2010年8月30日月曜日

長春での経験

8月15日から29日まで、公用で中国の長春に行っていました。

この期間、中国政府による閲覧規制のためGoogle Bloggerにアクセスすることができませんでした。帰国してアクセスしてみますと、コメントを頂いていたり、読者になって下さっている方があったりと、有り難くも細々ブログには似付かわしからぬ動きがあってびっくりしました。

中国赴日本国留学生予備教育事業という、日中政府が共催する、日本への留学を目指す中国人学生の予備教育プログラムがあります。毎年100名程度の学生を選抜して(2009年度は博士号取得を目指す中国人修士修了者が助成対象)、長春の東北師範大学のキャンパス内にある予備学校で1年間日本語の特訓を施した上、日本各地の大学院に送り込むというもので、私もなぜかこのプログラムに駆り出されていました。私の仕事は、日本の大学での博士号取得を目指す中国人修士修了者に、アカデミックな文章の書き方やプレゼンテーションの仕方を教えることでした。

2週間という短い期間でしたが、明日の中国を担う若者たちと交流を持てたことは、結果的に私にとって大変貴重な経験となりました。彼らが大きな希望を抱いて留学に望もうとしていることに大変感銘を受けるとともに、彼らがどのような大学・大学院教育の下で留学を準備しているのか、彼らがどのようなリスクを背負って日本語の勉強をしているのか、彼らがいかに留学中にも不確実な状況に対峙せざるを得ないのか、いかに彼らが政府その他のアドホックな奨学金の採択方針に翻弄されているか、といったことについて、これまでの私があまりに無知であったことを痛感しました。

彼らの前に立ちふさがる様々な困難を思うにつけ、学生の選抜、教育、助成、日本における受け入れ体制の各レベルで、大きな改善が必要であると考えるようになりました。逆にいえば、中国の学生のニーズや障壁がどのようなものであるかを正確に把握し、適切に対応することによって、優れた学生や研究者を日本に招き研究を成功させる余地はまだまだあると感じました。少なくとも良い学生をみんなアメリカに持って行かれていると僻む前にすべきことがたくさんあることはたしかです。

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