent: 10.5pt;">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">地域ケア化は、実はこのようなケア文化の変化の必然的帰結として導き出すことができる。<span lang="EN-US">QOL</span>は、①当事者の既存の生活をできる限り引き継ぐこと、②当事者の生活ニーズに関する情報を効率よく集めること、③生活ニーズの多様性に対応して多様なニーズ充足を行うことによって効果的に増進することができるようなものである。とするならば、そのようなサービスを供給しやすいのは、病院や診療所の中よりも、地域社会においてであるということになる。このため、ケアシステムは、ケアを合理的に供給しようとする圧力が社会にある限り、次第に従来よりも在宅側に重心を移したシステムとなってゆくことになるのである<a href="http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=7243582871735986682#_ftn2" name="_ftnref2" title=""><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US"><!--[if !supportFootnotes]--><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt;">[2]</span></span><!--[endif]--></span></span></a>。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal" style="mso-char-indent-count: 1.0; text-indent: 10.5pt;">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">5</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">.地域包括ケアの時代のために<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> ここまでの議論で述べてきたことをまとめると大体次のようなことになる。第<span lang="EN-US">1</span>に、ケア文化の歴史的変動の中で、ヘルスケアがより地域的なケアに移行することには必然性があるということである。第<span lang="EN-US">2</span>に、地域ケアにはコスト面からみて利点があまりないかもしれないということである。そして、第<span lang="EN-US">3</span>に、現在政策として推進されている「地域包括ケア」は、どこでコストを削減し、どこでケア文化の変化に適応するか、という点が峻別されぬままにパッケージ化された、いってみればごった煮のような姿をしているということである<a href="http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=7243582871735986682#_ftn3" name="_ftnref3" title=""><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US"><!--[if !supportFootnotes]--><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt;">[3]</span></span><!--[endif]--></span></span></a>。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> では、私たちは、このような混乱した状況の中で何を考えればよいのだろうか。本稿の最後にこの点について述べておこう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> 筆者は、基本的な状況は実はシンプルだと思っている。というのも、ヘルスケアシステムが長期的に持続可能であるために何が必要かを考えればよいからである。ケア文化が変化し、人びとのケアに対する期待がより地域的なケアを求めている以上、それに応えなければヘルスケアシステムへの信頼が失われてしまう。また、コスト的に回らなければシステムが破綻することも自明のことである。とすれば、ヘルスケアシステムが長期的に維持可能であるためには、ケア文化に適応すること、とそれが維持可能なレベルのコストで運営されること、これは<span lang="EN-US">2</span>つながらに必須の要件であるということである。どちらかのみをもっぱら考えることでケアシステムの未来を考えることはできない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> 私たちが直面している課題状況も実はシンプルである。それは、この<span lang="EN-US">2</span>つのシステム上の要請を<span lang="EN-US">2</span>つながらに達成するケアの形を、まだだれも見つけていないということである。それは読者を含め、ヘルスケアにかかわるすべての人びとによってこれから見いだされてゆかなければならないものにほかならない。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3";">参考文献<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">猪飼周平『病院の世紀の理論』有斐閣(<span lang="EN-US">2010</span>年)<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">猪飼周平「地域包括ケアであるべき”根拠”とはなにか」『医療白書<span lang="EN-US">2012</span>』第<span lang="EN-US">1</span>章、日本医療企画(<span lang="EN-US">2012</span>年)<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">(その他文献、対談等については筆者のウェブサイトからいくつかフルテキストで読めるものがあるので、必要に応じて参照されたい。<span lang="EN-US">http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/</span>)<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div>
<!--[if !supportFootnotes]--><br clear="all" />
<hr align="left" size="1" width="33%" />
<!--[endif]-->
<br />
<div id="ftn1">
<div class="MsoFootnoteText">
<a href="http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=7243582871735986682#_ftnref1" name="_ftn1" title=""><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 9.0pt;"><!--[if !supportFootnotes]--><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US" style="font-size: 9pt;">[1]</span></span><!--[endif]--></span></span></a><span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 9.0pt;"> </span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 9.0pt;">この点は、次の論点に還元できる。すなわち、予防を支援する専門職が公衆衛生医や保健師のように保健専業の職種であることが合理的なのか、治療や介護にかかわる職種が兼ねることが合理的なのか、という論点である。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
</div>
<div id="ftn2">
<div class="MsoFootnoteText">
<a href="http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=7243582871735986682#_ftnref2" name="_ftn2" title=""><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 9.0pt;"><!--[if !supportFootnotes]--><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US" style="font-size: 9pt;">[2]</span></span><!--[endif]--></span></span></a><span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 9.0pt;"> </span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 9.0pt;">地域ケア化と包括ケア化はその必然性の論理がかなり違っており、事実上地域包括ケア化という現象は、地域ケア化と包括ケア化の合成と考える必要がある。本文中では用語がこの認識に基づいて使い分けられているので、厳密に読みたい方はこの点に注意をされたい。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
</div>
<div id="ftn3">
<div class="MsoFootnoteText">
<a href="http://www.blogger.com/blogger.g?blogID=7243582871735986682#_ftnref3" name="_ftn3" title=""><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US" style="font-size: 9.0pt;"><!--[if !supportFootnotes]--><span class="MsoFootnoteReference"><span lang="EN-US" style="font-family: Century; font-size: 9.0pt; mso-ansi-language: EN-US; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-bidi-font-family: "Times New Roman"; mso-bidi-language: AR-SA; mso-bidi-theme-font: minor-bidi; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-language: JA; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">[3]</span></span><!--[endif]--></span></span></a><span lang="EN-US" style="font-size: 9.0pt;"> </span><span style="font-family: "MS 明朝"; font-size: 9.0pt; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-fareast-font-family: "MS 明朝"; mso-fareast-theme-font: minor-fareast; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">筆者は現在厚生労働省が推進している「地域包括ケア」が間違っていると言いたいのではない。現在推進されている政策は、複雑な政治過程の産物であり、それがパッケージとして論理的に明快な姿をしているべきであると考えるとすればナイーヴすぎるだろう。むしろ、ここで述べておきたいことは、このような表面的な姿の背後で、現在のヘルスケアシステムの構造、および要素としての各政策の機能・波及的意義について整理されている必要があるということである。そしてこの整理は単に政策立案者のみが知っていればよいのではなく、実践側にもよく知られている必要があるということである。</span><span lang="EN-US" style="font-size: 9.0pt;"><o:p></o:p></span></div>
</div>
</div>
<!--EndFragment--><br /></div>
</div>
</div>
</div>
</div>
猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-90596186502266920512013-04-16T17:46:00.002+09:002013-04-16T17:51:45.363+09:00医学部学生にとって社会学とは<!--[if gte mso 9]><xml>
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<br />
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: ヒラギノ角ゴ Pro W3;"><span style="font-size: 14px;">私は毎年慈恵医大の1年生(医学部医学科、看護学科)向けにゼミナール形式の講義をしています。その名も「社会学」。いわゆる社会学を専門とする学科を卒業した者でない私が社会学を講ずることに毎年多少の逡巡を感じながら講義しています。毎年全1年生向けにガイダンスをする必要があって、今年は原稿を用意したので、掲載しておきます。</span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: ヒラギノ角ゴ Pro W3;"><span style="font-size: 14px;"><br /></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: ヒラギノ角ゴ Pro W3;"><span style="font-size: 14px;">------------</span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">社会学(慈恵医大</span><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3";">1</span><span style="font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">年向け)ガイダンス原稿</span><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3";"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">社会学というのは、その名のとおり社会について考える学問の一つではあるけれども、何か決まったテーマがその学問を特徴づけているのではなく、社会学的に考えるという独特の思考方法に特徴がある。</span><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3";"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">では社会学的に考えるとはどういうことだろうか。ここでは、日頃当たり前過ぎて気にもしないこと=自明性を疑うことだ、と言っておこう。</span><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3";"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">たとえば、君たちは小中高とクラスルームの中で教育を受けてきたと思うが、そもそもクラスルームがなぜあるのだろうと考えたことはあるだろうか。外国をみると、固定的なクラスルームを採用しない教育システムをもつ国は多い。ということは、クラスルームは教育に必須のものとはいえないということになる。にもかかわらず、君たちの多くは、教育がクラスルームで行われることに疑問をもたず、むしろ適応してきたのではないだろうか。こういうのが自明性というもので、それがじつは不思議なことだということに気づくことが自明性を疑うということだ。</span><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3";"><o:p></o:p></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">もちろん、これは一例にすぎない。やってみる気があれば、医療事故の賠償金が子どもの方が高いのはなぜか、という問題を考えてみるといい。常識的には子どもが被害者のほうが賠償金が高いのは当たり前ということになっている。ただ、その理由を君たちは説明できるだろうか。おそらく難しいはずだ。たとえば常識的には生涯所得を基準として、それは算定されることになるが、このような基準にどれほどの客観性があるかを考えてみるといい。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">多くの人は医療の世界がどのような世界か、実のところそれほど深く考えずにこの世界に入ってきたのだと思うが、医療は今おそらく</span><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3";">100</span><span style="font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-ascii-font-family: Century; mso-ascii-theme-font: minor-latin; mso-hansi-font-family: Century; mso-hansi-theme-font: minor-latin;">年に一度くらいの大きな変動期に入ってきている。どのくらいそれが大きなことかといえば、医師、病院が主役でなくなる、医療の主な舞台が地域社会全体に移行する。看護の仕事の内容がものすごく多様化する、そういう医療の基本構造が変わるようなことだ。そのような時代において、君たちの医療者としての人生には、もはや敷かれたレールは存在しない。そこで、社会学的に物事を考える力をもつことは、君たちが医療者としての人生を選び取ってゆく上で、おそらく有効な武器になると思う。というのも、上のような社会学的思考は、物事をより根底的に考えようとする思考だからだ。</span><span lang="EN-US" style="font-size: 10.5pt; mso-fareast-font-family: "ヒラギノ角ゴ Pro W3";"><o:p></o:p></span></div>
<!--EndFragment-->猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-81781985606083221502012-12-20T17:43:00.000+09:002012-12-20T17:43:06.307+09:00施設でもなく在宅でもなく<br />
私が『病院の世紀の理論』という「の」の多いタイトルの本を書いておよそ2年半になります。有難いことに本書は版を重ね現在第5刷に達しています(と言っても冊数は多くはありませんが)。この間、多くの方から書評を頂いたり、本は読みにくいので中身を話しに来いといって講演に呼ばれたりして、それなりに本書で私が意図していたことについては、それを必要とする人びとにはある程度説明してきたといえるのではないかと思っています。<br />
<br />
とはいえ、本書を最初から最後までお読みになる方も少ないようです。読者の方、とりわけ実践家の方々からお話を伺うと、とくに第6章(病院の世紀の終焉)が重要とのことで、そこだけがML等で流れてくることもあるとのことです。<br />
<br />
ところで、あとがきで少し書いたのですが、本書は出版の期日が迫る中、なかなか脱稿することができず、有斐閣編集部の藤田さんの影に怯えつつ、気配を消そうとしてみたり、連絡がつかない振りをしたりと散々に各方面にご迷惑をおかけした経緯があります。<br />
<br />
実は、その最大の原因は、第7章がうまく書けないことにありました。結局、脱稿した段階でもまだ混乱を収拾しきれなかったことがおそらく原因なのだと思いますが、この部分について感想を頂くことはこれまでほとんどありませんでした。その意味では、第7章は本書の中ではもっとも読まれない、もしくは何を言っているのかわからない章となっているといえるでしょう。<br />
<br />
ただ、この章には、政策的にみると、病院の世紀の終焉と並んで重要だと私が考えている論点が含まれていました。それは、ここ30年以上の間医療政策の基本とされてきた「社会的入院」を減らしてゆこうとする政策が、そもそも基本認識のレベルで間違っていたのではないかという論点です。<br />
<br />
最近『精神医療』誌からの依頼で、この論点に関わる議論を含む小文を書きました。そこにおいて、第7章でうまく議論できなかった点を、簡単ながら述べなおしてみました。依然として、私の論点が伝わりにくい部分が残っているかもしれませんが、ひとまずどうぞ。<br />
<br />
<br />
----------------------------------<br />
施設でもなく在宅でもなく<br />
猪飼周平「地域包括ケア化の論理」『精神医療』69(近刊)より抜粋<br />
<br />
よく知られているように、日本では1970年ごろには一般病床数が先進国水準に到達していたが、その後も1990年代後半まで一般病床は増大し続けた。その過程で、「病人」の代わりに大量の「老人」が病床を占めるようになった。もちろん、ここまでは単なる事実の確認にすぎない。重要なのは、この状況を医療関係者がどのように理解したかということである。彼らの認識をもっとも端的に現しているのが「社会的入院」という言葉である。この用語は、もちろん「濃厚な医学的治療を必要としない人びとが別の理由で入院している」ということを意味している。だが、実はその説明には「病院は本来純粋な医学的治療の場であるべきなのに」という前提的認識が隠れている。つまり、社会的入院という概念は、生活の場と医療の場は別に用意されなければならないという規範を前提しているのである。<br />
<br />
だが、この規範は高齢者のQOLという観点からみてはたして正当であるといえるだろうか。もし正当であるなら、病院の在院日数を可能な限り短くするなどして、「社会的入院」は一刻もはやく解消し、高齢者を地域社会に返した方がよい、ということになる。そして、それはヘルスケアの生活モデル化、地域包括ケア化の方向ともマッチするように見える。<br />
<br />
だが、1970年代から比較的最近までの期間、高齢者のQOLの改善は病院から高齢者を追い出すことによって進展したのではなかった。<br />
<br />
実際、高齢者を多く収容した「老人病院」については、何かとスキャンダルに事欠かなかったし、「社会的入院」という考え方を支持する人びとは、病院に高齢者を入院させていることにその問題の根源があると考えてきた。だが、同じ時期、アメリカではほとんど同じタイプのスキャンダルが、病院を退院させたあとの受け皿としての機能をもつナーシングホームで続発していたのである。このことは、高齢者のQOLの増進が、生活と医療を厳格に分離・運用するという「社会的入院」概念の理想によっては実現しないということを示している。<br />
<br />
1970年代における寝たきり老人に関する報告からわかることは、当時の状況が、在宅にあった高齢者も、特養に収容されていた高齢者も、「老人病院」に収容されていた高齢者も、今日的基準からみれば劣悪な状況に置かれていたことに変わりがなかったということである。そして、その後高齢者の処遇の改善は、程度の差こそあれ、在宅でも、特養でも、病院でも同時並行的に進んでいったのである。そこにあったのは、私たちの社会において、高齢者に対する適正な処遇水準に関する規範の「切り上げ」であり、それこそが、高齢者の処遇改善のもっとも重要な動因であったのである。<br />
<br />
もちろん、この運動を突き詰めてゆけば、本稿の地域包括ケアの必然性に関する議論にあるように、ケアはより地域的に解決されてゆく方向へ向かってゆくことになるだろう。だが、1970年代当時の状況は、在宅ケアも施設ケアも病院ケアもそのケア能力の潜在的限界よりもはるかに低いレベルで行われていたのである。そしてその状況は今日でも本質的には変わっていない。現在でも高齢者施設や病院の中でどこまで高齢者のQOLを引き上げることができるか、という観点からの模索はいまだ限界まで行われているとはいえない。<br />
<br />
このことから1つの重要な政策的示唆が得られる。高齢者に対して生活モデル的にアプローチすることは、少なくとも現状では、施設ケアや病院ケアの縮小・解消と同じと認識すべきではないということである。生活モデル的観点から、在宅、施設、病院のすべてのケアを見直してゆくということが、むしろ求められているのである。重ねていえば、生活モデルと地域包括ケアの関係は、あくまで原因と結果の関係にあるという認識が重要であるということである。猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-55260167818384044532012-12-09T23:59:00.000+09:002012-12-09T23:59:28.851+09:00復興の時間最近のことですが、フリージャズギタリストの大友良英さんが<a href="http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%BC%E5%95%86%E5%BA%97%E8%A1%97%E3%81%A8%E7%B7%9A%E9%87%8F%E8%A8%88-%E5%A4%A7%E5%8F%8B%E8%89%AF%E8%8B%B1%E3%81%AE%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%82%BA%E5%8E%9F%E8%AB%96-%E5%A4%A7%E5%8F%8B%E8%89%AF%E8%8B%B1/dp/4791766776/">『シャッター商店街と線量計』(青土社)</a>という本を出されました。この本の中に「復興の時間」というタイトルの文章を寄稿しました。以下は、その内容です。例によって非常に長いので、pdfでご覧になるのもよいかもしれません。<br />
<br />
-----------------------<br />
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 16.0pt;">復興の時間<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">福島の未来のために考えておくべきことについて<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span><br />
<a href="http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/12/fukko.pdf">pdf版</a><br />
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">1.
</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">はじめに<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">私は日頃、東京の大学で、研究をしたり、学生相手に授業をしたりしている者です。原発に関して専門的知識があるわけでもなく、福島ともこれまで特に深いつながりがあったわけでもありません。昨年<span lang="EN-US">7</span>月に福島市で除染の実証実験が行われた際に、ボランティアとして草むしりに参加したのが縁で、以降細々と福島に関わるようになりましたが、特に華々しい活動をしてきたわけでもありません。この小文をお読みの方には、福島の現状に対して役立ちたいという気持ちをもちながらも、とくに何をするでもなく日々を過ごしてきた「ヨソ者」の<span lang="EN-US">1</span>人が書いている、とご認識いただければよいかと思います。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span><br />
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">そんな私が、図々しくも他の方々を差し置いて本書に小文を書くに至ったのは、</span><span style="font-family: 'ヒラギノ丸ゴ Pro W4'; font-size: 11pt;">直接的にはもちろん大友さんに書けと言われたからですが、経緯から申しますと、今年</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ丸ゴ Pro W4'; font-size: 11pt;">1</span><span style="font-family: 'ヒラギノ丸ゴ Pro W4'; font-size: 11pt;">月末ブログに「原発震災に対する支援とは何か 福島第一原発事故から</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ丸ゴ Pro W4'; font-size: 11pt;">10</span><span style="font-family: 'ヒラギノ丸ゴ Pro W4'; font-size: 11pt;">ヶ月後の現状の整理」という記事を掲載したことが起こした波紋の結果でしょう。私の文章は、既存の情報を整合的に整理すれば、より建設的な議論ができるということを書いたものでした。当時は、そのような冷静な議論が論壇に少なかったこともあったのでしょう、多少の注目を浴びる結果になったわけです。</span><br />
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<!--EndFragment--><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">現状でも、当時の状況に比べて大きく事態が改善されてはいません。除染は遅れ、住民は放射線に対する不安を抱き続けている。その意味では、福島において災害は今でも続く現実であるといえます。この被災の現実をどのように考えればよいのか、この問題に関心のある方にとっては、上に示した文章が今でも少しは役立つかもしれません。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span><br />
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">ただ、今回はそこで書いたこととは違う問題について、私の考えていることを述べてみたいと思っています。それは、福島の復興についてです。というのも、今日の福島にとって最も深刻な問題の一つが、復興を手応えのある目標として考えることが難しい、ということではないかと思うからです。これは、福島では災害が継続していることに加え、放射性物質を福島から除去するということについて目処が立たないということがあるからにほかなりません。このような状況が続けば多くの人は、「やっぱり福島はダメだ」と思うようになり、そのような絶望感が蔓延することで福島の復興は一層難しくなります。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span><br />
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">現在も福島は被災のただ中にあり、何よりも急がれるのは、被災者の安全の確保と生活の安定です。ただ、私にはそれとともに、福島の人びとの間に絶望感が蔓延する前に、復興の問題について考え始めることには意味があるように思っています。そこで、この小文では、多分に僭越ながら、福島の復興について私の考えを述べてみたいと思います。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span><br />
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"><br /></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">なお、この小文は、復興は福島の人びと自身で行わなければならないという前提に立っています(その理由については最後までお読み頂ければご了解いただけると思います)。そのため文章は、基本的に福島の人びとにとって何ができるかという観点から書かれています。域外の方でこの文章をお読みの方には、どのようにして福島の人びと自身の活動を応援できるかという観点からお読み頂ければと思います。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">2.
</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">時間が可能にすること<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">原発震災を福島が乗り越えるための最重要課題は何でしょうか。おそらくほとんどの人が「放射性物質を福島から取り除くこと」と答えるのではないでしょうか。福島の場合、津波による深刻な被害もありましたが、全体としてみれば放射性物質さえなくなれば、とりあえず元の環境に「復旧」したということにはなるでしょう。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">では、このような課題は解決可能でしょうか。多くの人びとは不可能だと感じています。一日も早くという人びとの思いとは裏腹に、状況が容易には改善しないことがあきらかになりつつあります。そして、そのことが現在の福島の人びとの焦燥感や絶望感の基本的な源泉になっているといえます。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">私は、このような状況の中で、私たちが一つの動かない事実を忘れてしまいがちになっているように思います。それは、「福島の放射能汚染は必ず終わる」ということです。極端な話として、もし放射能汚染の終息を</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">300</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年待つことができれば、ほぼ何もしなくとも原発の立地する場所の近傍以外については、自然環境的には元通りになります。もちろん、福島の人びとにとってそんな長い時間待たされることは考えられないとしても、このことは一つの復興戦略の可能性を示しています。すなわち、「できるだけ復興の照準を遠い将来に合わせる」という戦略です。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">行政的な時間感覚でいえば、短期といえば</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">1</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年以内、中期といえば</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">5</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年以内を指し、通常政策といえば大体この短中期の政策がほとんどです。ところが、そのような時間感覚で原発震災をみますと、除染一つとってみてもとても5年では片付きません。</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">5</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年という時間では、比較的線量の低い地域であっても、生活圏での被曝量を</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">1mSv/y</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">にするのが精一杯で、広範に汚染された森林や山を除染するということは全く考えることができません。これはひとまず住民に「気をつけていれば安全」という環境を確保することはできても、福島が放射能に汚染されているという状況を根本的に解決することはできません(もちろん住民の安全を確保する施策を急がなければならないことに疑問の余地はありませんが)。そもそも、線量のより高い地域には帰還そのものに</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">5</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年以上かかるというところもあります。とすると、住民も行政も、有効な手立てがない、やっぱり福島はダメだ、と絶望してしまうことになってしまいます。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">では、ここで与えられた時間を一気に</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">10</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">倍して</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50 </span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年で考えたらどうでしょう。もし福島の復興に</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年という時間をかけてよいのであれば、条件は大きく変わってきます。放射能レベルが自然に下がるだけでなく、放射性物質を効果的かつ安価に除去する技術の開発も期待できるでしょう。また広範な山地を除染するだけの時間も稼ぐことができます。また財政的にも</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年に分けてお金を投入することならできるかもしれません。そして、もっと時間を延長すれば、原発震災それ自体の解決の可能性はさらに高まり、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">300</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年に延長すれば、何もする必要はなくなります。ここで私が何を確認したいかというと、問題を解決するために与えられた時間を伸ばすにしたがって、この原発震災という問題は解決可能性が高まってゆくということなのです。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">何を悠長なことを言っているのか、と思われる方もあろうかと思います。当然です。というのも福島における被災の現実は今日の問題であり、できるものなら今日のうちに解決されなければならない問題だからです。ですから、今日できることがあれば今日やり、明日できることがあれば明日のうちにやらなければならない。長期的に復興できさえすればその他はどうでもよい、というのでは困ります。短期的にも中期的にもさまざまな施策や努力が必要なことはいうまでもありません。ここで申し上げているのは、目下行われている対策や努力のうちに、なされなくてもよいものがあるということではありません。むしろ、ここで申し上げたいのは、長期的に福島の被災地が復興してゆくためには、それだけでは十分ではない、ということです。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">福島においては、長期的な被災が避けられない以上、生活再建に努力する人びとの心の中にも「このような営みを続けてどうなるのか」という疑念が日々湧いてくることが避けられません。その疑念は、復興への意欲を削ぎ、福島県外の人びとによる震災への意識の風化と相まって、福島全体を日本の中でも活力の低い土地にしようとするものです。このようなとき、もっとも重要なのは、何のために日々の努力があるのか、という問いに対する答えではないでしょうか。そして、そのような答えを可能にしてくれるのが、時間という要素なのです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">3.
</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">時間を受け入れること<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">前節で提出した論点を別の言い方で言い直すと次のようになります。すなわち、「<span lang="EN-US">5</span>年の間に放射性物質を除去するにはどうすればよいか」という課題と、「<span lang="EN-US">50</span>年の間、人びとがそれを待てるようにするにはどうすればよいか」という課題ではどちらの方が解決が容易か、という論点です。前者が解決不可能であるのに対し、後者には現実的な解決が可能です。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">論理的には、「</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年」であることが重要なのではなく、現実的な解決策が見いだせるだけの時間が長期的なものだということが重要です。技術革新その他によって</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">30</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年でよいかもしれません。いずれにせよ、短中期的な話ではないということです。そういうことを含めて、ここでは話をイメージしやすいようにするために、解決までに「</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年」かかるということにして話を進めさせていただきます。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">さて、復興までに</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年かかるということを私たちは感覚として受け入れることは可能なのでしょうか。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">第</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">1</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">に、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年という時間は、人によっては実に遠い未来のような気がするかもしれません。それは自分自身と</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後のつながりがイメージできないためでしょう。ところが、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後という時間は、実は非常にリアルな時間なのです。というのも、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後の福島の街や村に生きるべき住民はすでに多くがこの世に生まれ、福島に暮らしているからです。つまり、復興を</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年という期間で考えるということは、たとえば大人たちにとっては、自分自身の子どもたち、孫たちに、普通に暮らす場所としての福島を残すべきかという問題であり、子どもたちにとっては、自分自身の問題だからです。さらにいえば、自分の子や孫の世代の利益を考えることで、人間には自分の利益のためよりもはるかに強い力と結束が生まれることさえあります。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">その意味で、今年浪江町で実施された</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">16</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">歳以下の子どもを対象とした「子どもアンケート」は大変興味深いものだったといえるでしょう。このアンケートで子どもたちは、かつてのような浪江町を取り戻すことを求めました。このアンケートが議会や住民にフィードバックされた結果、浪江町民の間に浪江町を取り戻そうという連帯が生まれたと聞いています。浪江町の人びとは、自分の子孫のことを考えることで、人びとがより強い力を発揮することができるということ、長期的に物事を考えることで目先に存在する鋭い利害対立を超えることが可能であることを示したのです。この事実は、長期的な目標をもつことが私たちにとってリアルなことでありうることを証明しているといえるのではないでしょうか。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">第</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">2</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">に、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年先のために準備しておくことは、なにも福島だけに必要なことではないということです。</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年先には日本の人口は</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">8</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">千万人台になると予測されており、全国各地で、地域社会の存亡が問題となることでしょう。いいかえると、どの地域社会にとっても、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年生き延びるということは、もともと文字通り存亡を賭けたチャレンジなのです。その意味では、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後のための生存戦略を福島が考えるということは、どうせいずれは直面しなければならなかった課題に、他の地域に先駆ける形で取り組むことを意味しています。その意味では、今から</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後のために対策しておいても無駄にはなりません。それどころか、先行して対策をすすめることによって、より他の地域にとっての先駆としての位置を占める可能性もあると思います。私の本業は医療や福祉に関する政策についての研究なのですが、私の専門領域でもそのような事例は多数みられます。実際、今日医療・福祉の先駆モデルとみなされている地域の多くが、貧しい農山村から生まれたものなのです。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">第</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">3</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">に、長い時間を必要とするような事象は身近なところにいくらでもあり、私たちはそれを自然に受け入れてきました。その意味では、時間を受け入れる姿勢というのは、人間にもともと備わっているものだということです。家の庭木は数年では思うような姿にはなりません。子どもも数年では大人になりません。そういう事実と私たち人間はずっと付き合って来ました。つまるところ人工物以外のものは、人間の意思とは全く別にそれぞれの時間を歩んでいるのであり、私たちはそれに適応する他ありません。そして、私たちは人類史を通じてそれに適応して生きてきたのです。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">この度の原発震災で汚染されたものには広大な森林や山が含まれています。これらから放射性物質の影響を取り除くには長い時間がかかるでしょう。ただ、そのことは決して絶望的なことではないと思います。というのも、もともと森林や山を、人間は、半世紀から百年を超える時間をかけて育てるということをしてきたのですから。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
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<br /></div>
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<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">4.
</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">福島の復興のために今からできることとは<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;"> <span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">ここまで、時間という要素を考慮に入れつつ復興を考えることの重要性について、私なりの考えを述べてきました。それにしても、<span lang="EN-US">50</span>年なんてあまりに遠い未来で、具体性がないように思われるかもしれません。実のところ、<span lang="EN-US">50</span>年先のために具体的に今なすべきことがあるかどうか、がこのような長期の目標がリアルなものであるかどうかの決め手になります。そこで、以下では<span lang="EN-US">50</span>年後のために今できることについて述べてみたいと思います。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">いうまでもなく、もっとも優先されるべきは、住民の安全を確保するとともに、日々の生活を安定させることです。根本的には福島の復興を成し遂げるのは福島の人びとをおいて他にありません。その意味では、福島の人びと自身が復興に向けて強い意欲を持つことが必要であり、さらにそのためには、まずは被災地にある人も避難した人も含めて、福島の人びとの生活の再建こそが最優先になります。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">人びとが復興に向かおうとすればするほど、それについて行けずに置いてけぼりとなる人びとも同時に生まれます。このような人びとは、自分が属しているコミュニティに居場所がないように思うようになるかもしれません。このような状況が起きないようにするためにも、日々の生活をできる限り充実したものとして再建することは、復興の前提として位置づけられなければならないものだといえるでしょう。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">ただし、とりあえずの生活再建は、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後などということを考えなくとも、その重要性が自明な事柄に属しているともいえます。以下では、目先の生活再建が最優先であることを認めた上で、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後における復興ということを考えることで初めて見えてくる具体策について述べてみたいと思います。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">1</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">)何のための復興なのかを確認する<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">そもそも、福島はなぜ復興しなければならないのでしょうか。被災者の生活を再建しさえすればよいのであれば、別の土地で再建を進めた方が簡単でしょう。もう少しいえば、生活の利便性、経済効率性といった観点からみれば、汚染した被災地にこだわり続けるというのは合理的な態度ではないようにみえます。では、それでもあえて福島が復興しなければならないとすれば、それはなぜなのでしょうか。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">試みに、人が全く住んでいなかった山林を切り開いた真新しい郊外住宅地を想像してみてください。このような土地に人びとが住むのは、もっぱら、そこが快適だったり、交通が便利だったり、住宅が安かったりするからでしょう。さて、このような土地が放射性物質で汚染されたらどうなるでしょうか。その土地は快適性・利便性・経済性以外の価値をもっていませんので、しかるべき代替地の提供が保証される限りその土地に留まる理由はありません。そこでは、十分な補償がなされる限り、汚染地域の復興自体は問題にならないということになります。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">翻って福島はどうでしょうか。上に挙げた郊外住宅地と何が違うでしょうか。私の考えでは、福島の多くの地域には、永年人がそこを舞台として暮らしてきたこと、その結果として育まれてきた文化がある、この点が一番違う点だと思います。「文化」といっても必ずしも高尚なものや観光資源になるようなものを想像する必要はありません。それは、人びとによって編み出されてきた多様な「暮らし方」の総体のことです。それには、たとえば地域の祭りのようなものから、地域の人びとによく知られている夜景の綺麗な場所がある、地域ならではの味噌汁の味がある、ジャズミュージシャンを輩出する場所がある、子どもたちが知っているザリガニ釣りのスポットがあるというようなことまで、なんでも含みます。そういう暮らし方の分厚さ、豊かさこそがここでいう文化的内容と考えましょう。そう考えてみると、福島の各地には実に豊かな文化的資源が蓄積されているということになります。そして、私はこのような文化的厚みがあることこそが、福島の復興の最大の理由ではないかと思っています。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">考えてみてください。地域レベルで考えたとき、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後の子孫に残すにふさわしい遺産とは何でしょうか。経済的豊かさ、たとえば大企業の工場を誘致したとして、それは</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後の子孫に残せるでしょうか。もちろん残せません。というのも、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年という期間は産業の盛衰のサイクルよりもずっと長いからです。実のところ、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年という時間での復興を考えるとき、地域レベルで子孫に残すべきものがあるとすれば、それは文化的なもの以外にないのではないでしょうか。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">私は、上でのべたような利便性・経済効率性といった観点からみた合理性が通用するのは、短中期的な意味での合理性に過ぎず、半世紀単位の長期には適用できないと考えています。というのも、利便性や経済効率性は必要に応じて随時構築し直せるのに対し、文化的内容の厚みは一度失ってしまうと簡単に再構築できないからです。この文化のかけがえのなさ、これこそが福島が復興にとって中核となる理由なのだと思います。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">話が長くなりましたが、上のことを踏まえると、今から始められることがあるように思います。以下私の考えとして</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">2</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">つの方向での活動を示唆しておきたいと思います。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">第</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">1</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">に、震災前に地域の人びとがどのように暮らしていたのかについての記憶をできるだけ風化させないように記録しておくことです。一見些細なことに思われるようなものでも残しておくことが重要でしょう。これは、一種の民俗学的アプローチでもあります。記録の仕方についてはその分野の専門家の力を借りることも手でしょうし、個人だけでなく、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">TV</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">局やラジオ局などがもっているアーカイヴも有用な資源になるでしょう。これらの活動によって、地域における暮らしに関する分厚い文化的内容を情報として保存することができます。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">震災後、震災そのものについての記録の重要性については多くの人びとに認識されるようになりました。もちろん、これは震災の教訓を生かすという意味では重要です。ただ、復興という観点からは、むしろ震災前に営まれてきた日常に関する情報の方が、ずっと価値があるといえるのです。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">第</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">2</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">に、上のような暮らしの記録と併せて、地域における暮らし方にどのような良さがある(あった)のかについて、再発見を進めることです。その際「ヨソ者」の視点が役立つでしょう。彼らは、地元の人びとが何気なく行なっていること、当たり前に思っていることに、驚き、興味を持ち、質問をしてくれます。それによって、地元の人びとは、自分たちの暮らしの特質や、魅力をよりはっきりと理解することができます。これは、まちづくり、むらづくりを成功させる手法として知られている方法ですが、福島の復興にも確実に有効なやり方でしょう。これをシステマティックにやるかどうかはともかく、ポイントは、地域の外の友人の輪を広げてゆくということです。原発震災にはポジティヴな側面はほとんどありませんが、おそらく唯一良いことがあったとすれば、地域を外に開いてゆく機会となったということではないかと思います。これを地域の文化の魅力を再発見する方向に活用すればよいと思います。その際、観光資源になるかどうかはあまり重要ではありません。むしろ、自分たちにとっての復興の理由になる=子孫に残したいと思えるかどうかが重要なのです。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">私は、この活動の過程で、地元の人びとが驚くほど、今回の原発震災によってですら奪うことのできなかった地域の良さがたくさん見つかると思っています。というのも、この方法は、従来何のとりえもない寒村と思われていた地域から、たくさんの宝を見つけ出してきた実績のある方法だからです。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">2</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">)子孫に文化を手渡すために<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">これまで<span lang="EN-US">50</span>年後の復興ということを述べてきましたが、それは必ずしも地域が大発展するというようなことを意味していません。むしろ、長期的な日本の人口減の過程で、今回の震災で被災しなかった地域を含め、<span lang="EN-US">50</span>年後には各地では存亡をめぐる問題が顕在化することが予想されます。つまり<span lang="EN-US">50</span>年後の復興とは、上で述べたような文化的価値を手渡す相手がいるということになるでしょう。それは、いいかえれば、地域社会が生き延びるということです。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">では、どうすれば原発震災を乗り越えて、地域社会を生き延びさせることができるでしょうか。</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後に地域文化を遺すためには、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年間地域社会が存在し続けなければなりません。そのために何が必要となるのでしょうか。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">第</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">1</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">に、これはなにより自治の問題であるといえると思います。繰り返し述べているように、被災地にかぎらず日本の大部分の地域について、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後に地域社会が存続しているということは保証されていないといえます。実際、大幅な人口減を経験することが予想されている中で、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年後には集落単位でみれば多くの地域が消滅することになるでしょう。そんな中で、県も国も、ある一つの地域が他の地域よりも生き延びる価値があるということを保証してくれはしません。結局のところ、ある一つの地域が苦労してでも生き延びるべきであるとすれば、そのことを地域の人びとが決心することなくしては実現できないのです。そして、そのためにはまず自分たちの地域の運命については、自分たちで決めるという自治がそこになければなりません。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">第</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">2</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">に、ひとたび地域が生き延びることを決断したとしても、被災地においてであろうと避難地においてであろうと、ともかく生活が継続しなければなりません。これは多分に経済の問題になってきますが、ここでは</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">1</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">点だけ述べておきたいと思います。それは、</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">50</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">年という長きにわたって生活が継続するためには、大小無数の工夫が必要になるということです。経産省あたりが考えつくような大型の企画</span><span lang="EN-US" style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">1</span><span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">つで生き残ろうとするようなモノカルチャー的発想は、長期的な地域社会の存続戦略にとって合理的とはいえません。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">そして、大小無数のアイデアが常時生まれるためには、「苗床」のようなものが必要になります。私の理解では、ここでも上で述べたような開かれたコミュニティとなることが大変重要であると思います。地元の人びとが地域社会の価値に気づくことと、さまざまなアイデアが外部からもたらされることが、「苗床」を大きくするからです。</span><br />
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;"><br /></span>
<span style="font-family: 'ヒラギノ明朝 Pro W3'; font-size: 10.5pt;">その際、現状からみて乗り越えなければならない点もあります。それは、地域社会存続にとって地域社会に関心をもつあらゆる人びとを仲間としてゆくということを認める必要があるということです。その中には、今回の震災で地元から外に出た多くの「避難者」も含まれます。この度の原発震災の過程で、避難した人びとと現地に留まった人びととの間に深刻な亀裂が生まれたように思います。そこにはそうなってしまう経緯があったことは、私も「ヨソ者」ながらある程度承知しています。ただ、本文の立場からいえば、どちらも地域社会の未来にもっとも強い関心をもつ人びとであることには変わりないということは指摘しておくべきでしょう。私は、むしろ今回の震災で福島の人びとが県内は全国各地に散らばったことを、より開かれたコミュニティを作るために利用する、というしたたかさが求められているのではないかと思っています。</span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">5.</span><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 13.0pt;">まとめ<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">以上、長々と書いてきましたが、この文章で要点となることを以下にまとめておきましょう。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 36.0pt; mso-list: l0 level1 lfo1; mso-para-margin-left: 0gd; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3";">1)<span style="font-family: 'Times New Roman'; font-size: 7pt;">
</span></span><!--[endif]--><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">長期的視点から復興を考えることで不可能が可能になる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 36.0pt; mso-list: l0 level1 lfo1; mso-para-margin-left: 0gd; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3";">2)<span style="font-family: 'Times New Roman'; font-size: 7pt;">
</span></span><!--[endif]--><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">地域文化を点検してゆくことで復興の理由が見えてくる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 36.0pt; mso-list: l0 level1 lfo1; mso-para-margin-left: 0gd; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3";">3)<span style="font-family: 'Times New Roman'; font-size: 7pt;">
</span></span><!--[endif]--><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">復興のためには地域が生き延びることを地域の人びと自身が決めること(=自治)が必要になる。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoListParagraph" style="margin-left: 36.0pt; mso-list: l0 level1 lfo1; mso-para-margin-left: 0gd; text-indent: -18.0pt;">
<!--[if !supportLists]--><span lang="EN-US" style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt; mso-bidi-font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3";">4)<span style="font-family: 'Times New Roman'; font-size: 7pt;">
</span></span><!--[endif]--><span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">地域文化の良さを理解するためにも、生き延びるアイデアを得るためにも、地域はより開かれたコミュニティを作る必要がある。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<div class="MsoNormal">
<span style="font-family: "ヒラギノ明朝 Pro W3"; font-size: 10.5pt;">このようにまとめると、長期的な視点からみる限り、福島の人びとが立ち向かわなければならない状況というのは、震災前にあった状況と大して違わないということがわかるのではないでしょうか。一部の地域を除いて、福島でも多くの土地が、震災前から進行する高齢化・人口減少の中でどのように地域づくりをしてゆくかという問題にぶつかっていました。そして、その中で奮闘されていた人も多くおられたはずです。要は、その続き、やりかけの仕事に戻ればよいのです。しかも、今度は地元の人びとだけではありません。本書の読者を含め、多くの福島県外の人びとが、今度は友人として福島の復興に参加してくれるはずです。かくいう私もその<span lang="EN-US">1</span>人として、一番後ろからついて行くことができればと思っています。<span lang="EN-US"><o:p></o:p></span></span></div>
<div class="MsoNormal">
<br /></div>
<!--EndFragment-->猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-26048488066037356612012-11-01T16:19:00.000+09:002012-11-01T16:19:10.040+09:00地域包括ケアでなければならない理由についてここしばらくブログの更新をサボっている間に、私はすっかり「地域包括ケア」の専門家の一人と目されるようになってしまい、各所に呼ばれて話をさせられるようになってしまいました。
<br />
<br />
別のところでも書いていることですが、専門家と学者の間には大変深い溝があります。専門家はある分野に関する知識が深いことを本質としています。であるがゆえに、時にはアドバイスを求められることになります。これに対し、学者というのは<span id="goog_589384332"></span><span id="goog_589384333"></span><a href="http://www.blogger.com/"></a>、真実(それがあるかないかはともかく)を尋ねる、という基本的な態度をもつ人間のことを言います。この場合、基本的ポジションは「私は真実を知らない」になります。「知らない」からこそ「知る」ための努力をすることに人生を使うわけです。
<br />
<br />
ところが、実際の学術研究のあり様をみますと、ある分野でもっとも深い知識を有している専門家が、その分野の真理を追求している学者である、ということはよくあることです。この場合、自身としては真実をよく知らないと思っている人間に、アドバイスが求められるという状況が発生し、これは学者にとっては大変な葛藤状況になります。実は、まさにこのような状況が、私にも降り掛かるようになってしまった、というのが、冒頭で述べた状況です。<br />
<br />
私個人としては、基本的アイデンティティは学者であって、専門家であることについては何の魅力も感じていません。ただ、私が考えてきたこと、暫定的ではあれ見出してきた知見を、「知りたい」という人があることに対しては、何らかの応答の義務があるとも感じるようになりました。
<br />
<br />
ただし、講演などでは厳密な話はできません。そういう話になったとたんに確実にみんなあくびをし始めます。私は学者なのだからそれで構わないのではないか、と思ったりもしますが、結局のところ何も伝わらなければ、求められている義務を果たしたことにもならないわけですから、「論証が抜けていますが…」などと言い訳しながら、結果だけを話すという歯切れの悪い話し方をすることになります。<br />
<br />
まあ、こんなことで葛藤しながらここのところ過ごしてきました。そこでのひとまずの結論としては、学者と専門家を両立させる唯一の方法は、結局のところ、わかりやすく丁寧な論文を書くということ以外にないということです。ただ、それは困難を別の困難に置き換えるだけというところもあります。<br />
<br />
そうこうしているうちに、小文を書く機会を持つことになりました。下のリンクは『医療白書』の2012年度版のために書いた文章の未定稿です。どうやら本文は、『医療白書』の第1章に掲載される予定のようですが、おそらく他の章や冒頭の対談とは相当異質な文章になってしまっているようです。このように本の文脈を無視した文章、いつもどおり読みにくい文体、ということで、上の課題を克服する日が実に遠いということを痛感することになってしまいました。私の葛藤の日々はいつ終わるのでしょうか。<br />
<br />
それでも、あえて本文を読んでやろうという方には、文章に次の諸点への言及があるということを踏まえた上で読んで頂けば、多少なりとも誤解なくお読みいただけるのではないかと思っています。<br />
<br />
1)厚労省が推進する「地域包括ケア」に地域包括ケアとしての一般性を認めていない<br />
2)地域包括ケアが高齢社会を乗り切るためのケアであるということを認めていない<br />
3)地域包括ケアによってケアシステムのコストが削減できることを認めていない<br />
4)地域包括ケアによってケアが良くなるということを認めていない<br />
5)にもかかわらず、長期的な趨勢としてケアが地域包括ケア化することを認めている<br />
<br />
<a href="http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/12/ikai12c.pdf">猪飼周平「地域包括ケアであるべき根拠とは何か」(未定稿)</a><br />
<br />
<br />猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-87626240806547583362012-02-18T07:27:00.000+09:002012-02-18T07:27:22.183+09:00「凄腕」の保健師の未来昨年末から、山梨県の保健師のグループと、山梨県の保健の戦後史を振り返る研究会を始めています。山梨県は伝統的に大変保健活動が活発な県とされてきました。その背景については、まだよく掴めていないところが多々ありますが、一つはっきりしているのは、山梨県は保健婦の導入が始まった1940年代以前、他府県に比べて医療資源の大変少ない県だったということです。<br />
<br />
山梨県は戦前の統計をみると、他府県に比べて医師も産婆も少ない県でした。とりわけ人口あたり産婆数は1940年時点でも、人口1万人あたり産婆数は4.6人(平均8.4人)しかおらず、沖縄県についで最も産婆の少ない県でした。従来から、初期の保健婦は医師を中核とした治療体制の乏しい「医療過疎」地域に、いわば「治療の代替」として投入される傾向があったといわれており、山梨県の活発な保健活動の戦後史もこのような事情を背景としているといえるかもしれません。<br />
<br />
さて、以下では私が山梨県の保健の歴史について勉強する中で出会った文章を紹介しておきたいと思います。これは、山梨県職員労働組合『明日の健康は住民と共に』(1970年ごろ)という保健婦の手によるパンフレットの序文です。<br />
<br />
-------------------<br />
<br />
保健婦の業務は、現在社会で生活している人々、さまざまな現象が対象であるだけに広く、そして又、人間が対象であるだけに深い。 <br />
<br />
個人の健康生活を妨げている様々な条件を取り除き、すべての人が健康な生活が送れるよう、社会全体をよくしていくのが公衆衛生の目的であるが、その中にあって、保健婦の特徴は、家庭訪問や、健康相談を通して、地域の個人個人、一個一個の過程に直接結び付いていることである。どんなに立派な健康社会建設の構想も、社会を構成している個人・個々の家庭の健康なくしてはあり得ない。どのように素晴らしい医学や理論も、個人がその生活の中で実践していかなければ、空論に等しい。個々の生活に結びついて、生活の調整を行い、態度を変容させ、その生活の指導を通して、人々のなやみや悲しみや、よろこびを共に分け合いながら、健康生活を支援していく人、それが保健婦である。<br />
<br />
保健婦の業務の領域は複雑である。社会の健康を目指す公衆衛生の目的に沿って、地域全体の健康管理をしながら病気における看護を、過程で療養している病人に施し、あるいは家族にその方法を教え、人間の健康とは切っても切り離せない経済的な、社会的な、精神的な問題の解決をはかる社会福祉の領域までもが、保健婦1人に期待されている。公衆衛生と、看護の技術と、社会福祉と、その3つがかさなりあうところ、それが保健婦である。<br />
<br />
現在、自分が健康だと思っている人、多勢の家族を抱えながら目の前の生活に手一杯である人の中には、健康という言葉に背を向ける人が多い。生産を中心とする社会的な願望が、健康的面の身体的願望を抑えている時、保健婦の業務はむずかしくなる。さしのべる手をふり払われながら、人々の心の奥深くわけ入って、健康の尊さを説きつづけるとき、保健婦はカウンセラーとなる。<br />
<br />
看護に基盤をおいた公衆衛生事業の一分野として、人々の生活に密着しながら、人々の健康を願い、保健婦は今日も保健指導の歩みを続けている。<br />
<br />
-------------------<br />
<br />
以上の短文は、山梨県の保健活動の伝統をよく表していると思います。そして、このような伝統の中から、山梨県では、幾多の「凄腕」の保健婦が輩出されてきました。そして、山梨県が模範的な保健活動が行われてきた地域の一つとみなされてきたことからわかるように、上のような保健観は、戦後日本の保健師活動の理想と考えられてきたといえます。<br />
<br />
その一方で、今日このような保健観は相当程度衰えてきているようにみえます。このことは、伝統的保健観を理想とする保健師たちによって、折々に、次第に地域や人が見えなくなってきているという危機感として表現されることでもわかりますし、多くの保健師たちが、もはや伝統的保健観そのものを内面化していないということでもわかります。もちろん、このような保健観の衰えは山梨県においても、程度の違いこそあれみられるものでもあります。<br />
<br />
私は、このような保健観の今日的意義を評価することこそが、保健の現在を理解し、将来を展望するために最も必要なことではないかと考え始めています。<br />
<br />
おそらくポイントは、次の2つの保健活動に対する立場をどのように理解するかなのではないかと思います。<br />
<br />
1つは、戦後初期のように、ソーシャルワークに従事する他職種がほとんどなかった時代と異なり、保健師が個人や家族の生活問題をまるごと抱え込む必要性がなくなってきているとみるものです。この場合、保健師は多職種による分業の一翼であればよいということになり、個人や家族に対して直接関わる要素は薄れてゆくのは必然であるということになります。<br />
<br />
もう1つは、今日のソーシャルワークの主流であるジェネラリストソーシャルワークの考え方からみて、伝統的な保健観には先端性があるとみるものです。ジェネラリストソーシャルワークの基本は、生活というものは部分的に切り取って理解することはできず、総体として捉えなければならないというものです。その意味では、伝統的な保健観は生活を総体として捉えることを基本としている点でまさにジェネラリストソーシャルワークの思想に合致しているといえるでしょう。<br />
<br />
この背後にあるのは、もちろん人々の健やかな生活を支えることはいかにして可能であるかという問題であり、さらには生活とはそもそも何かという問題であるといえるでしょう。猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-19729154700590346522012-02-10T13:57:00.005+09:002012-02-12T02:46:33.519+09:00原発震災に対する支援への補足ここ数年ほど細々とブログをやっておりましたが、このたび思いがけず私の論考「原発震災に対する支援とは何か」(以後「本稿」)に大きな反響を頂き、一時的にとは思いますが「細々」でなくなってしまいました。他のブログや私の書いたものをご覧いただくとわかりますが、私は、広い意味での医療や福祉に関する研究をしている者です。通常は本稿のような「一人称」の論考を書くことがない者で、今後このような論壇に登場することもないと思っています。とはいえ、私のことをたまたま本稿でお知りになった方につきましては、これも何かの縁ですので、以後お見知りおきを。<br />
<br />
さて、以下ではこれまで頂いた意見を踏まえて少し補足的な説明をさせて頂こうと思います。といっても、個々のご意見に応答するというよりは、私が本稿に込めた意図を明らかにすることで、誤解の幅を小さくすることを目標にしておきたいと思います。その上で、あらかじめ断っておきたいことがあります。それは、私が私の主張の正しさにこだわっていないということです。自身の主張の正しさに固執するには、私はあまりに部分的事実しか知らず、また事態はいつでも流動的だからです。ご意見の中に「考えさせられる論点が多い」という評価を多数頂いたことは私にとっては大変有り難いものでした。というのも、私としては多少なりとも支援について建設的に考える種を読者に引き継いで頂いたように感じられたからでした。読者の皆さんには、是非とも、私の提出した論点などさっさと乗り越えて頂いて、より本質的な支援を読者の皆さん自身の手で考案して頂きたいと思います。<br />
<br />
1.NPO/NGOなどの支援団体への提案として<br />
まず、私が何より目指していたのは、原発震災に関する論争を、被災者への支援に結びつく形で有効に機能させるということでした。その際念頭に置いていたのは次のことでした。<br />
<br />
まず今次の東日本大震災一般について、被災地の地元が提供したボランティアの受け入れ窓口は、社協(社会福祉協議会)のボランティアセンターであることが多かったわけですが、多くの方が指摘するように、従来ボランティアを使い慣れていない土地柄ということもあってか、コーディネーション機能(ボランティアの能力と被災者のニーズを適切にマッチさせる)が脆弱であったと言われています。これを補完してきたのが、NPO/NGOなどの組織的な支援の経験をもつ支援団体でした。実際、津波災害支援においてはこれらの団体は自らコーディネーション機能をもった団体として活動し、現地の経験不足を補ったのです。<br />
<br />
ところが、これらのNPO/NGO諸団体は、こと福島に留まっている人々に対してということでいえば、避難所支援などを除いて必ずしも有効な支援をしてこなかったように思います。もちろん、彼らは決して福島の人びとを見捨てていたというわけではなく、原発震災という非常に複雑な性格をもつ事態に対してどのように対応すればよいかで悩んでいたというのが正確なところだったかもしれません。彼らの支援の基本にあるのはなんといっても基本的人権の保護です。そして、この観点からみると、被曝=人権侵害=被災地住民総退避という立場をとることになります。もちろんこのような考え方はそれが現実的な選択肢である限りは正当性を持ち得ます。ただし、被災地の人々が一挙に県外に避難・移住することがもはや非現実的であるということがはっきりした後でもこの立場に固執するとどうなるでしょうか。結果として、被災者を支援したいという彼らの意図に反する行動を取ることになってしまいます。<br />
<br />
彼らの多くは除染に反対という立場をとってきましたが、その理由は、除染を支援すると、彼らの主張である避難を抑制することになるかもしれないからです。しかし、「総員退避」が現実性をもたない状況で、そのような立場に固執するとどうなるでしょうか。避難者は期待するほど増えない一方で、現地に残った住民の被曝が増大し、人びとの精神的負担に押しつぶされてゆくさまをなすすべなく眺める結果となってしまいます(外野から被災地自治体を批判してもほとんど効果はありません)。これはまさにNPO/NGOがコーディネーション不足を補完できていないことで「不利益」を受けている福島の現状を説明する構図です。<br />
<br />
もちろん、私の提案には、支援団体の方々の信条に反する部分があるだろうということは充分察しがつきます。その意味では、受け入れ難いことを提案することになるわけですが、それでも、私としては、NPO/NGO諸団体に属する皆さんに、現実的な判断、被災者にとっての利益とは何かということをもう一度考えていただきたいと思って、本稿を書いたというわけです。<br />
<br />
2.健康リスクの不確実に対抗する考え方の提案として<br />
私たちには、現状で、今回の原発震災がどのような健康リスクを孕んでいるのかを正しく評価することはできません。それは私のような非専門家にとってはもちろんのことですが、専門家の間でも健康リスクの評価はバラバラで一方の極から他方の極まであらゆる主張が争鳴する状況となっているという意味では、専門家にとっても状況は同じです。このような状況においては、放射線の健康リスクの評価→対応策という経路で対策を考えることは充分な有効性を持ちません。というのも何らかの立場からリスクを評価し対応策を考えることはほとんど賭をしているのと同じだからです。すなわち、健康リスクの評価を基礎にして支援策を考えようとすると、大雑把にいえば1)リスク大に賭ける、2)リスク小に賭ける、3)賭を拒否するという3択が強いられるわけです。ところが大変悩ましいことに、これらの選択肢にとりあえず有害な結果を及ぼす可能性のない選択肢はありません。この困難な状況が多くの方々を支援の入口で跳ね返してきたように思います。<br />
<br />
この状況に対し、私が提案したのは(そのようには読めなかったかもしれませんが)、とりあえず原発震災の健康リスクは大きいかもしれないしそうでないかもしれないという幅を許容しても、それでもなしうることを探そうというものでした。たとえば、現地に留まっている人々にとって除染は、1)健康リスクの低減(安全)、2)精神的負担の軽減(安心)の2面の効果を持ちます。とすれば、除染は、人びとが福島に留まっている限り健康リスクが大きくても小さくても有効な手段ということになります。<br />
<br />
ただし、これは現状に対する判断からの提案であり、今後ともそうでありつづけるということを言いたいのではないということはご理解頂ければと思います。物事を柔軟に考えなければならないという点でいえば、私が最近接したツイートで大変感動したものがあります。「敢えて呟く。正しい計測のもと、全村で内部外部合わせて個人の被ばく線量が3mSv以下を現状で保てる村があったとする。ここで1mSv/年を目指すために除染に大規模なお金を掛ける?…もし…もし住民全体の合意があれば、そのコストをすべて医療サービスに転換、なんてこともあり得るんだよ…」(@fukuwhitecat, 2012/2/2)。<br />
<br />
福島や被災の現実をよく検討すれば、これまで私たちを支援の入口で跳ね返してきた困難を回避する方法はいろいろとあるように思います。上のように小難しくいわなくとも、「やれることからやる」ということでも構いません。このような不確実性に対抗する支援の方策を考えてゆきましょう、というのが、私として読者の皆さんに提案したかったことの2番目です。<br />
<br />
3.建設的な議論のための土台として<br />
本稿を公開してまもなく桜井政成(立命館大)さんから重要な批判を頂きました。これは、除染には、被曝したくない少数者に被曝環境下での作業が強制される可能性がある、というご主張でした。これは大変重要な観点を本稿に付加(負荷)したと思いました。私はこのような建設的な主張を引き出す触媒になることを本稿に期待しておりましたので、桜井さんの「反論」に接したことで、私は本稿を公開する判断をしたことが正しかったことが確認できたと思っています。<br />
<br />
その上で、読者の方々にお願いしたいことは、批判の建設的な面に着目して頂きたいということです。ここでの問題についていえば、そもそも集団の意思決定に関しては、一般にすべての人が合意することは難しいものです。では一切集団での意思決定はすべきでないかといえば、しなければならない時もあります。その時に住民の意思を集約・擬制する過程が政治です。このため必然的に意思決定に抑圧されたり、見捨てられたりする人が生まれる危険があります。したがって、集団の意思決定が健全に機能するためには、桜井さんのように、擬制されたものを実体とみるのではなく、そこからこぼれ落ちた人々に対する配慮をいかに行えるかが決定的に重要です。その意味では、桜井さんの視点は集団の意志決定を行う上での重要な補完要素なのです。<br />
<br />
これに対し、「少数者に除染を強いる可能性があるので除染はすべきでない」という極端な説得のされ方をした方もあったように思います。いうまでもなく、このような解釈は、少数者のためには多数者を犠牲にしてよいという考え方であり、一種の専制を是認することになってしまいます。つまり、専制を支持するのでないかぎり、桜井さんの「反論」は、本稿の補完であって対立する主張にならないのです。もちろん、私たちが考えるべきは、どうすれば少数者を抑圧しない(にくい)集団の意思決定が可能となるか、という問題です。読者の方々にお願いしたいのは、論者の議論の優れた面を組み立ててゆく思考を使って頂きたいということです。<br />
<br />
4.除染ボランティアの可能性を追求するきっかけとして<br />
福島県内の除染ボランティアということでは、福島市と伊達市が社協や生協を窓口として除染ボランティアを動員してきました。この除染ボランティアの活用スキームには、大まかにいって3つの問題があります。第1に、少なくとも現状では、ボランティアにとっての基本ニーズを充足していないことです。すなわち、中立なリスク情報の提供、住民との対話機会・ボランティア同士の対話機会の確保、ボランティアの安全への最大限の配慮といったことが、現状では担保されていません。第2に、大きなボランティア供給圧力に対応できていないことです。現在の自治体による除染は、行政・業者主導の枠組みのため、作業の中にボランティアを位置づけることが難しい状況となっています。11月中旬までに一旦ボランティア募集が打ち切られたのにはこのような背景があります。そして第3に、行政主導の線量順の除染計画では、本稿で述べた通り、住民のニーズに十分応えられないということです。第1の問題については、改善の可能性を追求するということもできると思いますが、第2、第3の問題については、なかなか本質的な改善は大変です。<br />
<br />
私は行政主導の除染も行政によるボランティア動員も、一定の有効性がありつつも、他方で相当に限界のあるやり方なのではないかと思っています(現在のゼネコンへの除染の委託がどの程度奏功するかはまた別途検討する必要があると思っていますが)。そこで、このような除染スキームとは全く異なるタイプの除染活動が活性化することで選択肢が拡大することが必要ではないかと思います。その有力な可能性が、従来とは異なる除染ボランティアの活用です。住民と域外ボランティアを前面に出した除染です。昨年の経験で図らずも除染ボランティアの供給圧力は相当高いということが分かっています。この力を上手に借りて除染を進める方法が発達することを願っています。<br />
<br />
なお、付言しておけば、本稿の注14に書いたために読み落とされやすいのですが、私は雇用労働ベースでの除染が効果が一般に有効でないということを主張しているのではありません。行政主導の除染も否定していません。また、たとえば、現在自治体がゼネコンに一括委託する方向に動いているように、ゼネコンの工程・作業管理力が一定の効果を挙げる可能性も認めてよいと思っています。可能性のある方法を多方面で模索すればよいのです。ただ、一方で、ボランティアには副次的な効果を含めボランティアの利点があり、これらを生かす道も同様に検討すべきだと考えています。いずれにせよ、様々なスキームでの除染が同時に展開され、可能な限り速やかに地域の被曝リスクが低減されることが理想だと思っています。<br />
<br />
5.住民と行政の連帯を促進する道を探して<br />
私が本稿を書くにあたって、もう一つ常に念頭に置いていたことがあります。それは三宅島の事例でした。同島では2000年の噴火によって全村避難となり、以後4年半にわたる避難生活が続きました。2005年に帰島が始まってからもう7年になろうとしていますが、島ではいまでもその後遺症に苦しんでいるといえます。つまり、住民と行政との間に深刻な相互不信があり、それが復興の妨げになっているということです。実際、村役場では避難当時を知る中堅がほとんどいません。辞めたからです。<br />
<br />
震災は、住民に対して大きな苦しみを与え、その訴えは行政に向かいます。ところが要求が大きすぎるために行政が対応できることには限界があります。その結果、住民は「行政は何もやってくれない」と不満を言い、行政担当者は「これほどやっても文句をいわれるとは」とがっかりします。この関係が長く続くと、住民と行政の関係は簡単に修復できないほど壊れてしまいます。それが、私が三宅島でみたものでした。<br />
<br />
福島で現在起きていることも構図は同じです。福島に力強く復興してもらうためには、住民と行政の関係を健全に保てるようにすることを含めて支援しなければなりません。住民を支援するという、市民運動的な立場に立つ人びとには、行政を敵だと思っている人があります。もちろん、行政には深刻な限界があり、そのことに苛立つ人があるのは当然です。とはいえ、行政は決して住民の敵ではありません。行政担当者は通常そのことを口にしませんが、彼らも被災者なのです。私は、福島の人びとを支援するということの中には、住民が行政と良好な連携を保てるようにするということも含まれているということについては良く認識される必要があると思います。猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-7513997316115106112012-01-27T12:30:00.000+09:002012-01-27T12:30:59.590+09:00原発震災に対する支援とは何か―福島第一原発事故から10ヶ月後の現状の整理以下の文章は、昨年7月以来細々と関わってきた原発震災に対する支援活動に関して自分なりに現状を整理しようとしたものです。公刊するかどうかを含めてずいぶん迷いましたが、ひとまずブログとして公開することにしました。私はこの問題にボランティアとして関わっている者ですので、万が一本稿に対して大きな反響があった場合でも充分にご対応できない可能性がありますが、その際はあしからずご了解頂ければ幸いです。なお、長文(2万字超)につき、pdf版でお読みいただくのもよいかと思います。<br />
<br />
---------<br />
原発震災に対する支援とは何か<br />
福島第一原発事故から10ヶ月後の現状の整理<br />
<br />
猪飼周平<br />
<br />
<a href="http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/12/genpatsu_shien.pdf">pdf版はこちら</a><br />
<br />
1.私の原発震災への関わり<br />
<br />
私はもともと福島には縁の薄い者であったが、いくつかの偶然が重なって、福島市の「ふるさと除染計画」の策定を非公式な立場から支援するようになった。その主な内容は、除染ボランティアの受け入れ態勢の整備の手伝いといったところである。この分野に何の専門性ももたない私としては、それは、専門家としてではなく、自分自身でドブさらいや草むしりするだけでも少しは役立つこともあるだろうくらいのつもりで始めたことであった。とはいえ、除染ボランティアはその是非を含めて大変センシティヴな問題を含んでおり、状況が変わればその意味合いが大きく変わってしまうような性格をもってもいた。このため、この問題に多少なりとも責任のある関わり方をしようとすれば、状況を追いかけてこの問題について勉強してゆかなければならなかった。そうこうしているうちに、この問題に多少深入りすることになったというのが私の身に起きたことであった。<br />
<br />
その意味では、この文章の著者の主要な属性は、有体にいえば、被災地福島の住民の代弁者としての資格をもたないヨソモノの1人であり、かつ原子力や放射線医学に関して専門性を持たないボランティアの1人ということになる。<br />
<br />
ただ、私自身は、医療・福祉領域に関わるところで、生活を支援することの意味を理解する、ということを自分の研究テーマの部分としてもってきた社会科学者であるということもあって、福島を中心とする原発震災に遭った人びとの生活をどのように支えることができるのかという観点から、この問題を見てきたということはある。とすれば、もしかすると、私のような社会科学者としての背景を持っている人間だからこそよく見えるということがあるかもしれず、その場合には、私から見えている震災の構図を伝える努力をすることに多少の意味はあるかもしれない。私がこの文章を素人ながらに書いたのはそういう理由からである。この文章をお読みの方には、この点を踏まえてお読みいただきたいと思う。<br />
<br />
<br />
2.汚染地域に暮らすか、離れるか<br />
<br />
福島第一原発の事故によって、放射能汚染地域の住民は、汚染地域で暮らすことを選択するか、離れるかの選択を強いられることとなった。2011年10月の統計をみるかぎり、住民票を移した人びとの割合は数%に留まっている。これは、最終的に福島に戻ることを諦めた人びとの数がまだ少数であるということにほぼ対応していると考えられる。また、県外に避難した避難者数は、概ね6万人弱程度とみられている。全体として避難者は15万人程度とみられていることから、県内に避難した人びとが比較的多かったことが想像されるが、今のところ、避難者数を把握することは難しく、正確なところはわかっていない。また状況は時間の経過とともに変化してゆくとも考えられる。だが、いずれの指標をみても、それらは、ひとまず放射能汚染地域の住民の大部分が、避難もせずに現地に住んでいるということを示している。<br />
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この結果は、東京をはじめとする域外の人々にとっては意外なものだったといえるだろう。というのも、大手メディア情報などをみても、好んで行われてきたキャンペーンは、たとえば福島市の渡利地区(同市で大波地区と並んで最も空間線量の高い地域の1つ)の住民は避難したいのに避難できず、「自治体に見殺し」にされようとしている、といったものだからである。だが、渡利小学校父母と教師の会によるアンケート調査は事態がもっと複層的であることを示している(注1) 。調査自体の技術的問題もあって含意を読み取りにくいが、少なくとも比較的積極的に現地に住み続けることを希望する人から、とりあえず住み続けようとしているひと、さらには避難を希望する人まで様々な人がそこに混在しており、積極的にせよ消極的にせよ多くの人びとは土地に留まることを選択しているということである。<br />
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このようなことは福島市だけで起こっているのではない。飯舘村は計画避難に対して最後まで抵抗したし、南相馬市では人口約7万人のうち6万人が一旦避難をしたと言われているが、その後順次人びとが戻ってきて、現在では5万人程度まで人口が回復しているとみられている。さらに、11月20日の大熊町長選では、帰還を訴えた現職が再選されている。<br />
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なぜ福島の人びとがかくも土地を離れないのか。この理由を知ることは、私たちが福島の人びとに対して何をなすべきかを理解する上できわめて重要なことだが、今のところはっきりしたことが言えるわけではない。ただし、それでもはっきりしていることはある。それは、被曝の危険という、土地を離れる強い動機づけにもかかわらず、多くの人びとがこれまで生活してきた地に依然としてしがみついているということであり、したがって、今次の原発震災へのアプローチは、このことを踏まえた上で行われなければならないということである。<br />
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私は福島を離れて避難や移住をした人びとが重要でないと言っているのでは決してない。にもかかわらず、私がここで福島に留まる人びとの存在を強調しているのは、特に、東京を始めとする域外で発言する人びとが、避難こそが「人道」に叶っていると考える傾向があるようにみえるからである。そもそも、今日の論争の構図である「避難か除染か」という2項対立自体、避難する人と留まる人が両方あるという前提を踏まえていない。そして、上のような避難論者は、少なくとも現状では少数派の選択肢に肩入れしている。とすれば、彼らは2重に実態を踏まえていないということになる。その意味では、私たちにとって、まず福島県の人びとが、「遊牧民」的な東京人よりははるかに「定住的」であるということを踏まえることが何より重要であるといえるだろう(注2) 。<br />
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3.福島において営まれている日常生活<br />
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福島の人々がその地にとどまることを選択していることについて、福島の現状を理解しない人びとの中には「メディアが安全を煽っているために住民が避難の必要性を認識できないでいるのではないか」と考える人が少なからずいるようだ。もちろん福島県の地元新聞である福島民報や福島民友などをみると、「風評被害とたたかおう」といった記事が多いのは事実である。だが、この見解が正しいと考える人は、たとえば福島市において日常みられる次の光景とこの見解が整合するかを考えてみる必要がある。1)福島県内でも福島県産の食品は回避されている。2)書店では放射能から身を守るためのハウツー本がベストセラーとなっている。3)街中で小学生以下の子どもをほとんどみかけない。<br />
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これらの事実は、福島県民が放射線に関するリテラシーが低いという認識は事実ではなく、一般の国民より高いレベルで、放射線に関する知識をもっているというのが事実であることを示唆している。とすれば、福島の人びとは、そこに住むことが怖くないからそこに住んでいるのではない。そこに住まねばならない理由があるからそこに住んでいるということになる。<br />
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その一方で、福島市では次のような光景も同時に目にする。4)街中を往来する人々の様子には普段と全く変わる所がない。たとえば福島駅前の繁華街を観察しているとわかるが、小学生がうろついていないということはあるものの、汚染地域外のJRの駅前の雰囲気と少しも変わるところがなく、他所から構えてやってきた人々にとっては拍子抜けするほどである。もちろん、この界隈の空間線量を測定すると1μSv/h近くある。<br />
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これらの一見矛盾する行為を同じ人々が行なっているという事実を整合的に解釈することは可能だろうか。私の理解では、これらの現象が一見矛盾しているように見えるというのは、一つの媒介項が欠けているためである。すなわち、福島の人々は日常生活を送っているという認識である。日常生活というのは、数日前に何をしたかが思い出せないほど淡々と、また多くの部分がルーチンとして行われる。いいかえれば、日常生活は、強い怖れの感情の対極にある態度で営まれるものなのである。<br />
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このように考えると、福島の人々がどのような課題をつきつけられているかがよくわかる。すなわち、放射線による健康リスクと隣り合わせの環境において日常生活を送るという課題である。このような状況に直面したとき人はどのように振る舞うだろうか。もちろん、自分の努力で避けられる危険についてはできる限りのことをする一方で、それ以外の危険については気にしないようにすることである。前者の行為も後者の行為も、自分の感情から強い恐怖心を排除するのに役立つという意味で、日常生活を円滑に実行するために役立つ行為である。<br />
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福島の人々が日常生活を送るという課題を解決することを基本原理として行動していると理解すれば、上のような一見矛盾するかにみえる行動を一人の人間がとることになんら矛盾がないということがわかるだろう。<br />
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地元メディアに、世論誘導がなかったとか、報道に誤りがなかったとか、そういうことを主張するつもりはない。だが、地元メディアの比較的「穏健」な報道姿勢は、福島に住む人々が日常生活を営むためには必要なものであることも確かなことなのである。地元メディアが住民の暮らしに直結する放射線に関する情報提供と、穏健な態度のバランスをとった記事を書くということには、一定の整合性があるのである。<br />
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4. 住民主体の支援<br />
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児玉龍彦氏は、原発震災に対する専門家の支援は、原則として住民主体でなければならないと主張している。この点はメディア的にはあまり注目もされていないが、実のところ、原発震災を考える上で最も重要な支援原則であるといえるだろう。それは、例外的な判断が必要になる場合は排除しないにせよ、基本的には汚染地域に住む人々が、自分たちの地域をどうするかを決め、専門家は基本的にはその決定を尊重する形で支援を行なってゆくことが支援の原則であるということである(注3) 。もうすこし具体的にいえば、住民の多くが、さまざまなやむを得ない事情を抱えながらも、その土地にとどまろうとしている以上、その土地に住み続けることによる健康被害のリスク、精神的負担、日常生活の困難に対してどのように支援することができるかが、課題の中心となるということである(注4) 。除染が重要となるのは、それが、現地に住み続けることによって生ずる複合的な問題に対して、有効な手段となりうるためである。<br />
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これに対し、あくまで避難をという主張の中には、現在の被曝状況を「人権侵害」という立場から非難し、避難を求めるというタイプの主張がある。このように主張する人びとは、現状が人権侵害状況なので、住民を強制的に避難させてよいという立場に立っている。いうまでもなく、この立場は基本的に住民主体の原則と両立しない。もちろん、被曝のリスクに対する評価によって、この状況が強制的な措置を必要とするか住民自身の判断に任されるべきか、言い換えれば「住民主体」と「人権の保護」のどちらが優越するかは変わってくるだろう。だが、ここで重要なことがある。それは、今や汚染地域の汚染状況や放射線被曝のリスクについて最もよくわかっているのは現地の人々だということである。これは、地方自治の基本認識でもある。とするなら、よほどのことがない限り、基本的には住民の判断に基づいて支援策が構築されるべきであるということになろう(注5) 。<br />
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また、避難や疎開を軽々に主張する人々は、避難や疎開が強いる負担を無視しているか軽視しているように思われる。避難や疎開には、それまで生きてきた環境から避難者、疎開者を切断するという側面がある。また、家族の一部が避難、疎開する場合には、家族が引き離されるということにもなる(注6) 。これらのコストを支払ってなお避難や疎開を強制できるのは、極めて限定された状況においてのみであるといえるだろう。国が1mSv/y以上の被曝を許す制度改変をしたことを強く非難する小出裕章氏も、住民が福島を離れるべきかどうかについては「私にはわからない」と述べてきたのは、まさに避難や疎開によって失うものが大きいと認識しているからである(注7) 。<br />
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5. 福島のリアリティ、東京のリアリティ<br />
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南相馬市の出身で、現在現地の除染活動に従事している原子力の専門家がいる。彼はいわゆる「原子力村」の一員とみなされている人物でもある。彼は、主に南相馬市の農家と連携して、農地と農家の自宅の除染を支援している。私が彼と面会した際、彼の次の発言に大変興味を惹かれた。すなわち「住民たちには、児玉先生と喧嘩しないでくれと言われている」という発言である。なぜこれが興味深いかといえば、南相馬と東京とではリアリティのあり方がまったく異なっているということを示唆しているからである。<br />
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東京では、除染をめぐる構図といえば、「原子力村」村民対これまでの原子力政策に責任を負っていない新たな専門家——児玉龍彦氏はその代表的存在であるが——ということになっている。メディアも市民もこの両者の闘争のどちらに軍配が上がるかを注視している状況であるといえよう。2012年1月から施行される放射線物質汚染対処特措法の第56条は、その闘争の最前線であるといえよう。<br />
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だが、現地に足を踏み入れると、福島では様々な立場の専門家が入り乱れて除染の支援をしているというのが実情であることが直ちに分かる。現地の人びとにとってみれば、自分たちの街、田畑、山林を安全にする手助けをしてくれる人であれば、それが「原子力村」の人間であろうが、そうでなかろうが関係ない。先に紹介した発言が示しているのは、福島の人びとが、このような構図でこの問題を認識しているということである。<br />
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実際のところ、東京では圧倒的な善玉とみられている児玉氏の南相馬市における評価は、東京におけるものと同じではない。児玉氏の基本的な狙いは、徹底的な除染=恒久除染を可能にする技術的条件、政治的条件を整えようとするところにあり、それはそれで重要なことだが、他方で、児玉氏は、南相馬に住む人びとの不安を緩和するための民地の緊急除染には関与していない。このため、同市の人びとは児玉氏に「来てくれるのはありがたいが、過剰な期待はしていない」という評価をしている。児玉氏に面会した際に、彼は民地除染に関与しない理由として「児玉研究室の能力を超えることはできない」と語った。私は、この態度は児玉氏の誠実さを示していると理解しているが、いずれにせよ重要なことは、児玉氏が南相馬を支援しているからといって、彼に任せておけば同地域の生活環境が順調に整えられてゆくということにはならないということである(注8) 。<br />
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他方、「原子力村」の専門家の中にもいろいろな人があるであろうが、多くの人は、すでに福島の土地を再生することができなければ、原子力開発を再出発させることはもはやできないということを理解しているようにみえる。少なくとも、私が出会った方はそのような人であった(注9) 。とすれば、彼らの失地挽回を目指すエネルギーと能力を、福島の再生のために使う(従来の体制を温存させることなく、という条件がつくが)ことは、決して無益ではない。<br />
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結局のところ、南相馬市の除染は、さまざまな立場の専門家が入り乱れて支援する現場となっており、南相馬の人びとの多くが現地で生きることを選択した以上、支援はそのようなものとならざるを得ないということなのである。むしろ、現地に住み続ける住民を支援する政策を考えるという立場に立つならば、東京において存在する対立を、福島において競争のエネルギーに変換させて両者を活用する途を求めることが基本線ということになるであろう(注10) 。これは、今次の原発震災の責任を誰がどのように取るべきかという問題と、いかにして効果的に除染を行うことができるかという問題が区別されなければならないということを示してもいる。<br />
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6.国の責任について<br />
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今回の原発震災の一義的責任は東電と国にある。そして東電が国策の産物であることを踏まえれば、責任は最終的に国にあるといわなければならない。問題は、原発震災の責任が国にあるということが何を意味しているかということである。<br />
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国は1mSv/y以上の地域については、除染の責任が国にあるということを認めている。とすれば、福島の人びとは、国やその「末端」としての基礎自治体が除染してくれるのを待っていればよいであろうか。個人的な見解としていえば、私は、このような判断はおそらく悪い結果をもたらすと思う。というのも、この国の責任の承認は、「空手形」になる可能性が高いからである。現在国が除染のための財源として確保しているのは1兆円あまりであるが、これは十分に線量を下げるために必要な費用(推計にもよるが40兆円以上という見積もりが多いようだ)からみるとあまりに少ない。では今後財源を確保できる見込みがあるかといえば、おそらくほとんどないだろう。また仮に最終的に財源が確保されるとしても、その確保に長い時間がかかるとすれば、その間に住民の総被曝量は増えてしまい、効果は薄れてしまう。<br />
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私の理解では、問題は2点である。1つは、国民が総じて福島の人びとの被曝に対して冷淡であるということである。財源が調達できないということは、結局のところ福島の人びとに対して十分な税金が投入されるということについて、国民的合意ができないということである。原発震災の責任が国にあるということは、国民全体が責任を負うということに他ならない。だが、このような意識は日本人には総じて希薄であり、自分とは関係のない「国」が悪いと思っているようにみえる。除染の責任を取るのも、自分ではない「国」であって、自分は関係ないと思っているようにみえる。そして、このような国民の態度は、結局のところ国が除染のための財源を確保することを不可能にしてしまう。<br />
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もう1つの問題は、現在の民主党政権に、福島の人びとに冷淡な態度を取る国民に責任を取ることを呼びかけるだけのリーダーシップが欠けているということである。国の取るべき立場は2正面的なものである。一方では、原発震災の責任者として福島の人びとに対して謝罪し、償いを約束しなければならないが、他方では、その究極的責任が国民にあるということを国民に納得させなければならない。残念ながら、そのような芸当をすることは非常に難しいことであるように思われる。<br />
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私は、細野原発相は、彼のもつ誠実さの限りを尽くしてこの問題に当たっていると思う。だが、究極的責任が国民にあるということを国民にわからせることができなければ、彼の被災地住民に対する約束の多くは、「やろうとしたけれどできませんでした」という形で反故にされ、最終的には、できもしない約束をしたことで、被災地がその約束を前提として振舞うようになる分だけ、現地に害をなす結果となるだろう。たとえば、人びとが「待ち」の姿勢を取ることで福島の人びとの総被曝量は増大することになる(注11) 。<br />
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原発震災の結果として、世論は脱原発の方向性を支持するようになっている。このことは、国民が原発震災について「反省」していることの証左であるといえるであろう。だが、それでもなお、日本人が考えるべきは、脱原発を実現しても、福島の地が放射能で汚染されたままであること、福島の人びとが日々被曝しつつあるということ、そして福島の人びとがそのことで大きな精神的苦痛を強いられていることのどれ1つとして解決されるわけではないということである。<br />
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私は、現在の政治状況を前提とすると、残念ながら国民に、福島の人びとを納得させられるレベルまで「元通り」にする責任を自覚させることは極めて難しいと思う。とすれば、問題を解決するには、結局のところ国民全般の態度を変えてゆくよりも、福島の地と人びとの抱える問題をなんとかしたいと考えている人びと(マジョリティではなくとも、たくさん存在する)が、どんどん問題解決に動いてしまうのが一番よいと思われる。市民社会的解決法といってもよい。<br />
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除染についていえば、汚染地をきれいにすることを望む住民・ボランティア・地元産業・自治体(可能であれば)が連携して除染を進めてしまい、費用を最後に損害賠償などの司法的手段を通じて、国につけ回すのも一策である。もちろん司法的手段を用いてもかかった費用を最終的に全額回収できる保証はない(特に日本の裁判所は「現実的」な判断を好む傾向があるため裁判で負ける可能性は低くない)。だが、仮に最終的に費用が回収できなくとも、福島の人びとの総被曝量を減少させ、放射能に伴う様々なリスクや苦痛を減少させるという成果を手にすることができるという利点だけは失われないといえるだろう(注12) 。<br />
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7.福島の人びとに対する支援とは 〜生活を支える支援に向けて<br />
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これまでの議論をまとめると次のようになる。まず、1)避難(移住)する人と現地に留まる人の両方が存在するということである。したがって、2)住民主体の原則に沿って考えれば、支援としては、住民自身が自分たちの未来を決めてゆくことを下支えてゆくことが基本ということになる。そして、3)そのような支援は、国の責任で行われるのを待っているわけにはゆかない、ということである。<br />
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では、住民の決定を支援するとはどういうことであろうか。私の考えは次の通りである。まず、福島の人びとは、放射能による健康被害のリスクと、避難・移住することで失われる生活のコストを天秤にかけている。避難(移住)を選択するか、現地に残留するかは、その結果に過ぎない。重要なことは、どちらの選択肢を重視するかにかかわらず、どちらの選択肢ともコストが大きければ、福島の人びとにとっては選択することが迫られること自体が、苦痛に満ちたものとなるということである。それは、自分の命と3億円の生命保険のどちらかを選ぶのと、今日の昼飯として炒飯とスパゲッティのどちらかを選ぶのとで全く意味が違うというのと同じことである。とすれば、私たちがなすべき支援の1つの方向は、この選択のジレンマの深刻さの度合いを小さくすることであろう。具体的には、一方では、移住者・避難者に対する生活再建の支援をしつつ、他方では、除染をはじめとして様々な手段によって現地における生活を整えてゆくことである。いずれにせよ、キーワードは「生活」である。<br />
<br />
【生存権保障を超える生活支援】<br />
ここで少し原理的な論点を考えておこう。まず、避難者・移住者の生活水準が、生存権が保障する最低限(ナショナルミニマム)でよいと考えてよいだろうか、という問題を考えよう。ナショナルミニマム支援の場合、支援上の問題は、かなりの程度生活保護を基礎とした社会保障制度にいかに避難者・移住者を繋いでゆくかという問題になる。日本の社会保障では居住保障が非常に弱いので、この点を特に追加して考えるという形で修正を加えてもよい。だが、いずれにせよ、ここで問題となるのは、現在避難や移住しようとしている人は、その多くがそのようなナショナルミニマムより高い水準の生活をしていた人びとであるということである。この人たちは、従前の生活に近いものを確保できなければ、潜在的な避難希望者のうち、実際に避難する人はかなり限定されてくるであろう。とすれば、避難者・移住者を支援する場合、ナショナルミニマムを超えた対応がいかにできるかということも考えなければならない。<br />
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他方、現地に残ることを支援するという場合、もともと多くの人びとはナショナルミニマム以上の生活をしているので、従来の社会保障的支援法では、彼らの生活を支えることにならない。つまり、避難・移住・残留のいずれにせよ、被災者の生活を支援するためには、生存権保障だけでなく、それを超えるレベルでの対応を最初から考えなければならないのである。<br />
<br />
このようにいずれの場合でも、ナショナルミニマムを超えた水準での支援が必要であるとするならば、そのような生活ニーズとは何かということを考えておく必要がある。生活ニーズには、一般に1つの構造的特徴がみられる。まず最低限必要なものというのはかなり客観性が高いということである。その最大の理由は、このレベルが生存の条件に関わっているからである。たとえば、衣食住が欠けてよいということにはならない。だが、それ以上の水準については、人によって生活に必要な要素が違うという意味で個別性が高くなってくるのである。たとえば、ある人にとってはペットの犬が一緒にいるということが生活にとって本質的な意味をもっているとしても、他人もそうだとは限らない。<br />
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以上を踏まえて、私の理解する避難者・移住者・残留者の生活ニーズを満たすための支援の基本方針を示すと、次のようになる。すなわち、1)最低限の生活水準の底が割れないように、まず社会保障制度への接続を支援する。2)最低限を超える生活ニーズに対する支援のためには、基本的には個別に相談に乗ってゆく機能(ケースワーク機能)を強化して当たらなければならない。その際、3)ケースワークを活性化するために必要なこととして、すべての人に同じ内容の支援をするという意味での「公平性」を追求することは放棄し、すべての人に各人に最良の支援を目指すという意味での公平性を追求しなければならない。<br />
<br />
このように考えると、支援のあり方は自ずと決まってくるように思う。まず生存権保障については、行政に徹底して担わせることである。避難者・移住者については受け入れ側自治体が、残留者については地元自治体がこれにあたる。だが、最低限以上の生活水準部分については、行政に多くを期待することは、現状ではできない。もとより、このレベルでの対応を行政は非常に苦手としている。特に上の3)が行政には難しい(もっとも、行政保健師は例外的にこのようなケースワークを得意とする職種なので、健康面に関することを中心に保健師には多くを担ってもらう必要がある)。とすれば、この部分については市民セクターが担うことが強く期待されることになる。市民セクターの観点からこれをまとめると、市民セクターが特にターゲットとすべきは、1)被災者を生存権保障に繋いでゆく役割、2)個別の生活課題(ニーズ)をケースワーク的に把握してソリューションを構築すること、ということになろう。<br />
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このように、私は、今回の原発震災に対する支援について、生存権保障を超える生活支援の問題という理解の仕方をしている。だが、同種の問題は、高齢者福祉や障害者福祉をはじめとする福祉領域には今日一般に存在している問題でもある。これに対し、原発震災に固有の支援に関する論点があるということも確かである。そこで、以下ではこの点について述べておきたい。 <br />
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【避難・移住支援】<br />
これまでどちらかといえば、現地に留まる住民に力点をおいて議論してきた(それは除染について言及する限りそうなってしまう)。だが、私は避難や移住という方法が原発震災に対する解決法でないということを主張するつもりはない。むしろ、避難・移住を積極的に勧めた方がよい場合があることは承知しているつもりである。ひとつは、子どもや妊婦のように放射線による健康被害のリスクが高い場合である。もうひとつは、被災者が被災者であることをやめることを希望する場合である。後者について簡単に説明しておくと、被災者は、新天地で新たな人生を始めることを決断することで、被災者であることをやめることができる。被災者として生き続けることの辛さが、被災者をやめることでなくなるのであれば、新たに人生を作りなおすことのコストを考えても釣り合うという考え方はありうるし、実際過去の災害に際して、そのようなケースは、人口の半分が帰島しなかった三宅島噴火のケースでも散見されたことである。<br />
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このような人びとに対する支援は、被曝環境での活動である必要はないので、一般的なボランティア活動の範囲でかなりのことができる。現在、草の根レベルで避難者・移住者を支援している団体が、全国レベルでの連携を進めつつあると聞いている。このような動きが加速することを期待したい。<br />
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なおその際、避難(移住)支援ということでいえば、現在汚染地自治体や国の姿勢を批判することが、議論としては正論であってもあまり効果的でない可能性が高いことについては踏まえられる必要がある。たとえば、福島市の渡利地区についていえば、特定避難勧奨地点指定をめぐって避難を希望する住民側と行政側が対立する構図となっている。もちろん福島市は避難を希望する住民に対しても可能な支援を尽くすべきであり、その一つの方法が特定避難勧奨地点の認定であるということはたしかである。現在福島市は、渡利地区について特定避難勧奨地点の認定を行わない方針で臨んでおり、したがって、同市は果たすべき仕事を行なっていないと批判されても仕方がない。だが、その一方で、同市が避難を推奨しない立場に立つのはある意味当然でもある。というのも、地域社会の維持・発展にとって人口の維持は最も基本的な要素であるからである。このとき、少数派にとって特定避難勧奨地点をめぐって闘争することは簡単ではない。また、向こう2年間で線量が60%程度にまで下がってくるとみられていることから、時間が経過するにつれ、特定避難勧奨地点をめぐる闘争は、避難者・避難支援者にとってますます不利になってゆくことが確実である。<br />
<br />
そして、より重要なことは、特定避難勧奨地点の認定は、重要ではあるけれども、避難や移住を希望する人びとを支えるために採りうる多様な手段の1つにすぎないということである。特定避難勧奨地点に指定されれば何がしかの当座の資金や、公営住宅への優先的入居の便宜が図られるといったメリットはある。だが、避難先・移住先で必要となるのはそれだけではない。仕事を見つけることができる見込みがなければ一家で移り住むことはできないし、地域社会とのつながりの再建、子供の教育に必要なケアなどさまざまなニーズの充足が必要となる。そして、これらの大部分は、避難先・移住先の自治体、地域社会、NPOの姿勢によって決まってくる問題なのである。その意味では、避難(移住)支援の主要なターゲットは、汚染地域ではなく、避難(移住先)の方に置かれることが必要なのである。すでに草の根レベルでは、全国的に避難(移住)者に対するケアが行われていると聞いているが、まだまだ態勢が整っているとはいえない。もし読者に域外から避難を主張する人々がおられたら、是非に要望したいことがある。それは、ご自分の地域においてどのような避難者支援が行われているか(いないか)を知り、どのようにすれば改善できるかを考え、実際に何らかの支援に参加していただきたいということである。<br />
<br />
【被災地に住み続けることへの支援】<br />
これに対して、現地に住み続けることに対する支援で、今次の震災にもっとも特殊かつ重要な支援は、いうまでもなく除染である。ただ、除染というのは、その作業自体が被曝環境で行われることもあって、その利益とリスクをつねに天秤にかける形で行われなければならない。しかも、専門家の間でも意見がわかれており、また日々新たな知識が加わってくるために、誰が、どこを、どの程度まで、どのような手段で除染すべきかについて、折々に再評価してゆくことがどうしても必要である。そのような認識を前提とした上で、次のように述べておきたいと思う。<br />
<br />
まず、多くの住民が現地にとどまっているという事実を踏まえ、彼らを住民主体の原則に基づいて支援するとすれば、我々の除染に関する知識がどうであれ、除染自体は必要だということである。<br />
<br />
もちろん、住民の総被曝量を引き下げることが必要であることが最大の理由である。被曝のリスクに対する見解は専門家によって分かれているとはいえ、線量が低いに越したことはない、という点ではすべての論者が一致しているし、とくに被曝による健康リスクの大きな子どもが、福島に住むことができないのであれば、福島の人びとにとって、生きてゆく場所が回復されたとはみなせないだろう。<br />
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だが、それだけではない。仮に福島の人びとの健康リスクが小さいという学説が今後有力になっていったとしても、依然として除染を進めておくべき理由は失われない。いいかえると、今後放射線のリスクに関する知識がどのように更新されようとも、除染をしておくことが必要になるということである。<br />
<br />
現在、冷静な実証調査によって、当初私たちが想像していたよりも住民の被曝量は少ないといった結果が報告されるようになってきており、放射線被曝による健康被害は意外と軽微である可能性もある。だが、それによって除染をしなくてよいということにはならない。というのも、そのような事実だけでは、住民の苦痛を軽減することはできないからである。このため、住民の精神的苦痛を取り除くためにも除染が行われる必要がある。山下俊一氏が懸念しているように、今次の原発震災において最も深刻なのは、住民の精神面への影響である可能性は高いだろう。だが、同氏が失敗したように、「安全」と言って回るだけでその影響を取り除くことはできないのである。専門家の言説そのものの価値が下がっているときに、このような発言はむしろ反発を招く可能性がある。だが、このようなときでも確実に効果があるのが、除染なのである。つまり、除染は、最終的に被曝の健康被害のリスクがどの程度のものであることが判明するとしても、現状では価値のある活動であるとみなすことができるのである。<br />
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8.除染ボランティアの可能性<br />
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最後に、私が多少なりとも関わりをもってきた除染ボランティアの問題について整理しておきたい。除染ボランティアについては、おおまかにいって次の3通りの批判がなされてきたといえる。すなわち、1)除染はそもそも無理なので避難すべきという主張、2)東電や国が除染すべきという主張、3)専門家・専門業者が除染すべきという主張である。以下ではこれらの主張にそれぞれ問題があることを示した上で、ボランティアを含む除染の効果的な進め方について私の考えを述べたいと思う。<br />
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まず、1)について。私は、除染そのものの是非に関していえば、事の本質ははっきりしていると思う。というのも、除染にいくらでも人的・物的資源を投入してもよいのであれば、現在の技術でも相当程度の除染が可能だからである(限界がないと言っているのではないが)。児玉研究室が実施した南相馬市における幼稚園・保育園での実証実験では、いずれも屋内で0.2μSv/h以下まで下げることに成功しており、さらに興味深いことに、同市の市民団体である安全安心プロジェクトの手がけた保育園除染でも同レベルの結果を得ていることである。これらの事実は、徹底した除染を行えば、住宅地・市街地から、相当程度放射性物質を取り除くことができるということを示している(注13) 。児玉氏が指摘するように、山内知也氏が「除染不可能」と結論付ける根拠となった渡利地区の除染実証実験は、線量が落ちない程度の不徹底な除染であったというのが正しい評価であろう。さらに、効率的除染ということについていえば、限界はあるにせよ技術革新の余地は多いにあるともいえる。したがって、「除染は不可能」という論者は、つねに、何時の時点において、どの程度の人的・物的資源の投入で除染が不可能と言っているのかを明示して主張しなければならない。少なくとも頭ごなしにチェルノブイリにおいて土地が放棄された事実からの連想のようなもので、除染不可能と決めつけることには大きな問題がある。<br />
<br />
次に2)について。今回の原発震災の一義的な責任が東電と国にあることは疑い得ない。その意味では除染の費用を工面する責任をこれらの主体は有している。その一方で、東電とか国が人間として実在しているとみなすことができないことには留意が必要である。というのも、十分な除染を行うには膨大なマンパワーが必要だが、これに対して、これらの主体に所属する人びとはあまりに少数だからである。とすれば結局のところ、東電や国が除染するとは、東電や国が雇った業者、労働者が除染するということを意味せざるを得ない。それは、直接今次の原発震災に責任のない人びとが、札束でひっぱたかれるようにして除染現場に連れてこられることである。とすれば、「除染は東電と国がやれ」という主張の正義は、それが誰によって主張されたかに依存することになるだろう。私はこれを被災地の人びとが主張しているのを頻繁に見聞きした。この場合、この主張は、「私はこれ以上被害を受けたくない」と言っていることを意味し、その限りでは多くの人びとにとって理解できる主張であるといえるだろう。これに対して、域外の人びとがこれを主張するとき、「私でない誰かが被曝環境で除染に従事してほしい。そのための人員を確保するためなら札束でひっぱたいてもかまわない」と言っているのと同じことになる。まさに「原発ジプシー」と同じ論理である。とくに域外から入ってくる労働者は形式的には「自発的」に現地に赴き作業に従事するということもできるが、他方で彼らの「自発性」は労働者の経済的な弱さによって歪められてもいるのである(注14) 。<br />
<br />
最後に3)について。これは主に児玉龍彦氏が主張していることでもある。同氏は、除染による2次被害の可能性を重視する観点から、住民やボランティアによる除染に対して否定的な立場をとっている。だが、この主張は、専門家が立ち会うにせよ、専門業者が行うにせよ、除染が最後は素人によって行われざるをえないことを看過しているといえる。たとえば、屋根の上の除染を行う際に、それを実施する者として想定されているのは鳶職であり、それが専門業者の専門性の意味なのである。とすれば、除染とは、どのような主体が行うにせよ、結局のところ、労働者、住民、ボランティアといういずれも素人のいずれかが行う作業ということになるのである。したがって、除染を行う素人の安全を確保する態勢を構築することができなければ、これらの間で2次被害の危険に違いはないと考えなければならない。児玉氏の主張は、専門業者が最も素人の安全を守ることができると言っていることになるが、これはおそらく事実ではないだろう。専門家の適切な助言と管理があれば、市民セクターによる除染は専門業者に安全面で劣るとはいえないからである。もちろん、このことは、市民セクターに対しても、除染が野放図な活動とならないよう、また専門家からの助言を適宜受けられるような態勢づくりが求められるということを意味してもいる。<br />
<br />
以上は、除染ボランティアへの批判があたらないということを議論したものであるが、では、除染ボランティアそれ自体にどのような積極的な意義を認めることはできるだろうか。<br />
<br />
まず、除染ボランティアの利点として、第1に、作業に際しての放射線被曝のリスクやその回避方法について十分な情報が与えられているということを前提とすれば、歪みの少ない自己決定(自発性)が可能であるということが挙げられる。この点は、札束でひっぱたかれて動員される労働者の場合と比べて、優れた特徴であるといえるだろう。<br />
<br />
第2に、ボランティアが被災地の住民を支援したいという意思を持っていることである。業務命令ではこのような意思をもつことは難しい。特に除染の場合、作業に際して試行錯誤が必要になることが多い。思ったより線量が下がらなかったり、放射性物質が溜まっている場所がうまく見つからなかったりといったことが常時起きる。このとき、命令された作業だけをこなす労働者では効果を上げることができない。このような問題は、域外の労働者を動員するときに特に起きると考えられる(すでにそのような事例は指摘されている)。ボランティアの場合、住民の支援として作業に入るのでこのような問題は起こりにくいといえる。<br />
<br />
第3に、ボランティアにはコミュニケーターとしての側面があることである。ボランティアは単に労役を提供しにやってくるというよりも、ボランティアを通じて何かを学び感じ取りたいという期待をもってやってくる。域外の人がボランティアとして福島に入れば、まさに百聞は一見に如かずで、福島の人びとが直面している困難をつぶさに理解することになるだろう。また、国民一般と福島の人びととの間の認識の乖離についても感得するだろう。そして、彼らの中から自分が学び感じ取ったことを人に伝える人が現れるだろう。すでに述べたように、原発震災に関する問題の根底には、国民の福島の人びとに対する冷淡な態度がある。この態度は、あらゆる部面で福島の人びとが問題を解決し、福島を復興させてゆくことを困難にする。このことを知り、国民一般のこのような態度に影響を与える人びとが、このようなボランティアから現れることが期待できる。<br />
<br />
第4に、ボランティアには行政の限界を超える力があるということである。現在、除染は主に基礎自治体主導で行われようとしている。その特徴は、1)行政による計画、2)業者から主要なマンパワーを調達、3)ボランティアへの統制がある。除染を計画している自治体の多くは、除染作業を線量の高い順番にやろうとしている。おそらく行政にはこれ以外の公平性の基準を見つけることができないためにそうなるのであろうが、これでは、除染問題の複層的な性格に対応できない。というのも、住民の放射線被曝に関する苦痛は、線量順とは限らないからである。子供を持つ親、精神的ストレスに弱い人、健康面で不安のある人など、個別に対応すべきケースはいくらでもあり、これは線量順の除染では対応できない。<br />
<br />
また、行政主導の除染は作業ペースが大変遅い。そもそも計画的に除染を実施しようとすること自体、効率的な除染という考えに反している。加えて、マンパワーの調達が業者に偏っているために十分な除染力を確保できないという問題もある。今次の震災は東北各県にまたがっているために、土建業者の需給は逼迫しており、十分な労働力を確保することは容易ではない。そしてこのような条件に合わせる形でボランティアを動員しようとしたために、現在のところ自治体は除染ボランティアの潜在力を十分活用できていない。結果、除染の作業ペースは大変遅くなってしまっているのである。たとえば、南相馬市では原町地区のような市内では比較的線量の低い地域の除染は2012年7月以降ということになっているし、福島市では、まだ10月末から12月までの間にわずか数10軒の除染しかできていない。このままだと、自分の順番まで待つことに耐えられない住民が多く出ることが予想される。<br />
<br />
これに対し、ボランティアがボランティア主導で除染を進めることで、行政主導の除染にみられる上のような欠点をかなりの程度補うことができる。というのも、ボランティアは自分が支援したい人や地域を実力の範囲で支援する存在なので、結果的に困っている順番に支援することが可能になるからである。またボランティア主導で除染を進めることができれば、最大限のマンパワーを調達することができるという点で、作業を加速させることができる。<br />
<br />
では、ボランティア主導の除染体制とはどのようなものだと考えればよいであろうか。私の考えでは、次の5点がポイントである。すなわち、第1に、ボランティアを含め住民支援という目標を共有できる、住民自身、ボランティア、地元業者、専門家、できれば行政からなる連携を構築すること、第2に、放射線被曝に関する十分な情報がボランティアに提供されること、第3に、困っている順番に除染することで、行政による除染と補完関係に入ること、第4に、そのために、個人の除染ニーズに関する情報(行政保健師が相談を通じて収集しつつある)を、行政と市民セクターで共有できる体制を構築すること、第5に、除染を行う人びとの被曝を最小限に抑える可能な限りの措置を講ずること、である。<br />
<br />
なお、最後に除染ボランティアに関して、一点解決すべき深刻な問題があることについては言及しておかなければならないだろう。それは、国が1mSv/y以上の地域の除染について責任を認めている点と関わっている。現状では、ボランティアが除染をすると国の除染費用の軽減に役立つという構造になっている。だが、ボランティアは被災地の住民を支援したいのであって、原発事故に一義的な責任を負う国を支援したいのではない。現在の状況は、ボランティアが除染に関わることを抑制する状況となっているのである。したがって、除染ボランティアの十分な活用に際しては、彼らの活動と国の責任とが切り離されるような条件整備が必要となるだろう。たとえば、除染ボランティアの費用が最終的に国に請求され、国からの支払いが住民に還元されるような枠組みができれば、この問題は解決されることになる。このような法技術的な問題に詳しい人にはぜひこの問題の解決策を提案していただきたいと思う。<br />
<br />
<br />
9. まとめ<br />
<br />
以上の議論を簡略にまとめると以下の6点になるであろう。<br />
1. 避難・移住する人びとと現地にとどまる人びとの両方が存在することを前提として支援手段を考えるべきである。<br />
2. 支援に際しては、住民主体の原則を踏まえるべきである。<br />
3. 国民の冷淡な態度が背景にある以上、国に責任ある行動を取らせることが容易でないということを踏まえておくべきである。<br />
4. 支援の目標として、現状では、被曝による健康リスクと避難・移住によって生活を失うコストとの間のジレンマを軽減することに置くのが望ましい。<br />
5. 被災者の生活ニーズの充足のためには、社会保障制度への接続と個別性の高い必要性に対応できるケースワークを両輪で実施しなければならない。保健師などのケースワーク職種に関する体制整備が行政に求められる一方、市民セクターによる機動的なケースワークが大いに期待される。願わくば、行政と市民セクターの密接な連携の実現を期待したい。<br />
6. 現在の行政主導の除染には深刻な限界がある。住民、ボランティア、地元業者、専門家、行政の連携による柔軟な除染体制が作られることが必要である。<br />
<br />
本稿では、原発震災に対する支援について、私の認識を縷々述べてきた。私からみえる原発震災の姿が、この問題に関心をもつ人びとにとって何らかの役に立つことになれば幸いである。<br />
<br />
注1<br />
渡利小学校父母と教師の会「「放射能問題でのアンケート」の結果について」(2011年11月21日)<br />
<br />
注2<br />
この文章の草稿段階で、福島の人びとの定住性は見かけ上のもので、たとえば震災前の地価での土地買い上げなどを実施すれば皆福島を出ることに同意するのではないか、という趣旨のコメントを頂いた。もし許されるのであれば「実験」してみるとよいと思うが、私は、このような見解は、そもそも人びとが地理的広がりの中で生きる存在であるということを看過していると思っている。というのも、正価で土地を買い上げるくらいでいなくなるような人びとなら、震災前にいなくなっていてもおかしくないからである。実際、日本の近代史は、人びとが故郷を離れ東京などの大都市に流入する歴史でもあり、その裏返しで地方の農山漁村は過疎化の歴史を歩んできた。だが、それでも農村漁村は無人になったのではない。残った(残らざるを得なかった)人びとと、そのような人びとによって構成された社会がそこに残ったのである。福島から避難を推奨する論者は、自身が避難を薦めている相手がこのような人びとを含んでいることを踏まえるべきであろう。<br />
<br />
注3<br />
もっとも、どのような意見が住民の意思を反映したもの、あるいは住民の利益に叶っているかを判断することは、必ずしも容易ではない。たとえば自治体は人口の維持に利益があることから、避難・移住希望者よりも残留者の意向を優先する傾向があるといえる。その意味では自治体を住民の利益の代表として理解することには限界がある。<br />
<br />
注4<br />
他方で、土地を離れるという決断をした人々に対しては、そこで喪われる仕事や人とのつながりを含む、本人を支えてきた様々な生活上の諸要素を取り戻せるように支援するということが課題となるということである。<br />
<br />
注5<br />
現地に留まることを自身で決定する以上は、自己責任の原則を適用すべきだという議論がある。これは商取引などにおいて適用される原則ではあるが、これは自由権が行使される局面に限られるといえる。逆に、社会権を適用する局面においては、自己決定が自己責任を伴う必然性はない。<br />
<br />
注6<br />
三宅島噴火(2000年)に伴う全島避難に際して、旧秋川高校施設を利用する形で全島の小中高校生が寮住まいするという事実上の「疎開」措置が取られた。その結果は惨憺たるもので、特に小学生については、2000年9月の時点で138名在籍していたが、体調を崩したり、親を恋しがったりする児童が続出するなどして、順次保護者に引き取られていった結果2002年3月までに在校生が0名になった(『三宅島噴火災害の記録』本編pp. 38-42)。私の取材に対しても、三宅島の行政・学校関係者ともに疎開はすべきでなかったと証言している。疎開を主張する論者は、「戦時疎開が可能だったのだから今回も可能だ」というような乱暴な議論から脱して、現代において疎開が可能となる条件について深く検討すべきである。なお、そもそも戦時疎開が「うまくいった」ということ自体十分立証されていないことにも注意が必要である。参照:http://www.miyakemura.com/kiroku/index.html<br />
<br />
注7<br />
ただし小出氏の場合最近の発言には、「本来避難させるべき」というもう少し踏み込んだ表現がみられるようになってきている。<br />
<br />
注8<br />
加えて、児玉氏は市民自身による民地除染に否定的な立場なので、結局のところ同氏の立場は、緊急除染に必要なマンパワーは存在しないので、産業主導の除染を進めて恒久的な除染が実現するまで市外に避難しているべき、というものなのである。この立場は、多くの市民が南相馬に戻ってきている現状を前提とすれば、先に紹介した同氏の提唱する「住民主体」の原則と整合しない。<br />
<br />
注9<br />
この点については、「原子力村」の大物とみなされている山名元氏ですら「年間20ミリシーベルトという目安を提示した際に「最終的には除染などの対策を行い、年間1ミリシーベルトの平時の目標を目指す」という言葉を添えるべきだった」(『放射能の真実』日本電気協会新聞部、2011年, p. 141)と述べている。<br />
<br />
注10<br />
児玉氏が私に説明してくれたところでは、原子力機構のような組織では十分に除染の成果を上げることができないという。とすれば、児玉研と原子力機構のどちらが大きな成果を上げることができるか、イコールフッティングの条件を整えて競争してもらうのが一番よいであろう。もちろん、そのようなイコールフッティングを実現することは事実上不可能なので、現実的解決策として、原子力機構に代表される「原子力村」の人びとに「退場」してもらわなければならないという議論はありうる。<br />
<br />
注11<br />
代わりに次の政策がより全面に出てくることになろう。すなわち、一方で今次の原発震災の責任を認めつつも、原発震災の健康被害は実は小さい(責任は小さい)ということを主張することで、責任の大きさと利用可能な資源の少なさとのギャップを埋めようとする政策である。だが、この政策は政治全般に対する不信を増幅させてしまう。福島県立医大の山下俊一氏は、彼の強い信念に基づき、また医学界の中心学説を主張しているだけであるにもかかわらず、被害を小さくみせることで利益を得る国を代弁する「御用」学者であると思われたことで、ほとんど「犯罪者」のような評価を受ける羽目となった。<br />
<br />
注12<br />
一般に、責任と効率は対立する場合がありうる。責任という観点からいえば、東電と国に除染費用全額を支弁させる必要があるということになるが、効率という点からいえば抵抗する相手に責任を取らせている時間があればまずは除染を進めてしまった方が被曝量を低減できる。たとえば、除染費用の実費の半額の支払いを約束させる代わりに賠償を放棄するという取り決めを住民と東電との間で結んだ場合、東電は一定の責任を免れ、他方住民はより迅速な除染の成果を手にすることになる。このような「解決」法は、功利主義的観点からは支持されうる一方で、道義的には理解を得られにくいかもしれない。<br />
<br />
注13<br />
住宅・市街地、田畑、山林では除染に求められるものも実施条件も大きく異なっているので一律に議論することができない。ここでは、ひとまず住み続けることを決めた人々への支援という意味での除染に限定して議論しているので、主に市街地・住宅を念頭に置いている。だが、農家を支援する場合は、田畑の除染を含めて考えなければならない。<br />
<br />
注14<br />
もちろん、私は雇用労働ベースでの除染が一般に有効でないといっているのではない。有効でないのは、線量の低減という目標によって動機づけられていない労働である。その意味では、ボランティアを有給にしてもよいし、地元住民の除染活動に賃金を支払う形がとられても構わない。ただし、ここで重要なのは、除染は労働としては典型的な3K労働であることから、もともと現地の線量を下げたいと願う労働者=基本的には地元の人びとを雇用するのでない限り、労務管理は難しくなるだろうということである。猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com3tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-13204099265740921052012-01-16T21:26:00.002+09:002012-01-18T00:05:02.969+09:00地域包括ケアの先駆者から学ぶべきことについて昨年12月1-2日にかけて、高知市保健所長堀川俊一さんにインタヴューする機会に恵まれました。これは、昨年2月に掲載された松田晋哉さんと私との対談企画の積み残しでもありました。というのは、当初、堀川、松田、私の鼎談が企画されていたためです。結局日程の関係で実現できなかった部分を、医学書院の編集者が覚えていて(?)、再度企画を持ちかけてくださったことで今回の企画が実現しました。<br />
<br />
堀川さんは、全国的にも有名になっている「いきいき百歳体操」の発案者です。この体操は、従来から存在する幾多の健康体操とは一線を画する浸透力に、多くの研究者・行政担当者が注目しているものです。中でも重要なのが、この体操の普及のメソッドが、保健師が伝承してきたノウハウを上手に活かしている点でした。私は、堀川さんから、この「いきいき百歳体操」の有効性だけでなく、地域保健(公衆衛生)が効果を挙げる条件や、保健師に期待される役割について、これまで多くを学んできました。<br />
<br />
そして今回、直接長時間にわたるインタヴューをさせて頂く機会を得ることができたので、いかにして堀川さんが、地域保健、地域包括ケアの先駆者としての公衆衛生医となられたのかについても、直接伺うことができました。<br />
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詳しくは『医学界新聞』(2012年1月30日号, 医学書院)でご覧頂ければと思います。いきいき百歳体操に関する記事と、堀川さんへのロングインタヴューを読むことができます。<br />
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医学界新聞サイトでも全文お読みいただけます<br />
<a href="http://www.igaku-shoin.co.jp/paperTop.do">http://www.igaku-shoin.co.jp/paperTop.do</a><br />
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以下は、インタヴューにつけた私の解説(?)文の原稿です。<br />
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ヘルスケアの世界では、現在「地域包括ケア」の構築が大きなテーマとなっているが、それは今日突如として現れてきているものではない。メインストリームとはいえなかったかもしれないが、戦後だけみても地域包括ケアに連なるさまざまな実践を見出すことができる。おそらく、佐久総合、諏訪中央、柳原、御調などはその代表的な存在であろう。だがこれら以外にも、ことさらにそれと主張することなく、営々と地域的で包括的なケアを追求してきた医療者も少なくない。堀川さんもその1人といえるだろう。<br />
<br />
これらの人々には1つの共通点があるように思う。それは、治療医学の権威を「絶対のもの」として受け止めずにいられる条件に恵まれていた(今日的観点からみればということだが)ということである。地域ケアや包括ケアという考え方は、治療医学それ自体からは出てこない考え方である。ところが、彼らが医療現場に入った当時は、医療の中心部は、依然として治療医学の圧倒的な権威下にあった。このような状況において、医療の権威から離れるためには、医療者は医学のさらに上位の実践原理をもたなければならなかった。その意味では、今日地域包括ケアの先駆とみなされている人々が、左翼思想の洗礼を受けていることが多いのは偶然ではないだろう。というのも、これらの人々は、人々の中に分け入ってゆこうとする「ヴ・ナロード」思想に代表される民衆共感的思想を背景に、治療医学的権威・大学的権威から結果的に離れることができたからである。堀川さんも、このような思想に支えられる形で今日の医療の先駆となった1人であるといえるかもしれない。<br />
<br />
さて、上のインタヴューや堀川さんのキャリアから、私たちは何を受け取ることができるだろうか。私個人の見方ということで、以下2点指摘させていただきたいと思う。<br />
<br />
第1に、堀川さんを含む先駆者たちは地域包括ケアの原則を見つけそれに基づいて実践してきた人々だということである。今日の「地域包括ケア」論議は、厚労省が提示してきている「ケアモデル」をどのように導入するかといった形で進められている。その結果、「地域包括ケア」とは、提案されている「ケアモデル」事業を実施することであるという表層的な理解が広がっているようにみえる。だが、地域包括ケアの核心は事業にはない。地域ごとに異なる住民の抱える健康課題、ケア資源のあり方、住民の指向、経済力などによって事業のやり方は多様であるはずで、地域包括ケアとは地域ごとにケアのあり方を構築するところに本義があるはずだからである。<br />
<br />
その意味では、私は今日提案されている「ケアモデル」よりも、堀川さんのような先達が依拠した原則を学ぶことの方が、地域包括ケアの構築という課題に取り組む際の利益は大きいと考えている。では、原則とは何か。それは、地域包括ケアとは、医学を地域住民に適用しようとすることではなく、地域住民のために医学その他の支援技法をどのように使うことができるかを考えること、ということである。このような思考は「生活モデル」的思考と言い換えることができる。彼らが地域包括ケアの先駆にみえるのは、そのような思考によるケアを実践した必然的結果として、彼らの創り上げたケアが、地域的で包括的な内容をもったためである。つまり、「ケアモデル」とは原則に基づく実践が生みだした結果に過ぎない。<br />
<br />
第2に、第1の系論ともいえる点であるが、堀川さんのインタヴューは、保健とは何かについて重要な論点を提出していると思う。それは、保健事業の集合体が保健なのか、保健事業を利用して住民の健康を支えるのが保健なのか、という問題である。<br />
<br />
今日保健は膨大な事業を抱える領域となってきている。深刻なのは、その結果、厚労省から下達されたものの地域の実情に合わない事業によって、効果的な保健活動がクラウドアウトされて(締め出されて)しまう可能性があるということである。この問題の根本にあるのは、もちろん、地域保健を中央集権的に企画することにあるが、他方で、自治体の側が厚労省の通達などを「真に受けて」そのままやろうとすることにも原因がある。この点、堀川さんは、高知市の保健師から「戦略家」と称されているように、地域保健を効果的に実施するために、厚労省から下達された事業を活用しながらも、効果的な地域保健を実現する上で効果的な選択と集中に基づく方策を立案している。堀川さんの仕事が示しているのは、保健事業特に国から与えられた事業は従うものではなく利用するものであるということ、そしてそのような戦略立案拠点が地域ごとに必要であるということであるといえるのではないか。猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-72358969242677469042012-01-12T14:38:00.000+09:002012-01-12T14:38:55.822+09:00地域社会研究会(2011年度第5回)のおしらせ地域社会研究会(2011年度第5回)のおしらせです。<br />
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地域社会研究会第5回を1月18日(水)に開催いたします。今回は、本年7月に予定され、当日台風の影響で延期されていた訪問看護師秋山正子をお招きしての特別講演+意見交換会を、改めて開催するものです。第1部では秋山さんの講演、第2部ではより小規模で実質的な議論を行います。<br />
<br />
秋山さんは訪問看護に長く携わり、「市ヶ谷のマザーテレサ」と評され多くの患者・医療関係者の尊敬を集めてきました。また昨年7月にはナーシングを中核とする医療連携拠点として戸山ハイツに「暮らしの保健室」を開設し、新たな試みを精力的に行ってもおられます。訪問看護の現状についてはもとより、最期まで自宅で過ごすこと、それを支援することの意味について議論を深めてゆければと思います(申し込み不要)。<br />
<br />
【地域社会研究会第5回】<br />
ゲスト: 秋山正子氏(株式会社ケアーズ白十字訪問看護ステーション代表取締役、所長、訪問看護師)<br />
テーマ: 訪問看護の現状と在宅の可能性について<br />
日時・場所:1月18日(水)<br />
第1部 14:40-16:10(一橋大学国立キャンパス(西キャンパス)301教室)・・・ゲスト講演+質疑応答<br />
第2部 16:30-18:30(一橋大学国立キャンパス(東キャンパス)マーキュリータワー3406室)・・・ゲストを囲んでの討議<br />
(懇親会あり)猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-53559008967436562382012-01-08T22:35:00.000+09:002012-01-08T22:35:41.877+09:00奇特にも私に師事することを希望される留学生の方々へ最近、私を指導教員として希望する外国人学生がボツボツといらっしゃいます。そこで、学生さんと私の両方の便宜のために、この際、私に問い合わせる前にご検討いただきたい項目についてまとめておきました。<br />
<br />
1)研究テーマが合致するか<br />
私の研究室では、大括りに言えば、保健、医療、福祉サービスの供給制度の分析を通じて、健康や生活を支援することの意義を理解するということを基本的アプローチとしています。もちろんそれからはみ出した研究を禁止していませんが、私がアドバイスできる範囲からはなれてゆくことになります。たとえば、医療保険の研究を中心とする社会保障論、医療経済学は私の専門ではありません。あなたの研究テーマに私の専門やゼミの方向性が合致しますか。<br />
<br />
2)日本の研究をする気があるか<br />
私は、日本に留学して研究する場合、一般に日本をフィールドに研究することが最も効果的であると考えています。ご自身の出身国と日本の比較的視点を大切にしつつも、主要なフィールドについては日本に定めるという考えに賛同できますか。<br />
<br />
3)知識習得ではなく研究をする気があるか<br />
とくにアジア圏からの留学希望者の方に多いのですが、日本の進んだ社会保障制度を学んで母国に持ち帰りたいという希望のある人がいます。このような方は私を師事するのに向いていません。というのも、私は、知識を伝授する教育をゼミや個人指導において実施していないからです。私が行なっているのは、物事を研究者として考える方法について、折々にアドバイスすることです。このような指導に賛同できますか。<br />
<br />
4)研究テーマを自分で開拓する気があるか<br />
私は、基本的に大学院生に研究テーマを指示しません。良い研究テーマを見つけることこそが研究の本質であると考えるからです。このような私の考えに賛同できますか。<br />
<br />
5)修士2年間は研究するには大変短いということを分かっているか<br />
修士論文は、完成された研究成果ではありません(公刊されないことがその証拠)。ひとまとまりの研究をするには博士課程に進まなければならないし、修士号のみで大学を離れる場合には、この中途半端さを受け入れなければいけません。この点は理解していますか。<br />
<br />
6)資格要件を満たしているか<br />
一橋大学の大学院、研究生制度があなたの希望に合致しているかどうか確認して下さい。<br />
院試:<br />
<a href="http://www.soc.hit-u.ac.jp/admission/gs/f-admission.html">http://www.soc.hit-u.ac.jp/admission/gs/f-admission.html</a><br />
研究生:<br />
<a href="http://www.hit-u.ac.jp/ryugaku/foreigners/scholars.html">http://www.hit-u.ac.jp/ryugaku/foreigners/scholars.html</a><br />
<br />
7)私の研究の評価<br />
大学院進学に際しては先生選びが非常に大切になります。私の研究室を志望するに先立って私の研究についてよく検討して下さい。何本かダウンロードできる文章を紹介しておきます。なお、私の研究についての考えについてはブログに掲載しているのでこちらも参照してください。<br />
<br />
猪飼周平「海図なき医療政策の終焉」『現代思想』2010年3月号<br />
<a href="http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/general/ikai10.pdf">http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/general/ikai10.pdf</a><br />
<br />
猪飼周平「病院の世紀の理論から地域包括ケアの社会理論へ」『書斎の窓』(有斐閣)2010年9月号草稿<br />
<a href="http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/10/shosai_no_mado.pdf">http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/10/shosai_no_mado.pdf</a><br />
<br />
猪飼周平『病院の世紀の理論』有斐閣2010年<br />
<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4641173591">http://www.amazon.co.jp/dp/4641173591</a><br />
<br />
猪飼周平「ヘルスケアの歴史転換と助産師」『助産雑誌』2010年10月号<br />
<a href="http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/10/ikai_josan2010.pdf">http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/10/ikai_josan2010.pdf</a><br />
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猪飼周平「地域包括ケアの社会理論への課題 -健康概念の転換期におけるヘルスケア政策」『社会政策』第2巻第3号2011<br />
<a href="http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/11/ikai11a.pdf">http://ikai.soc.hit-u.ac.jp/11/ikai11a.pdf</a>猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-46287758289547607582012-01-05T15:12:00.000+09:002012-01-05T15:12:22.929+09:00新年あけましておめでとうございます新年あけましておめでとうございます。<br />
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すっかりハガキで年賀状のやり取りをする機会が減りました。元旦だけで19億通もの配達があったというニュースに驚きを禁じえません。たとえば、私は本年学生から年賀状を一通も受け取っていません(くれという意味ではありませんので念のため)。<br />
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そうはいっても、何もしないというと少し居心地の悪い感じがしてしまうので、なんとなく代償行為にしがみつくようにして下のようなものを作ってみました。<br />
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本ブログをご覧の数少ない皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。<br />
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<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEj2MwDAABNstIZK7xP1TKbLEf8YSUdWtrR_mxinKNhfbkhBtz2NI5zK5W2wMKxBWeap8YvMD83E2zbVD2AgRFPY_CKeMv6SMCi-cBtYoykq_sFKkFc3Qs-kv678SSdc2_W_AdeTNkAqtx8/s1600/gajo2012.jpg" imageanchor="1" style="margin-left:1em; margin-right:1em"><img border="0" height="400" width="306" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEj2MwDAABNstIZK7xP1TKbLEf8YSUdWtrR_mxinKNhfbkhBtz2NI5zK5W2wMKxBWeap8YvMD83E2zbVD2AgRFPY_CKeMv6SMCi-cBtYoykq_sFKkFc3Qs-kv678SSdc2_W_AdeTNkAqtx8/s400/gajo2012.jpg" /></a></div><br />
なお、実は昨年末(12月25日)に刊行された「新春対談」として、『訪問看護と介護』(2012年1月号、医学書院)上にて、在宅医の草分けの1人太田秀樹さんとの対談が掲載されました。タイトルは、「病院の世紀」から「地域包括ケア」の時代へ 今まさに起こっている“変革”を裏付ける理論と実践」です。<br />
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編集部からは、新春らしい華やかな展望についての議論を、という希望が出ていましたが、当然そういうことにはならず、いつものような抽象度の高い暑苦しい議論となってしまいました。2時間に渡ってあっちゃこっちゃ寄り道しながらの対談だったにもかかわらず、綺麗な形でゲラが上がってきたことにはびっくりしました。編集部の杉本さんには感謝申し上げます。<br />
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『訪問看護と介護』2012年1月号<br />
<a href="http://www.igaku-shoin.co.jp/journalDetail.do?journal=34911">http://www.igaku-shoin.co.jp/journalDetail.do?journal=34911</a>猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7243582871735986682.post-15530208306310857972011-12-13T08:49:00.004+09:002012-01-12T14:29:45.148+09:00地域社会研究会(2011年度第4回)のお知らせ地域社会研究会第4回を12月21日(水)に開催いたします。今回は、自殺対策支援センターライフリンク代表の清水康之さんをお招きして、講演+意見交換会という2部構成で実施します。第1部では、清水康之さんによる講演、第2部では少人数で実質的な議論を行います。<br />
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ライフリンクは、独自のデータベースを元に、自殺を表面的な現象として捉えるのではなく、そこへいたる道程を解明することで、より総合的な自殺対策を実施することを目指している団体として、以前より注目していました。この度は、代表の清水さんをお迎えして、自殺という現象の捉え方、自殺対策の現状、震災の自殺に対するインパクトなどについて考えてゆきたいと思います。第1部、第2部のみのご参加も可能です(申し込み不要)。<br />
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【地域社会研究会第4回】<br />
ゲスト: 清水康之氏(特定非営利活動法人 自殺対策支援センター ライフリンク代表)<br />
日時・場所:12月21 日(水)<br />
第1部 14:40-16:10(一橋大学国立キャンパス(西キャンパス)304教室)・・・ゲスト講演+質疑応答<br />
講義タイトル:「自殺のない「生き心地のよい社会」へ」<br />
第2部 16:20-17:30(一橋大学国立キャンパス(西キャンパス)209教室・・・ゲストを囲んでの討議<br />
(今回は懇親会はありません)<br />
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【展示】<br />
講義とあわせて自死遺族に関するパネル展示を行います。ご覧いただければ幸いです。<br />
日時:12月19日(月)-21日(水)<br />
場所:本館1階ロビー<br />
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ライフリンクウェブサイト<br />
<a href="http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html">http://www.lifelink.or.jp/hp/top.htm</a>l<br />
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清水康之氏プロフィール<br />
<a href="http://www.lifelink.or.jp/hp/chief.html">http://www.lifelink.or.jp/hp/chief.html</a>猪飼周平(IKAI, Shuhei)http://www.blogger.com/profile/18115877662803168560noreply@blogger.com0